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2007年7月22日(日)「しんぶん赤旗」
“熱い”首相 冷める聴衆
「中身ない」「もう行こうぜ」
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「改革か逆行か。成長か停滞か」―参院選全国遊説の街頭演説で声を張り上げる安倍晋三首相。聴衆からは「熱意は伝わるけど中身がない」(徳島市、男子大学生)などとさめた言葉がもれています。首相遊説を追って目にしたものは―。(小林拓也)
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参院選公示(十二日)の翌日から、安倍首相は東北、九州、四国など自民党の苦戦が予想される一人区を中心に回っています。
「野党に負けるわけにはいかないんです」「どうか私たちに力をお与えください」。約二十分間の演説で、首相は最後まで、身ぶり手ぶりを交えて大声で叫びます。ボルテージが上がりすぎて、声が裏返ることもしばしば。
拍手パラパラ
ところが、首相の「熱い」演説と対照的なのが聴衆のさめた反応です。各地で千―二千人と集まりますが、拍手は前の方でパラパラ。首相が来るまで宣伝カーの前に陣取っていた人たちが、首相が話し始めると、ひと目見て満足したのか後ろに去っていく光景も。立ち止まった聴衆も途中でいなくなっていくのです。
内閣支持率は続落。時事通信調査では25・7%で政権発足後最低になりました。街頭で潮が引いていくような聴衆の反応が数字にも示されています。
演説内容はというと、公示からほとんど変わりません。「美しい国をつくります」と訴え、教育基本法改悪、防衛省設置法、改憲手続き法などの悪法の強行を“実績”として誇ります。格差問題については、「格差、格差というが、経済が成長しなくては格差が解消するはずがない」と強調します。
鹿児島市内で演説を聞いていた鹿児島大生(21)は「格差が成長でなくなるのか。いまから成長は難しいのでは」と首をかしげていました。
首相がとくに力を入れるのは「消えた年金」問題。「私の内閣ですべて解決することをお約束します」と一段と声を張り上げます。
鹿児島県霧島市内の演説では、「そんなの当たり前だ」という声が後ろからあがりました。振り向くと二十代前半くらいの男性三人組。「当たり前のことを大声でしゃべってるよ。もう行こうぜ」と立ち去りました。
さらに首相は「社会保険庁の『親方日の丸体質』に大きな問題があった」と責任転嫁。「これをどんとぶち壊していく。これが私の掲げる戦後レジーム(体制)からの脱却だ」と拳を振り上げて叫びます。これには聴衆もポカンとした表情です。
焦点を語らず
首相が民放テレビ番組で「消費税を上げないとは一言も言っていない」(五日)と発言し、焦点になっている消費税増税については、一切口にしません。自民党マニフェストの最初の項目に掲げている憲法改定についても、首相は改憲手続き法を成立させたというだけでほとんど語りません。
徳島市内の男子大学生(19)は「安倍さんは批判のタネになるから憲法のことを言わないのだろうけど、隠しているのはちょっとずるいと思う」と話していました。
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