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2007年08月06日
先が見えた民主党のテロ特措法延長反対の落しどころ
残念ながらはやくも落しどころが見えたようだ。
民主党の前原誠司前代表が4日の読売テレビの番組で、「(延長は)必要と思う」、「米国との関係をまずくすれば、政権担当能力が問われる」と述べたことや、鳩山由紀夫幹事長が「党内の様々な意見を踏まえ結論を出したい」と含みを持たせた発言をした(5日日経新聞)ことについては驚かない。
しかし菅直人代表代行が5日のフジテレビで「もともと一切支援すべきではないという姿勢で反対したわけではない。自衛隊派遣そのものに反対したイラク復興支援特別措置法とは違う」と柔軟な対応を示す(6日毎日新聞)に至って、もはや落しどころは見えたようだ。
早晩小手先の修正協議を経てテロ特措法の延長が認められるだろう。民主党の面子を立てる形で自公は妥協する。そして「米国の戦争に加担する」という実態は何も変わらない。
そういう結末になることについて、残念だが私は驚きも、失望もしないことにする。なぜならば、延長を認めずに11月1日から多国籍軍艦船への洋上補給活動をやめるという事は、よほどの覚悟がないと出来ないからだ。自民党は、日本国民の大半が漠然と信じている日米同盟絶対視観につけ込んで、「そんなことで責任政党の資格はあるのか」と民主党を分断しようとするに違いない。政権をとりたい民主党にとっては、反米の烙印を押されては戦えないと考えるのも無理は無い。
それにしても、テロ特措法の延長反対を、政争の具ではなく、真の政策上の理由から堂々と行う事の出来る政党が政権をとる日が来るであろうか。それには少なくとも次の認識を国民が広く共有するようにならなければ難しいと思う。テロ特措法延長問題の落しどころは、はじめから決まっていたということなのだ。
1.「テロとの戦い」は米国の、米国による、米国の戦いである。反米イスラム武装抵抗を「終わりのない戦い」と位置づけ、最後の一人まで殺す戦いである。このような戦いに加担する事を、「世界の平和と秩序に貢献する日米同盟」と繰り返す政府と、それを受け売りする日本のメディアの報道姿勢のウソを国民が見抜けない限り、テロ特措法延長に反対は出来ない。冷静に考えてみるが良い。世界の大多数の国は決して「テロとの戦い」にコミットしているわけではないのだ。
2.「何があっても米国を怒らせてはならない」という対米恐怖の神話が根強く存在する限り延長反対の態度は貫けない。「延長が否決されればとんでもない事になるだろう」(3日毎日新聞、カート・キャンベル、クリントン政権下の国防次官補代理)などと恫喝まがいの発言があたりまえのように報道され、これを真似る日本の親米政治家や評論家が大手を振って通る。この剣幕に押され、正しい対米批判ができない日米関係こそ問題なのだ。
私が知りうる情報では米国はイラク情勢で本当に行き詰っている。民主党はもとより共和党議員でさえもイラク情勢が改善すると思っている者は皆無だという。兵士が不足し、嫌がる兵士を何度もイラクに派兵せざるを得ない。しかも負傷兵の手当ても満足に出来ないらしい。いくら自分たちには無関心だといって、これ以上の手足のもがれた兵士を見せ付けられるのは勘弁してくれとなりつつある。おそくとも来年3月にはイラクからの撤退決議が成立するという。それでもブッシュ大統領は敗北を認めない。強気を崩さない。徹底的にテロとの戦いを強化する。だから、いま日本に抜けられては困るのだ。テロ特措法延長否定の動きに慌てる理由がそこにある。
わが政府や官僚たちが、そのようなブッシュ政権の実態を知っていながら、なお断れないとすれば、それは単に断る勇気が無いだけだの話だ。ブッシュ大統領の怒る顔を見るのが怖いだけだ。もしわが政府が米国は早晩イラクから撤退せざるを得ない状況にある事を知らずに、日米同盟の重要性だけを繰り返してイラク特措法の延長やむなしと考えているのであれば、それは米国政治の現状を知らない単なる無能さを認めているようなものだ。どっちにしても稚拙な外交である。
3.米国の不当な要請を拒否する為には国民の正しい理解と支持がなくてはならない。しかし、今度の選挙でも明らかなように、護憲問題はすっかり国民の関心外である。しかも護憲政党が一向に国民の支持を回復できない。このような現状では、いかなる政党、政治家といえども、米国との関係を見直すという一大事に手をつける余裕は無い。ここに日本の政治の閉塞状況がある。日本のメディアの無責任さを感じる。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/06/
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