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□安倍引責 12月総選挙説 [AERA]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070806-01-0101.html
2007年8月6日
安倍引責 12月総選挙説
これだけははっきりしている。「安倍首相は不人気だった」ということだ。
人事、弁舌、危機管理、すべてにおいてお粗末きわまりなかった。
退陣? 国会大混乱? 解散? 政界はこれから「何でもあり」に突入する。
編集部 秋山訓子
「11月衆院解散、12月総選挙と思え」
自民党のある派閥幹部がそう号令をかけたのは、自民党の敗色が日に日に濃くなっていた選挙戦中盤のことだった。
党内には首相退陣論が出る兆しもあった。だが、この幹部は「首相留任のまま年内解散・総選挙の可能性」と読んだのだ。
その理由は後述するとして、安倍晋三首相の不人気ぶりが目立った選挙戦だった。
最終盤の7月26日夕方。安倍首相は千葉県内にいた。苦戦中の新人候補の応援だった。
JR船橋駅と市川駅の駅頭で行われた演説は、どちらも身動きがとれないほどの聴衆を集めた。だが、2年前の「郵政総選挙」とは、聴衆の質が明らかに違った。
安倍首相の登場前、マイクを握った一人は公明党県議だった。公明党の比例区候補の名を連呼し、支持を訴えると、ひときわ高い拍手が起こった。
やおら安倍首相の登場である。
「この逆風の中、温かいご支援をいただいて本当にうれしいです」
経済成長戦略や再チャレンジ政策、社会保険庁改革などを数字を交えながらよどみなく話す。
逆風の大きな要因となった年金問題ではひときわ力がこもる。
「私の内閣で解決することを、ここにお約束申しあげますっ」
一応、拍手がわく。でも……。
「人のわりに拍手が少ないね」
あちこちから声が聞こえる。その人たちも手をたたいていない。
前代未聞の握手作戦
今回の選挙戦では、首相遊説や自民党候補の集会にも創価学会員の動員が多かったといわれる。
「今日は公明党さんが多くいらしてますから、演説内容に配慮してくださいね」
ある衆院議員は、応援演説に呼ばれた1人区でそう言われた。
「動員は公明党が肩代わりして、いったい何のために首相は行くのやら。何が1回(首相が来たら)5000票(上積み)だ」
ある自民党議員秘書はそう吐き捨てた。
それはともかく、駅頭での演説が終わると、安倍首相は候補者とともに握手作戦をはじめた。
「街宣車から乗用車に移動するときならともかく、自ら聴衆に飛び込んでいくのは前代未聞。警備が本当に大変」(警察関係者)
10分以上握手に時間をさいた。
そんなにサービスしているのに、安倍首相は全国各地で歓迎されていたわけではない。
選挙戦中盤の20日、四国3県を回った首相は愛媛県今治市に泊まった。翌21日朝、岡山県のJR倉敷駅から特急に乗って鳥取に応援へ。帰路、今度はJR岡山駅で乗り換えて滋賀へ。
1日2回も岡山県内を通っているのに、自民党の重鎮、片山虎之助参院幹事長の陣営に行くことも、応援に入ることもなかった。
片山氏サイドが断ったからだ。
鳥取のお隣で参院のドン、青木幹雄自民党参院議員会長のおひざ元、島根に足を伸ばすこともなかった。
「首相が来て動員に時間を割かれるくらいなら、一人でも多く回ったほうがまし」(関係者)
と、ここでも断られた。
身内の批判に応援中止
首相サイドが断ったこともある。
21日、本来なら首相は愛媛から高知に入るはずだった。だが、
「高知は明日の飯をどうやって食うかという追いつめられた状況にある。絵に描いた『美しい国、日本』で応援に来られて適当なことばかり言われたら、馬鹿にされたような気がする」
16日、地元の自民党候補の田村公平氏から痛烈に批判され、「そんな場所にのこのこ行くわけにもいかない」(自民党関係者)と、予定をキャンセルしたのだ。
演説の評判もよくなかった。
「多弁だけど、原稿を読んでいる感じでオーラがない。目も泳いでいる。言葉が上滑りして心に残らない」(自民党中堅議員)
