★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK39 > 202.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
政府はIAEAの調査を受け入れるべき
「安全性確保」と言えるのか?渋井 哲也(2007-07-22 18:30)
新潟県中越沖地震で火災が起きる等、トラブルが発生した東京電力の柏崎刈羽原子力発電所について、国際原子力機関(IAEA)のエルパラダイ事務局長は、設計の想定を上回る揺れがあった今回の地震を「国際的な教訓」として活かすため、事故情報を共有して、原発の安全性を確保したいとして、IAEAが日本に調査団の派遣を政府に打診した。
しかし、日本政府はIAEAの調査団の受け入れを拒否した。
柏崎刈羽原子力発電所(ロイター) ロイター通信が7月21日に伝えたところによると、世界最大の原子力発電所の調査団の申し入れを、日本は拒絶した。このニュースは日本では報道されることがほとんどなかった。朝日新聞が22日になって、「IAEAの柏崎刈羽原発調査 政府『余裕ない』と断る」との見出しで伝えたくらいだった。
世界のメディアが、「世界最大の原発」が「地震大国」での安全神話崩壊について注目している。その一方で、日本のメディアは政府発表をタレ流すだけで、広報資料を超えるような報道はほとんどしていない。
塩崎恭久官房長官は19日の記者会見で、IAEAが2004年に、同原発の防火体制に不備があると指摘していたことについて、「経済産業省に、どういう文脈でどういう提言をしていたのかよく見てみたい」などと発言したことを伝えている(NIKKEI NET)が、政府には、そのくらいの認識・態度を示すくらいしかできていないようだ。
オーマイニュースでは、7月21日に岡田克敏記者が「柏崎刈羽原発報道は適切か」との記事で、「想定の2・5倍の地震加速度にもかかわらず、運転中の3基、起動中1基の原子炉は自動停止し、中枢部の安全性は確保された」との認識を示した上で、
「このような大きな地震に対して、原発といえども被害をゼロにすることは恐らく不可能だろう。原発のような複雑な装置に完全性を求めることは無理である。最重要なのは重大事故を起こさないことである。そのためには少しずつ改善を重ね、危険をゼロに近づけるだけだろう」
と述べている。
東電は同日、同原発の内部を報道陣に公開した。また、新潟県や柏崎市などは安全協定に基づく立ち入り調査を終えた。フジサンケイ・ビジネスアイによれば、調査方法は「東電側の説明を受けながら目視で確認」。調査メンバーの橋本哲夫・新潟大名誉教授(放射化学)は、「(放射性物質の)漏れは非常に微量だ」と話した
しかし、このような調査で、なぜ「安全性を確保した」と言えるのだろうか。
泉田裕彦・新潟県知事は21日、「国民全体が安心できる状況にならなければ運転再開はできない。国際機関からの評価を受けることが必要」、「(IAEAの調査団派遣の)受け入れを留保すれば、何かがおかしいことがあるのでは、と誤解を生む」「一刻も早く受け入れ、世界に現状を見てもらう必要がある」と述べていると、新潟日報は伝えている。
なぜ、政府はIAEAの調査団の受け入れを拒否したのか。
前出の朝日記事によると、
「日本側は、事態の収拾や調査は自力で可能とし、今は現場が混乱しているため調査団を受け入れる余裕がないとして、IAEAに現時点では調査団の受け入れを見送ることを伝えた」
としている。ちなみに、ロイターでは「reject」「turn down」という表現を使っているが、朝日では「見送り」との言葉を使っている。このような理由で拒否するというのは、「自浄能力」を示すことにもなる一方で、国際機関に知られたくない何かがあるのでは、との憶測を呼んでしまうのではないか。
少なくとも現時点で現場が混乱しているのであれば、「安全性を確保した」と胸を張って言える現状にはない。むしろ、ロイター通信が報道し、朝日が後追いした「IAEAの受け入れ拒否」について、ほとんどのメディアが報道していないことを考えると、原発の安全神話をつくりたい政府の意思が現れているのではないかと思えるのは、考え過ぎだろうか。
岡田記者のいうように、「少しずつ改善を重ね、危険をゼロに近づける」ためにも、政府は、現時点でのIAEAの調査団の受け入れるべきではないだろうか。
(ユナイテッド・フィーチャー・プレス)
オーマイニュース
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070722/13369
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK39掲示板
フォローアップ: