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昨日、朝6時に起きて柏崎刈羽原発の第2次調査団に出発した。東京駅で阿部知子さんや党職員など団員が集合し、長岡駅に9時半に着いて地元近藤正道参議院議員と合流した。今回の視察には、「もんじゅ」「浜岡」など原発訴訟を手がける海渡雄一弁護士、また「柏崎刈羽」の原発訴訟の伊藤良徳弁護士など原発問題のエキスパートが参加した。車が柏崎に近づいてくると、ところどころに土砂崩れの跡が残り、市街地から離れた周辺の部落でも傾いたり、潰れた家が何軒もあった。地震の爪痕は各所に残り、原子力発電所の構内にも及んでいる。私たちは、午前11時30分から午後2時15分まで、2時間45分にわたって発電所内を視察した。視察後に新潟県庁で記者会見したが、「6号炉の屋上にある燃料貯蔵用のプールから漏れだした水びたしの建屋内の写真」のみをメディアは伝えている。
柏崎刈羽原発6号機建屋の最上階に水浸しの跡『読売新聞』
40分にわたる記者会見を行い、詳細な問題点を列挙したが、他のメディアも「社民党が東京電力の案内で6号炉最上階の水漏れの写真撮影を行った」という記事以上には報道しないので、まずは同行した伊藤良徳弁護士弁護士の「中越沖地震後の柏崎刈羽原発に行ってきました」(庶民の弁護士伊藤良徳のサイト)に詳しい写真入りのレポートが掲載されているので見てほしい。
少し整理してみよう。東京電力が「変圧器」の火災を認め(煙があがっているから認めざるを得ない)、次に放射能を含んだ水が海に流れ出たことから始まってさみだれ式に事故を発表してきたことは事実である。私たちは、せめて停止中だった原子炉・格納容器の中に入って、再循環配管の様子などを見てまわりたいと強く申し入れたが、理由なしに「拒否」された。私たちが視察した緊急停止した原発の中でも、同時に何カ所もの工事が行われている。いったい何の工事なのか不明で、現場を保存するのではなく外部の人を入れる前に「修復」してしまってから受け入れようという姿勢がミエミエだ。
[海渡雄一弁護士からの報告]
本日、社民党の調査団(阿部知子 政審会長・団長 近藤正道政審副会長・副団長保坂展人平和市民委員長・事務局長)に同行して柏崎原発の調査をしてきました。直後に記者会見などもしましたので、報道されているかもしれませんが、私たちが見たことをできる限り客観的にお伝えします。
1 管理区域内の隠蔽工作をやめろ
○調査団は、管理区域内に入れるように金曜日から申し入れていた。しかし、東京電力は、最初は応ずるようなことを言いながら、金曜日には「職員は被災後疲れているので勘弁して欲しい。」と言いだし、今日は当初は「ホールボディカウンターに入って貰わなければならないので、時間がない」と言いだし、「時間がいくら掛かっても良い」というと、「とにかく拒否だ。何と言われても良い。」
と居直ったのである。
定期点検中だった、1,5,6号炉だけでなく、運転中だった、3,4,7号炉、起動中だった2号炉についても、すでに東京電力、メーカー、保安院の係官は立ち入っているが、それ以外の第三者は誰1人として立ち入っていない。
○東京電力は、施設内の道路の陥没箇所の補修、損傷した消火系統の補修を急スピードで完成させている。少し遅れれば、地震によって、施設がどのような損傷を被ったのか、分からなくなってしまう危険性がある。
○国、新潟県、柏崎市は、東京電力による地震の被害痕跡隠しを一刻も早く停止させなければならない。
○東京電力・国は、IAEAの調査すら拒んでいる。第三者の目が入ることを極端に恐れている。異常な対応である。
2 敷地直下の活断層が活動した形跡がある。
○敷地内の地盤には、極端な凹凸が発生している。多くは陥没であると考えられるが、部分的には隆起も生じている可能性がある。
