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http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2007/07/20/20070720ddm001040002000c.html
消火をあきらめ、安全な場所に避難するしかなかった。新潟県中越沖地震に伴い、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)で発生した火災。発電所員ら4人の目の前で、高さ7メートルの巨大な変圧器が黒煙を上げて燃えている。必死で放水したが、水の勢いは弱く、火は消えない。
同社はこれまで「4人は延焼を防ぎながら化学消火剤を準備したが、使わないうちに消防隊が着いた」と説明していた。実は、4人はしばらく放水した後、爆発の危険を感じ、避難して消防隊を待っていたのだった。
変圧器には絶縁用に大量の油が入っており、化学消火剤が有効だ。しかし、変圧器周辺には化学消火剤がなかった。
柏崎市消防署の男性署員(56)は「青い作業服を着た所員らが一言も発せず、緊張した表情で黒く焦げた変圧器を見上げていた」と話す。現場には、かすかな油のにおいが漂っていたという。
同原発は05年、自主的に国際原子力機関(IAEA)の審査を受けた。全体の評価は良好だったが、「自衛消防隊のメンバーは、実際に火を消す訓練をしていない」などと指摘され、火災対策の改善勧告を受けた。
同社は「改善し、IAEAからも課題は解決したと評価された」と説明する。しかし、所員は油火災対策として年に2回程度、消火装置の操作法を確認するが、火を消す訓練はしていない。勝俣恒久社長は報道陣に「消火体制に弱点があった」と語った。
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地震による原発の火災リスクを研究する松岡猛・宇都宮大教授(システム工学)は、中越沖地震で同原発が受けた50件以上の損傷の一覧表を見て、衝撃を受けた。発火や延焼の原因となる「油漏れ」が多発していたからだ。変圧器などから計6件の油漏れが見つかった。
松岡教授は以前、地震時の火災で原発が大事故を起こす確率を計算したが、変圧器などからの油漏れは想定していなかった。松岡教授は「油が関係する機器は、壊れないよう強度を増すべきだ」と指摘する。
松岡教授は各地の原発を訪れると、職員らに地震時の火災の可能性を尋ねる。いつも「原発に燃えるものはほとんどない。地震があっても火災はまず起きない」との答えが返ってきたという。
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原発の機器の耐震性を巡っては、二つの国の指針が関係する。一つは「火災防護に関する審査指針」。地震や落雷で火災を生じない設計や、地震と火災が同時に起きても消火能力を失わないことを求める。
もう一つは、原発全体の耐震指針。変圧器も消火用配管も最も重要度の低い「Cクラス」に分類される。求める耐震性は一般建築物と同程度で、火災防護指針とは逆に、壊れないことまで求めない。破損しても放射能漏れにつながりにくいとの考え方からだ。
矛盾する二つの指針。実際には、国の機器の審査は耐震指針で実施する。「両指針の整合性を取るため」(原子力安全・保安院)だ。同原発では変圧器から出火し、消火用配管は発電所内6カ所で壊れて水が漏れた。
鈴木篤之・原子力安全委員長は19日、「防災対策の参考にすべきことが少なくない。対策を早期に進める」と述べた。
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中越沖地震は、地震によって原発が大事故を起こす「原発震災」が、空想の産物ではないことを強く印象づけた。原発の地震対策を検証する。
毎日新聞 2007年7月20日 東京朝刊
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