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立花隆:内閣改造でも”ボロ出し”確実・解散必至!末期の自民安倍政権 = 日経BP
http://www.asyura2.com/07/senkyo40/msg/162.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 8 月 07 日 19:35:38: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070804_makki/

日経新聞の『永田町インサイド』の記者座談会「安倍政権どうなるの?」で注目したのは、次のくだりだ。

「J 国会では小沢民主に攻めこまれる。『解散風』がどんどん吹きそうな気がするな。年末や来年の通常国会冒頭が要注意だ。
 U もう吹いているよ。秘書たちはそわそわしているし、ある若手は『地元事務所に油断するなと指示した』と真剣な表情だった」

こういう状況がはじまると、これから次々に起こるにちがいない安倍政権の足をひっぱる小さなできごとが、相乗効果的にマイナス方向に積み重なりだし、やがて解散風が止めようにも止まらないレベルまで吹き荒れるという非線形複雑系でのバタフライ現象(北京での小さなバタフライの羽ばたきが、ニューヨークで大嵐を起こす)を起こしてしまうのでは、と考えるのは考えすぎだろうか。

政界における政治家たちの心の動きは、まさに非線形複雑系の典型のような世界だから、「秘書たちがそわそわしはじめる」ような状況下では、何でも起こりうるのである。そうなると、安倍首相がいやでも解散に追い込まれるところまで行くことが大いにありうる。

内閣改造でも“ボロ出し大臣”が出るのは確実

自民党内からもっと激しく安倍首相批判の声が上がるかと思っていたら、それが案外にそうでもないレベルにとどまっている。

それは、早ければ8月下旬と目される内閣改造を前にして、いま首相批判しては損だという思いが、多少とも実力のある政治家たちの胸の中に一様にあるからだ。

だが、実際に改造が行われてしまえば、改造で嬉しい思いをする、うまく政権に入れた政治家より、期待に胸をおどらせながらやっぱり入れなかった政治家のほうが多くならざるをえないから、改造後は安倍批判の側にまわる政治家がむしろ多くなると考えられる。

そして、安倍首相の人間鑑識眼と官邸の身体検査能力が一朝一夕に向上できるとはとても考えられないから、改造内閣の中に、またしても“ダメ大臣”“ボロ出し大臣”“アキレタ失言大臣”が何人か入ることになるのはほとんど確実である。

そのボロを自分たちの手で引き出してやろうと手ぐすね引いて待ち構えている社会部記者、週刊誌記者が沢山いるのもまちがいない。

いずれボロは次々に出てくるにちがいない。そして、そういうボロが出てきたときに、またしても安倍首相はそれを説得力のない論理でかばおうとするなど、これまでのボロ出し事件と同様、対応を誤るにちがいない。人の性格はそう簡単に変わらないものだ。

安倍首相の根本的な欠陥

安倍首相の政治家としての根本的な欠陥の一つが、危機管理能力の欠如である。何か危機的事態が起きたときに、すばやく危機を反転させる手を打つことができない。少しでも危機を脱出する手を打つ心の余裕を取り戻したときには、すでにタイミングを失しているということを繰り返してきた。

直近のできごとでその典型的な例といえるのが、赤城前農水大臣の更迭だろう。

いまとなっては、あの農水大臣の二カ月間の存在がいったい何だったのか、そこにどういう意味があったのか、全くわからない。

たぶん安倍首相は、松岡元農水大臣の突然の報で気が動転してしまったのだろう。とりあえず誰かを農水大臣に立てなければならないとなったとき、頭に浮かんだのは、やっぱり旧知の「お友達」の顔だった。その中から、農林行政に明るそうな人を選んだというだけのことではなかったか。

赤城前農水大臣の祖父の赤城宗徳元農林大臣は、確かに昭和時代の農林族最大の実力者で、自民党内で農林に最も明るい人だった。しかし、孫の赤城徳彦前農水大臣のほうは、農林行政に明るい人とは聞いたことがなかったし、農水大臣に就任してからも、農林行政通らしい発言は一言も聞いたことがない。

赤城宗徳元農林大臣は、安倍首相の祖父である岸信介元首相の盟友の一人で、60年安保激動の頃は、防衛庁長官をしており、デモが過激化していったときに自衛隊を治安出動させるべきか否かを岸から真っ先に相談された人である(岸元首相の「回顧録」でも相談したことまでは明らかにされている)。

安倍首相は赤城前農水相よりもアンハッピー

しかし、赤城宗徳が治安出動に強く反対したため、自衛隊出動は止められたと伝えれれている。安倍首相としては、祖父同士が危機的状況の中で助け合う仲だったのだから、孫同士も危機的状況の中で助けてもらえると期待したのかもしれない。

だが、赤城前農水大臣は、バンソウコウ姿が有名になっただけで、政治家としては、存在感ゼロというより、マイナスの姿をさらしただけに終わった。連日非難轟々の嵐をあびせかけられ、最大の参院選敗北要因とされてしまった。