○1,2,3,4号機の周りには、陥没箇所が多数認められ、変圧器火災も建屋と変圧器との変位の差から引き起こされたものと推定できる。
○6,7号機の玄関付近に海岸線と直角方向に大規模な陥没が直線状に認められる。この線上の街灯がふたつ倒壊している。また、水漏れを引き起こしている濾過水タンクもこの延長上にある。この濾過水タンクは基礎ボルトが破損し、水漏れを引き起こしているだけでなく、あきらかに下部が塑性変形しており、大きなダメージを受けている。
○5,6,7号機の後背地域にも、かなりの異変が生じているはずであるが、外部の目は一度も立ち入らせていない。この地域の地盤の状況を改変されてしまう前に、確認記録しなければならない。
○6号炉が最も大きな垂直震動を受けたことと合わせ、6,7号炉内部の状況が懸念される。
○6号機の使用済み燃料プールの状況を見学用ギャラリーから確認することができた。水位には異常はないが、プールまわりの定期点検用の養生シートにぬれた後があり、シート下まで炉水が浸透していた。
非常に大きな震動によりスロッシングが起き、炉水が外にあふれ出た痕跡を確認することができた。
3 活断層評価とS2を超える地震動を受けた設備の健全性評価について
○ 6,7号機の許可申請時の海底活断層評価の方法と結果が誤っていたことは、明らかである。なぜ、このような誤った申請内容となったのかについて原資料を示して説明するべきである。
○ 東京電力は、柏崎刈羽原発の許可申請中では、活断層に起因する地震は、原発の北東20キロメートルの気比の宮断層であり、その地震規模はM6.9とされていた。他方、柏崎平野やその西方海洋では後期更新世以降の地殻構造運動は存在しないと主張していた。新潟県中越沖地震は、このような東京電力の主張に根拠がなかったことを明らかにした。許可は違法だったことは明らかであるから、誤った地震想定によって得られた設置許可は無効となっているのではないか。
○ 柏崎刈羽原発のS2地震動は450ガルであるが、新潟県中越沖地震で観測された地震動は水平方向最大で680ガル、鉛直方向最大で485ガルであり、設計によって想定されたS2震動を大きく超えた。S2震動は塑性変形を許容し、塑性変形が発生した場合には再利用しないことが前提であったはずである。
○ 仮に、外見に異常がないとしても、降伏応力を超える応力をうけた原子炉設備を再利用することは許されない。この原子炉設備の健全性を確認するための手順とルールを明らかにしなければならない。そして、公正な検討を不可能にするような現場改変をストップさせなければならない。
4 極端な情報非公開に強く抗議する。
○ 我々は、敷地内の地面の地割れ、隆起、陥没などの不陸状況を場所、状況ごとに確認するため、敷地内の地図に事象発生場所を特定した図面の提供を求めたが、提供されなかった。
○ 我々は、プラントの温度、圧力、中性子密度などの基本運転データの提出を求めたが、地震以降ロール紙が取り替えられていないという、信じがたい理由によって拒まれた。
○ すくなくとも、各原子炉の次の箇所について、いくつかの角度から撮影した写真を公開するべきである。
(1)再循環ポンプおよびこれにつながる配管部分、とりわけ配管の交差部分
(2)主蒸気系配管の状況とりわけ格納容器貫通部、逃し安全弁、主蒸気隔離弁
(3)圧力容器スカート部
(4)スタビライザー・ブラケット
(5)格納容器地下ペデスタル内の制御棒駆動機構、インコアモニターなどの状況
○ 電力会社と一体となって、数々の損傷、事故、異常の隠蔽に荷担してきた原子力安全保安院など国の機関は公正な第三者と認められない。IAEA、アメリカNRC、新潟県、柏崎市など他の第三者機関の目を入れて、調査を行うべきである。
(続きはこの後、書き続けます)
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