★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK39 > 170.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/ytgw-o/060414.htmより転載。
2006年4月14日
民主党小沢代表に哲学は無し
民主党の代表に就任した小沢一郎さんが、先週末あちこちのテレビ番組に出演されているうちのいくつかを拝見しました。
やはりというか、予想通りちぐはぐな発言を繰り返していました。
彼は小泉政権の弱肉強食的な自由競争政策を批判しているものの、
それに対して自分自身の意見は支離滅裂なものでした。
はっきりいって小沢さんは自由の概念についてほとんど理解していません。
自由競争と平等・共生社会を別物として考えており、自由競争を進めるべきところは小泉首相より積極的に推進し、一方でセーフティーネットをしっかりとさせるということで、
自分が小泉首相よりバランスある政治的立場にあることを強調したかったようですが、
それは小泉政権が主張していることとほとんど変わりないということがまったくわかっていないようです。
そもそも自由競争における自由とはどういったことなのでしょうか。
教科書通り“他人の自由と権利と侵害しない限りにおいて自由”ということなのか。
経済行為のなかで、他人の自由と権利と侵害しない限りにおいて自由というのは、
その自由の範囲はいったいどこまであるのかというのは誰が決めるのか。
大規模な企業が同じ土俵で小さな商店をどんどん食いつぶしていった場合、これは自由競争と考えるのか、もしくは小さな商店の権利を侵害していることになるのか。
卑怯な手段で他企業を陥れることは、陥れられた企業の自己責任で、それもまた自由競争なのか。
わたしは自由主義者なので自由競争そのものを否定するつもりはありません。
しかし、何が自由競争で何が自由競争でないのかということは誰にも決定することはできません。
自由の範囲は突き詰めていけば誰にもわからないし、誰かが勝手に決めていいわけがないのです。
自由というのは社会の中に慣習として存在しています。
日本社会では、ここまではやらない、相手のこともそれなりに尊重するなど、
企業には暗黙の了解に基づく商売道徳があり、
法律に反しなければ何でもやってもいいという状況で実際の経済が動いているわけではありません。
たとえばヤクザのようですが、この部分は相手の企業のテリトリーだから無理に侵していくということはしないということがよくあります。
これは自分が商売道徳を破ると、相手も破ってくる、そして無秩序になるとかえって仕事がやりにくいということで、
そうならないようそれぞれによる暗黙の了解が成立して秩序が保たれるのです。
だからといって競争しないわけではなく、秩序の中でそれぞれが切磋琢磨努力しているのです。
戦後の日本は競争のない社会主義だったなどという人がいますが、
それでは高度成長期のビジネスマンは頑張っていなかったとでもいうのでしょうか。
つまり、日本には日本の競争のやり方がある。
政治は安心して競争できる“場”を提供するため政策を実行するべきであって、
グロバールスタンダードなどといって画一化の競争を強いることは政治の怠慢と言わざるをえません。
規制を撤廃して市場原理にすることなど、頭を使わなくても誰でもできることであって、
いかにモラルと秩序ある競争社会を実現するのかが難しい政治の仕事ではないでしょうか。
小沢さんは自由競争をするべきところは小泉政権より積極的に推進するというが、
その自由競争の中身が大切なのであって、小泉政権との違いを見せるのであったらそこしかないのです。
しかし、小沢さんは自由競争の中身には一切触れず、セーフティーネットで違いを見せるというのだから、
経済原則については基本的に小泉政権の流れと同じであるといっているのです。
なぜ日本的な社会は行き過ぎた競争を避け、話し合いを重視するのかというと、
過当競争はごく一部の人を優遇するだけで、ほとんどの人にとってメリットがないということを伝統の蓄積でわかっているからです。
そして、日本流の競争社会の中にはセーフティーネットまで含まれているのです。
これを無視して画一化の競争原理を持ち込むのなら、セーフティーネットは崩壊し、必然的に弱肉強食社会になっていきます。
そこでセーフティーネットを作るといっているのだから支離滅裂であるといえるでしょう。
つまり、小沢さんの頭の中では自由競争は多元的ではなく画一的なものとなっているのです。
そして、画一的な自由競争と、セーフティーネット平行させて並べているのです。
はっきり言って小沢さんのこれまでの言動をかえりみてもほとんど思いつきとしか思えないことがほとんどです。
このような民主党が政権交代を実現するなどということは非現実的であるだろうし、
万が一にも政権交代を実現した場合でも、期待できることはほとんど何もないと思います。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK39掲示板
フォローアップ: