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http://korede.iinoka.net/archives/2007/07/post_39.html から転載。
「自民党に勝てばいい論」に欠落しているもの
ここ数年、選挙のたびに出てくる主張として「自民党を倒す、という事が最優先課題である。したがって、自民党を支持しない人は民主党に投票すべきだ。他の野党候補が立候補するのは、むしろ自民党を利する行為である」というものがあります。この手の主張は根強く存在します。中には国境を越え、アメリカの大統領選挙で二大政党に与せずに出陣し続けるラルフ=ネーダー氏を痛烈に批判する日本人すらいるほどです。
確かに自民党政府による政策にはろくなものがありません。国会では強行採決を連発して「国民投票法」成立や、教育基本法改悪などを行っています。一方、首相を初めとする閣僚の言動も呆れるものばかり。「公の場で特定の病人を差別する発言をしてはいけない」という社会人にとっての最低限の常識をわきまえない輩が、主要な地位の閣僚であり続けるほどの品質の低さです。
この自民党の異常ぶりを見ていると、冒頭の宣伝に影響され、「ならば民主党に票を集めて、自民党をひきずりおろすべきだ」と思う人もいるかもしれません。
しかしながら、この主張には、ほんの十数年前に実際に発生した事実を意図的に無視する、という重大な問題点があります。
1980年末から1990年代初頭にかけ、当時の自民党政府の要人はさまざまな疑惑にまみれ、自民党への評価は大きく下がっていました。そんな中、自民党の実力者でありながら、党内抗争などがあって離党した、現民主党党首の小沢氏などの動きもあり、「非自民」の細川内閣が誕生し、自民党は結党以来初めて、政権の座から退きました。
しかしながら、細川内閣、さらにはそれを継承した「非自民」の羽田内閣の行った政治、というのはどのようなものだったでしょうか。この時代の内閣の「成果」として挙げられるものは、「わざわざ税金から政党の活動費を支払う政党助成金」「自民党の長年の悲願の一つであった衆院での小選挙区制」「福祉目的という建前での消費税増税の道筋をひいた」といったものです。
結局、この「非自民政権」の成し遂げたものは、自民党の目指していた政策を実行した事と、自民党政府に対する国民の不満の行き先を、自民党と同じ中身を持つ政治勢力に向けさせた、という二点でした。
そして、かつての「非自民」の中心人物であった小沢氏率いる民主党は、党所属議員の「有志」が自民党議員と仲良くアメリカの新聞に「従軍慰安婦否定広告」を出したりしています。中には、自民党の閣僚ですら「南京ではなんらかの虐殺はあった」と答弁するのに対し、「そのような物は一切なかったと認めろ」と国会質問する民主党議員もいます。
もちろん、今回は参議院選挙ですから、仮に民主党が勝っても政権交代は行われません。とはいえ、「反自民票を民主に結集」などという主張をする以上、民主党が政権を取ったらどのような事が行われるか、について過去の実績を振り返りながら考えるのは重要です。しかしながら、そのような過去および現在の民主党議員の実績を考察をした上で、「自民党を支持しない人は全て民主党に投票すべきだ」などと主張する人はまず見たことがありません。
かつての「非自民内閣」の実績、および現在の民主党の実績を考えれば、「自民党政権から民主党政権」というのが、「よりまし」などという安易な言葉で語れるものではない、という事が分かります。加えて言うと、そのような「自民党が失政を繰り返して国民の不満が高まった際に、その『受け皿』を民主党が担う」という事が、どのような勢力にとって望ましいのか、というのも考えて見ると面白いかと思っています。
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【関連投稿】
Re: 申し訳ないですが、浅野氏の存在がそんな立派なものとは小生には思えません。
http://www.asyura2.com/07/dispute25/msg/319.html
投稿者 gataro 日時 2007 年 3 月 04 日 18:50:38: KbIx4LOvH6Ccw
(回答先: 私の弁証法理解 投稿者 ワヤクチャ 日時 2007 年 3 月 04 日 18:22:19)
「よりまし選択」と言えば、小生は細川護煕「政治改革」政権を反射的に、悪夢のように、あるいはパブロフの犬のように連想してしまいます。
あのときの「政治改革」は結局のところ、自民党政権さえそれまで実現できなかった、少数意見が限りなく抹殺される危険性をもった「小選挙区」を導入にしてしまいした。お陰で自民党はその悪しき制度によって現在、衆院で2/3以上の議席を保持しています。
自民党に取って代わる「よりまし選択」として登場した細川「政治改革」政権は小生にとっては「よりだめ選択」だったとしか思えません。
浅野氏がまだ出馬して勝利を収めると決まったわけではありませんが、仮にそうなった暁には、細川「よりまし選択」の二番煎じにならないことを祈っています。
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