たった二カ月で政界の晴れの舞台から姿を消さざるをえないことになってしまったのだから、赤城にとってこの二カ月は人生最悪の日々だったといってよいだろう。

しかも、松岡元大臣時代の緑資源機構の談合事件による、大臣給与返納の約束を継続して守ることになってしまった。このため、その在任二カ月間の給与もゼロなら、大臣辞任時の退職金も、規定に合わない(就任6カ月以上の者にしか退職金は出ない)ためゼロである。

結局、赤城前農水大臣は恥をかかされただけで、大臣としての実績ゼロ、しかも報酬もゼロという、身から出たサビとはいいながら、なんとも気の毒な人生を歩まされたわけだ。

だが、安倍首相の人生が、赤城前農水大臣の人生よりハッピーなものになるかどうかはまだわからない。

私は、赤城前農水大臣よりアンハッピーになものに終わる可能性もまた大だと思っている。

都道府県連も安倍首相を見限った

すでに安倍内閣の支持率は、26%まで下がっている(朝日新聞)が、これが未来にさらなる不祥事が重なってさらに下がるようだと、内閣支持率が一ケタに落ちてしまうことだって考えられる──すでに読売新聞は、ある参院自民党幹部が「首相はすぱっと辞めるべきだった。このままでは内閣支持率は一ケタになる」と語ったと伝えている。

一ケタ台になったらどうなるのか。もちろん、それでは衆院選でも惨敗すること必至だから、内閣改造をひかえて、いったんは鳴りをひそめている、安倍不信任の声が党内に続々出てきて、政局の展開いかんによっては、安倍首相が退陣せざるをえない局面に追いこまれてしまう可能性もあると思う。

最新の日経新聞の全国自民党都道府県連へのアンケート調査では、「安倍首相の下で次期衆院選を闘う」というところは、半数の51%にとどまっているということだ。あとの半数は自民党の顔を別の顔に変えてもらいたいのだ。

今はスペアの顔がないから安部でガマンしているだけで、スペアの顔が登場したら、安倍は一挙に捨てられる可能性がある。

しかし、私は、それよりもっとありうる可能性は、安倍首相が健康問題で退陣せざるをえない状態に追いこまれることだと思っている。

開票特番が映し出した安倍首相の表情

開票の日、私はテレビモニターを5台ならべてテレビの開票特番を全局ウォッチしていたから、この日の安倍首相の顔色の変化をよく知っている。

安倍首相はこの日、夜10時ちょっとすぎ(自民党惨敗がすでに確実な時点)からテレビに出はじめ、ほとんど12時近くまで出ずっぱりで出ていた。

負けがわかっているから、テレビに出た最初から顔色は悪かったが、その悪い顔色が、時間を追うにつれ、一層悪くなっていった。いちばん最後はNHK の特番だったが、顔色だけでなく、声色もおかしくなり(弱々しくなり、ことばがもつれ気味になっていた)、これ以上やったら、この人は倒れるのではないかと思ったくらいだった。

顔の皮膚がむくむとともに、色がドス黒くなっていた。テレビ局の人に聞くと、安倍首相はある時期から、夜のテレビは絶対に出ないようになっていたが、それは、夜になると、顔から生気が失われ、体調の悪さがモロに顔にあらわれてくるらしいということだった。

そういえば、これと同じようにひどい顔をテレビにさらしたのは、年金時効特例法案、国家公務員法改正案など、安倍内閣の実績を作るために、国会の会期を1週間のばし、選挙の投票日も1週間のばして、連日の強行採決で、徹夜国会になったときのことだ。

この人は徹夜の連続といった苛酷なスケジュールには、肉体がついていけない人なのだ。

安倍首相は連日の徹夜国会に耐えられるのか

だが、参院で数のバランスが完全に逆転してしまったいま、国会運営はますますきびしくなり、徹夜国会につきあわなければならない場面がこれから何度も出てくる。

安倍首相の肉体はそれに耐えられるのだろうか。前に述べたことがあるが(第98回「政権の命取りになるか 安倍首相の健康問題」)、安倍家の家系(父方)は短命の家系である。短命ということは老化が早いということである。

最近の安倍首相、年齢(52歳)相応の男盛りのエネルギーが満ちあふれた顔ではなくなっている。一挙に10歳以上も年をとってしまって、とっくに還暦をすぎた人ではないかと思われる顔色をしている。

総理大臣というのは大変な激務である。今回の選挙大敗とそれにつづく事態収拾だけでも大変なストレスにちがいないが、このあと安倍首相には夏休みを利用しての外遊に次ぐ外遊が待っている。それから戻ればすぐに内閣改造があり、そのあとには厳しい国会の日程がつまっている。

どこかでこの人、ポキンと折れてしまうような気がしてならない。

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