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「オール与党」について = さざ波通信から
http://www.asyura2.com/07/senkyo39/msg/664.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 7 月 28 日 15:35:33: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/marx2/x07052.html

 今日の日本における地方政治においては、共産党が主張する「オール与党」という概念は一面の真実を確かに表現している。しかし、この国は世界経済から見て、先進国であり、一人当たりの国民所得もかなり高い水準にある。社会福祉水準も同じアジアや世界から見れば、かなり高い水準にある。「オール与党」は、こうした高い水準を実現・維持する上で大きな役割を果たしてきたのも事実である。共産党は何も役立っていなかった、とは言わないが、「オール与党」という概念で、自らの政治的無能・政治的孤立を自慢しているのと同じである。
 政党と言うものは、圧力団体ではなく、政権を目指し獲得してこそ、社会的な役割を果たす事が出来る。野党のままでは、圧力団体と何も変わらない。「唯一の野党」とは、つまり、「唯一、政治的に役立たない政党」という意味を含んでいる。「確かな野党」を目指す事は、「確かな役立たない政党」を目指す事と同じである。「オール与党」と言う概念で、セクト的な小さな勢力拡大を求める限り、小さな政治勢力から抜け出す事は出来ない。どんなに小さなセクトであろうと、日本の未来を見通す知性と勇気があれば、他の政党と協力して、この国の政治転換のために巨大な役割を果たす事が出来る。そのためには、セクト的な野心と独善から抜け出して、この国の政治転換に対する責任を自覚しなければならない。セクト主義と独善主義は、自己意識の欠如、盲目性である。
 弁証法と言うものは実に面白い。「我が党だけが正しい」と言う命題は、「我が党だけが間違っている」と言う意味を含意している。いかなる政党も、それなりの存在意義を持って存在している。すべてが間違っている政党は存在できないし、「すべてが正しい」政党はファシスト政党になる。ナチスとスターリンのソ連共産党は「唯一正しい」政党であったために、唯一間違っていた。どんな人間も、政党も、それなりの積極的な側面と否定的な側面があり、それを認め合う事によって協力関係に立てるのである。「我が党だけが」となったら、他の政党は協力関係に立てなくなる。多元性と多様性を承認しなければ、民主主義社会では生き残れない。どんな人間も、政党も、他の人間や政党と協力し会い、切磋琢磨し合う事によって、自己革新も可能となる。自己革新は、おのれ自身を否定し、他者から学ぶ事によって、始めて可能となる。
 「孫子の兵法」によれば、人間の戦いにおいては、最大の敵は己れ自身である。この命題は、戦国の武将だけではなく、企業経営においても同じであり、政治家や政党でも同じである。「奢れるものは久しからず」というのは、日本だけではなく、万国共通である。人間はどうしても易気に流れやすい。自分を正当化できれば、うぬ惚れやすい。「オール与党」は共産党の存在意義の一面を表現しているが、共産党の政策を正当化している訳ではない。「オール与党」、こんな概念・政治的孤立で、己を正当化するのは本末転倒である。壁の内側で、どんなに自己満足していても、壁の外側にいる国民から見れば、全く馬鹿馬鹿しい「奢り」である。戦国時代だけじゃなく、企業経営においても、「敵から学ぶ」事は勝利のための絶対要件である。「我が党だけが」となったら、他党と協力関係には立てなくなるし、敵から学ぶ事は出来ない。敵から学ぶ事が出来なければ、自己革新の能力も失う。共産党だけが「正しい」事を認めなければ、共産党と協力し会う事が出来なくなる。共産党と協力し会う事は、「共産党だけが正しい」事を認める事になる。こんな馬鹿馬鹿しい党官僚の知性は旧石器時代と同じである。
 共産党は「オール与党」を敵視して、己れ自身を敵視・否定する事が出来ない。共産党の党官僚は、己の最大の敵が己自身である事を理解できない。これは「民主集中制」が陥る必然的な盲目性でもある。党官僚の自己保身は、党と国民の間に巨大な壁を作ろうとする。国民に向かって開かれた党においては、党官僚の地位は不安定になる。民主主義の制度は、政治家に安定した地位を保証しないのが鉄則である。「己との戦い」に敗れた政治家は、政治的な市場から退場するのが、民主主義のルールである。政治的な自己革新の能力を失えば、政治的な終焉である。党官僚に安定した地位を保証する「民主集中制」は、民主主義とは全く相容れないし、自己革新の喪失である。ソ連の解体はこの事を見事に表現した。「オール与党」の概念が「誇り」になるのは、「民主集中制」と言う壁に守られた小さな世界だけである。政治的無能・孤立を自ら「誇り」にしているのでは、どんな未来も開かれない。この小さな世界の壁を乗り越えて、自由で民主的な公開の討論を開始すべきである。この討論によって、自己意識を獲得し、自己革新も可能となる。「オール与党」の概念では、共産党は「己れ自身との戦い」に勝利できない。
 壁の外側に這い出し、「オール与党」に楔を打ち込み、この国の政治的な転換を目指す必要がある。そして、この転換のヘゲモニーの一端を担うべきである。「我が亡き後に、洪水は来れ」では、「洪水」が襲うのは共産党の頭上だけである。「オール与党対共産」という対決図式は、この党の潜在力と可能性の一面を表現しているが、これは共産党の肯定的な成果ではなく、この党の発展と未来を著しく制約している障害に過ぎない。この対決図式から抜け出し、政治変革を願う広範な国民との共闘の輪を広げる。「確かな野党」ではなく、「確かな与党」への進路を掴み取る。「我が党だけが」ではなく、「我が党と共に」歩む政党との共闘・協力こそが必要なのだ。

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