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2007.7.28(その3)
森田実の言わねばならぬ[419]
平和・自立・調和の日本をつくるために【276】
国際ジャーナリストでザ・ワシントンタイムズ記者の神林毅彦氏(Takehiko Kambayashi)の「日本のジャーナリズムは存在せず(Japan's freedom from the press)」(The Washington Times、7月20日号)に学ぶ
「我を非として当(むか)う者は我が師なり」(荀子)
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国際ジャーナリストでザ・ワシントンタイムズ記者として活躍している神林毅彦氏が、7月20日付ザ・ワシントンタイムズ紙に、日本のジャーナリズムに対する温かくかつ厳しい忠告をしてくれている。われわれ、日本のジャーナリズムの中で働いている者は、神林氏のこの忠告に学ばなければならないと思う。「日本のジャーナリズムは存在せず」――このタイトルは、日本のジャーナリズムにとって、たいへん厳しい言葉である。だが、現実はこのとおりであることを、われわれは認めないわけにはいかない。
日本のマスコミは現に、政治権力の手先の役割を果たしている。中立公正な報道の基本を捨ててしまっている。大新聞社も、ほとんどが政治権力の手先と化してしまっている。日本のジャーナリストのほとんどが、本来の記者魂を失い、政治権力におもねってしまっている。
以下、神林毅彦氏の論説の要旨を紹介したい。
《東京・2000年5月、当時の森喜朗首相は、自らの失言で政権が批判の的とされていたにもかかわらず、日本を「天皇を中心としている神の国である」と呼ぶなど再び踏み外した。森氏のその発言は多くの日本人を憤慨させた。なぜなら彼らは、その発言を天皇の名の下で日本軍兵士がアジアを蹂躙した軍国主義の過去を彷彿させるものと見なすからである。
支持率の下落が止まらないなか、森首相は会見を開き記者の質問に答えることに同意した。しかし、その裏で首相はNHKの記者からある指示を受けていた。
首相のために用意された極秘メモで、当時首相官邸を担当していたNHKの大木潤氏は、他社の記者たちが今回の問題を厳しく追及するつもりだと首相に警告、また、「質問をはぐらかすべき」時間がきたら(役人に)会見を強引に打ち切らせるべき」だと助言した。
地方紙の西日本新聞の記者は、首相官邸記者クラブ内のコピー機に忘れられていたこのメモを見つけ、そのメモとこの問題に関する記事を掲載したが、ほとんどの大手メディアは無視を決め込んだ。大手の記者の中にはいわゆる「内輪話」であるはずのものを暴露したと西日本新聞の記者を叱ったものもいた。
西日本新聞の記者らは白分たちの仕事、つまりニュースの報道、をしただけだという。
大木氏(当時は名前を伏せられていた)の解雇を求める声や、しぱしぱイギリスのBBCと比較されているNHKを説明責任の欠如において批判する声もあった。しかし、大木氏もNHKも過ちを犯したことを認めなかった。
同志社大学社会学郎メディア学科の浅野健一教授は、この問題は「日本政治の重要な歴史的局面において、森元首相の『神の国発言』の責任をあいまいにしたという点でかなりひどい」ことであると指摘する。
また、この問題は日本の政府とメディアのもたれ合い関係の典型的な例だと専門家は言う。自由民主党が戦後のほとんどの時期で与党であったため、日本は、世界でも数少ない政権交代をほとんど経験したことのない先進国である。メディアが自由民主党の一党支配を助長してきたと指摘する専門家もいる。
「長い間、大メディアは自民党の意のままになってきました。これは自民党の長期政権の秘密の一つです」と東京の政治評論家・森田実氏は言う。
ここ数年間鳴りを潜めていた大木氏だが、最近朝のニュース番組の編集責任者に昇進した。大木氏が森首相にメモを書いたのかどうかを聞いたところ「書いてませんって。うるさい」と言い電話を切った。NHK広報もこの件に関する質問に答えなかった。
大木氏の昇進は、日本軍の戦時中の性奴隷制度を裁く市民法廷のドキュメンタリー番組制作に関わった二人のプロデューサーを左遷にした人事とまったく対照的である。市民法廷では第二次世界大戦中何万人もの女性を性奴隷にすることを許可した罪でヒロヒト天皇が有罪となった。二人のプロデューサーは、政治的圧力により番組の内容を変更するように命令されたと証言している。
「NHKはまったく間違ったメッセージ、つまり、正直で真面目に働いているものは損をし、権力にこびるものが得をするというメッセージを世に送っている」と名古屋市の椙山女学園大学でジャーナリズムの教授であった元NHK記者の川ア泰資氏は言う。》
《自民党副幹事長であった安倍晋三氏や経済産業大臣の中川昭一氏(現政調会長)のようなナショナリストの政治家らがNHKに圧力をかけたと報じられた。しかし、NHK、安倍、中川の両氏とも繰り返し否定した。
NHKの予算は政府の了承を得なくてはいけないため、国会で予算が審議されている時期には自民党政治家に従うべきだというNHK幹部からの命令が下ったのだと関係者やジャーナリストは言う。
今年1月下旬、東京高等裁判所はNHKが性奴隷制度に関するドキュメンタリー番組の内容を政治家の意見を重く受け止め変更したと認定、また、NHKは「その番組における編集権を乱用した」と述べた。
東京高裁はNHKと子会社の二社にドキュメンタリー番組の制作に協力した市民グループに賠償金を払うように命令を下した。
主な雑誌にこの問題に関して報道してきたジャーナリストの魚住昭氏は、「NHKを報道機関と考えるべきではない」と結論付けている。(中略)
「NHKには報道の白由や表現の自由はまったく存在しません」と川ア氏は強調した。》
《NHKは、政府を批判するものをニュース番組にめったに招かないため、政府の「広報機関」のようになってきていると批判されている。
東京のジャーナリストである古木杜恵氏はテレビ局の報道に関する問題を取材するためテレビを見始めると、「NHKが拉致問題関連のニュースばかり報道していることに驚いた」という。日本政府によると、1970年代に十数人の日本人が北朝鮮に拉致されたということだ。
昨年、政府はNHKの国際短波放送で拉致問題をもっと取り上げるように命令した。しかし、憲法が保障する報道の自由を侵害するとして、3月、市民団体は政府にその命令の取り消しなどを求めて提訴した。
NHKが拉致問題をより頻繁に取り上げていくことは北朝鮮に対して強硬的な姿勢で人気を得てきた安倍氏を肋けていると古木氏は見る。事実、安倍民の弱々しいリーダーシップや閣僚の相次ぐスキャンダルにもかかわらず、安倍内閣の支持畢は30パーセント台にとどまっている。
政治評論家の森田氏は、もしメディアが公平な報道をしていれば、安倍内閣の支持率は「森内閣の支持率とほとんど同じ」、つまり10パーセント以下であろうと言う。》
[神林毅彦氏の高い見識にもとづく勇気ある発言に深く敬意を表します――森田実]
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