ある自民党の三役経験者は、都内の駅のホームで、通りすがりの会社員風の男性に話しかけられた。
「安倍さんの『私の内閣』っていう言葉には虫酸が走りますよ」
そして、こう言って立ち去った。
「国民の内閣じゃないんですか」
安倍首相はテレビ出演でも馬脚を現した。反転攻勢のテコにと考えた周囲はテレビ局に手をまわし、首相はワイドショーから夜のニュース番組まで出演したが、思惑どおりにはいかなかった。
「赤城問題では『800円でやめさせるんですか』と細かく説明しすぎ、社民党の福島瑞穂党首の発言を『おとなしくしてて』と制し、記者クラブの党首討論会では記者の質問を『ちょっと黙って。国民の皆さんは、あなたよりも私の話を聞きたいのでは』と遮る。安倍さんって温厚そうなのに、こんなに攻撃的だったんだ、という意外性が裏目に出た」(政府関係者)
容貌や血筋で「選挙の顔」として期待された安倍首相だったが、すべてにちぐはぐ、後手後手にまわったのだった。
事務所費問題に顔のガーゼと、何かと話題を提供する赤城徳彦農水相にも問題が噴出し続ける。首相が千葉で演説していた26日、北京にいた赤城農水相周辺は、翌日発売の「週刊現代」などでまたも事務所費の新事実が報道されると知り、選挙後まで帰国を延ばすことを検討したほどだったという。
いまや嘲笑の対象
「とにかく首相の周りには情報量が圧倒的に不足している。赤城氏を選ぶときだって、政官要覧を手に井上義行首相秘書官と安倍首相が話し合う程度。過去の国会答弁、事務所の対応能力、何一つ詰めていない」(官邸関係者)
そんな体たらくなのだ。
ある閣僚経験者は今の状況を表現して、こう語る。
「指揮者がオーケストラのタクトを振ったら、演奏者が狂った音程をそれぞれ鳴らして『騒音音楽会』になっている。曲目は軍艦マーチだが、聴衆は耳栓をして入場料を払い戻せ、と言っている」
本誌7月16日号で「自民党は大敗しない」と予想した『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者、山田真哉さんは、こう振り返った。
「安倍首相がこんなにダメとは……。赤城さんの問題が大きかった。二人はいまやギャグの領域に達し、嘲笑の対象になっている。そうなるとは読めなかった」
安倍政権は今後どうなるのか。
首相自身は続投する気満々だ。周辺も塩崎恭久官房長官や中川秀直幹事長らが「参院選は政権選択の選挙ではない」と予防線を張る。
だが陰では「退陣論が出てこないなんてありえない」(自民党の古参秘書)という声がくすぶる。首相の最側近の一人、下村博文官房副長官も26日、
「『自民党、与党が何議席になっても安倍晋三首相の退陣はあり得ない』ということは実際はない。やはり大敗すれば、首相は責任を感じる」
と街頭演説で語り、あわてて、
「引き締めの意味で言った」
と釈明に追われた。
首に鈴つける人おらず
もっとも、ポスト安倍の一番手とみられる麻生太郎外相は「アルツハイマーの人でもわかる」と、またも問題発言。橋本龍太郎氏が首相を退陣したときの野中広務幹事長代理(当時)のように、首相の首に鈴をつけられるベテランはほとんどいなくなった。せいぜい森喜朗元首相くらいだろう。
そこで浮上したのが、冒頭で触れた「年内解散・総選挙」のシナリオである。
参院で与野党逆転したら、これから法案がことごとく通らなくなる。国会が混乱するのは確実だ。となれば、渡辺喜美行革担当相が23日に語ったように、
「(国会運営が)にっちもさっちもいかない場面になれば、政権選択ということになっていく」
すなわち衆院解散、総選挙という事態だって出てくる。追い込まれての解散となれば、自民党の大敗も予想され、政権交代も視野に入ってくる。実際、
「政権交代を狙う(民主党の)小沢氏にとっては、安倍首相が代わらないほうがいいのだろう」
という見方が自民党内にはある。安倍首相は死に体のまま、解散・総選挙に追い込まれるのか――。
冒頭の指令を受け、自民党のある衆院議員の陣営では、支援者に出す残暑見舞いの準備を始めた。
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