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□久間説は根本が誤り歴史的事実と逆歪曲は失言より重大だ [AERA]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070723-02-0101.html
2007年7月23日
久間説は根本が誤り歴史的事実と逆歪曲は失言より重大だ
要人の発言の一語句だけを取り上げて論難するのはどうか、と感じることもある。だが、「原爆を長崎に落とせば日本も降参するだろう。そうしたらソ連の参戦を止められるということだった」とし、「今、しょうがないな、という風に思っている」と述べた久間章生前防衛相の6月30日、千葉県柏市の麗沢大学での講演は論旨全体が誤りだ。ソ連が対日宣戦布告をしたのは8月8日、翌9日に長崎を核攻撃して参戦を止められるはずがない。
そもそもソ連の対日参戦は米国が求めたものだ。1944年10月のモスクワ会議で米国側は「ドイツ降伏後、何カ月でソ連は対日参戦するか」と迫り、強大なドイツ軍との死闘で疲弊していたソ連は軍需品の援助と政治的条件によっては3カ月後に対日攻撃が可能、と回答、米ソで作戦計画を協議した。45年2月のヤルタ会談で米、英、ソの3首脳はソ連の対日参戦の条件に、樺太南部、千島列島の引き渡し、満州の旅順港の租借権や大連港の優先権、東清鉄道、南満州鉄道の優先権の回復を認める、との協定を結び、7月のポツダム会談では米国はソ連に文書で「共同行動」を公式に要請している。
ドイツは5月8日にソ連に降伏し、ソ連は協定どおり、その3カ月後に対日参戦したのだから米国人も「ソ連の参戦を防ぐため原爆を投下した」という説明はしていない。
久間氏は東大法学部卒の元農林官僚で無学ではなく、突然の質問に答えたわけでもない。準備ができる大学の講演なのに調べもせず、第2次世界大戦後に始まった米ソ対立の観念で勝手に解釈して「ソ連の参戦を防ぐため」と思い込み、「しょうがない」と考えたのだろう。冷戦思想の根深さを示す一例だ。
日英同盟についても似た俗説がある。第1次世界大戦でロシア、ドイツが弱体化し、日本は用済みとなったため、日本が同盟存続を懇願したのに英国は反日的な米国の要求に応じ、条約更新を拒否した。だが今日では日本側が破棄したように思って「日英同盟を維持しなかったのが戦前の日本の失敗の根源」と「日米同盟堅持」を語る政治家が少なくない。歴史は将来を考える第一の手掛かりだけに歪曲の害は「失言」よりはるかに大きいのだ。
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