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小沢代表の記者会見発言の衝撃(天木直人のブログ 8/8)
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投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 08 日 10:48:52: 2nLReFHhGZ7P6
 

2007年08月08日

 小沢代表の記者会見発言の衝撃

  読者の中には私が毎日ブログを書かなくなったことについて気力が萎えたのではないかと心配する向きがある。しかしそんなことはない。毎日務めて書き続けていたときは、特段書くべき事が無い時までも無理をして書いていたような気がする。これからは、書きたい事を見つけた時に全力でそれを書く、という本来の姿に戻りたい。ご了解願いたい。
  そこで再びテロ特措法延長問題について書く。これほど重要な動きは最近の政治でお目にかかった事がない。メディアはそれを政局がらみでしか取り上げていないが、この問題は戦後62年の日米関係に関わる問題に直結する、それほど重要な問題なのだ。前回のブログでは落しどころが見えたと書いた。その思いは今でも基本的には変わらない。しかしこの問題は日々あらたな動きを見せていくようだ。
  7日の記者会見におけるテロ特措法延長反対についての小沢発言に驚いた。各紙が報ずるところでは次のごとく述べて延長反対の姿勢をあらためて表明したという。

「・・・アフガニスタン戦争は『これは米国の戦争だ』とブッシュ米大統領が始めた戦争だ。国連安保理決議で認められた活動と、米国の戦争では全く性格が違う・・・」(朝日新聞)、「・・・アフガン戦争はアメリカが『我々の戦争だ』と言って始めた。国連や国際社会は関係ない。とすれば答えはわかるだろう」(毎日新聞)、「・・・アフガン戦争は、ブッシュ米大統領が国連や国際社会と関係なしに米国の自衛戦争だと言って始めた戦いだ・・・」(日経その他)。

 テロ特措法延長反対については民主党内部でも異論が出ている。それを承知であらためて小沢代表が反対の意向を示した事も驚きだが、「国際社会の承認がない米国の戦争を認めるわけにはいかない」と言い切った、この発言には驚いた。久間前防衛大臣が、「イラク戦争は間違いだ」と言ってブッシュ政権を激怒させた事は記憶に新しいが、今度の小沢発言はそれ以上に大きな意味を持つ。野党の党首であると言っても参院選挙の大勝利によって政権に近づいた小沢党首の発言である。
 どこまで小沢代表は本気なのだろう。8日の日経新聞は、「ブッシュ政権の政策を追認する事が日米関係のすべてだとは思わない。互いに信頼しうる同盟関係を築き上げたい」という小沢代表の言葉を引用している。
 おりしも8日の毎日新聞は寺島実郎氏の次の言葉を掲載している。「・・・テロ特措法をただ延長すればいいという状況ではない。中東の関わり方を・・・考え直し、日本の判断も思慮深いなと国際社会に印象付ける良い機会だ。日本の政策論に立脚し、筋の通った主張なら、日米同盟は損なわない・・・」
 その言や良し。私はこの二人の発言に全面的に賛同する。しかし同時にまた私は、その言を実行することがどれほど困難であるかを知っている。
 なぜ建設的な日米同盟関係を実現することが困難か。その一つは、今のブッシュ政権は自らの政策を非難されることにまったく寛容さを失っているからである。中間選挙に破れ、議会で少数党になっても一歩も譲らないのがブッシュ政権である。そしてそれはブッシュ政権に限らない。米国という国は批判されると怒りだす国である。理屈が通用しない国である。その国を相手に主張を通し、しかも納得させる(あきらめさせる)には、両国の国民を巻き込み、世界の衆人監視の下で、どちらが正しいか議論を展開させる覚悟がないと無理である。誰が見ても日本の言い分に理があるという形で話し合っていかなければならない。
  二つ目の問題として、「米国の戦争に協力する」ことを再考するということは、これからの日米軍事関係を再考するという事である。小泉前首相と外務・防衛官僚が、「世界の平和に共同で対処するための改革と再編」という言葉でごまかした「米軍再編への協力」を、もう一度原点に帰って見直すということである。それは在日米軍基地の撤退までも視野に入れた議論につながる。なぜならば日米安保体制は、もはやまったく新しい軍事同盟、つまり米国の戦争のための協力体制に変貌しつつあるからだ。
  私は心から期待する。小沢発言を機会に、わが国の安全保障政策や日米同盟関係の健全なあり方について、政局がらみではなく、日本の国益や国民の利益を優先した真の政策論争が始まる事を。小沢代表や寺島氏が、そこまでの決意と覚悟を持って発言している事を心から願う。そしてこの二人に続く有力者が現れてくる事を心から祈る気持ちだ。
  最後に私は共産党の志位委員長や社民党の福島党首に対し強く申し入れたい。小沢代表の発言を間髪を入れずに支持し、日米軍事同盟関係の建設的な見直しについて積極的に協力する態度を示す事を。日米軍事同盟関係の見直しこそ、最善の護憲運動であり、そしてまた真の政界再編につながる事でもあるからだ。自らの組織擁護に汲々としている時ではない。国際政治は、そして日本の政治は、今音を立てて激動しているのである。
 

http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/08/

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