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「経済コラムマガジン07/8/6(493号)
・自民党の自殺
・理解不能な自民党の動き
今回の参議院選で自民党が大敗した。これを自民党やマスコミは「年金問題」「閣僚の政治資金問題」「閣僚の問題発言」が原因と主張している。政策は正しかったが、たまたま予期せぬ問題が偶然に次々と起ったからと言いたいのである。
しかし筆者はこれと全く違った認識を持っている。たとえ一連の問題がなくとも、自民党の獲得議席は5程度増えるに過ぎなかったと筆者は見ている。つまり37(推薦を含めれば38)の議席が42程度になるに過ぎない。3年前の参議院選の獲得議席が49だから今回はさらなる大敗である。実際、一連の問題が話題になる前の統一地方選で、既に自民党は相当議席を失っているのである。
やはり自民党の政策が悪かったから自民党は惨敗したと考えるべきである。自民党とマスコミは認めようとはしないが、3年前の参議院選で事実上大敗しているのである。前回の参議院選で、自民党の地盤であった地方の一人区で相当負けているのである。かろうじて終盤の公明党の強力なテコ入れが効き、大惨敗を免れただけである。
自民党の政策は、これまでの自民党の支持組織や支持業界を切ってきただけでなく、強固な地方の支持者を切ってきたのである。この背景にはずっと筆者が主張しているように、自民党が浮動票と公明票に頼る政党に変質してしまったことが挙げられる。たまたま先の郵政改革選挙ではこの戦略がうまく行ったのである。
筆者は、日本では国会の運営上で参議院が衆議院より重要と考える。衆議院議員は解散で簡単に入れ替えられるが、参議院議員は6年間も国会議員を続けるのである。一度参議院選挙で大敗を喫すると6年間は回復が不可能になる。筆者の認識では、参議院議員一人が衆議院議員の二人分くらいの価値がある。
ところがマスコミや世間だけでなく、自民党の政治家にこの認識が薄い。何か参議院議員を軽く見る傾向がある。
自民党は今回の参議院選挙をなめてかかっていた。またPR会社頼りのデマ選挙戦術と公明党の協力で乗り切れると踏んでいたのであろう。これほど重要な今回の参議院選挙なのに、自民党の対処は間抜けなくらい杜撰であった。これでは選挙に勝てるはずがない。
自民党は現実の経済は低調なのに、経済は回復していると強弁していた。これは経済統計のトリックに過ぎない。景気が良くなって失業率も低下していると主張しているが、正規雇用が減って、不正規雇用が増えているだけである。正社員の労働も年々強化されている。ところが自民党は、「自分達の政策が正しかったから経済は回復した」と事実と逆の主張を繰返してきた。だから今回の選挙で、選挙民からなぐられたのである。もし自民党の言っていることが正しければ、自民党は勝っていたはずである。
それにしても自民党の参議員選に向けた動きは理解不能なことばかりであった。今回の参議院選挙に合わせるように、定率減税の廃止や地方への補助金のカットを行った。名目の給料が上がっていないのに、社会保険の値上げも行った。またちょっと前には消費税の非課税限度額を引下げた。まるで参議院選挙があることを忘れ、選挙民に「ケンカ」をうっているような一連の政策であった。
前回の参議院選挙で分かったように、自民党は地方の一人区では勝てないようになっている。つまり自民党はもう地方の一人区に行って選挙運動をやっても無駄なのである。実際、自民党の負けた選挙区は、対立候補にかなり差をつけられている。
先々週号07/7/23(第491号)「参議員選の注目点」(http://adpweb.com/eco/eco491.html)で取上げた麻生外相のアルツハイマー発言で見られるように、自民党の国会議員が農業に無知であることが全国に知れ渡った。マスコミはアルツハイマーという言葉を問題にしたが、自民党の次期の総理候補が農業の現状を全く知らないことが明らかになったことの方が、自民党にとって打撃だったと筆者は見る。この講演に関するニュースを聴いて、日本の農業関係者は「自民党の政治家はばかばっかり」と思ったであろう。
・「日本の均衡ある発展」の放棄
自民党がずっと地方の選挙区で勝ってきたのも、過去からの惰性で選挙民が投票してくれて来たからである。また地方は、自民党の二世、三世議員を受入れてきた。東京育ちで地方に疎いこれらの二世、三世議員にも投票してきた。都会と違い、地方の選挙民は大変律儀である。一度当選すると、その後もその候補者に投票する傾向が強い。つまり政権与党にとって都合が良く有難いのが、衆議院も参議院も地方の選挙区の自民党支持者であった。
しかしこれには「日本の均衡ある発展」という自民党の理念が、暗黙の裡に守られるという前提があった。都会が発展するのは良いが、その効果がそのうち地方にも波及するという思いが地方の人々にはあった。実際、過去の日本では、経済が成長するにつれ、地方にも恩恵が行き渡った。貧しく出稼ぎに頼っていた地方の暮らしも、自民党政権下で良くなった。
ところが都会の好景気が地方に波及しなくなった。その徴候が最初に現われたのはバブル経済の頃からである。バブル経済時代、都会では好景気であったが、地方の経済はそれほど良くはなかった。日本経済の体質の変質したのであり、近年その傾向が一層強くなっている(その原因はいくつか考えられるが、ここでは割愛する)。
それどころか自民党は、財政再建を優先する方向に方針転換し、地方への財政支出はますます削減している。事実上、自民党は「日本の均衡ある発展」という政策をかなり昔から放棄しているのである。明らかに地方の支持者への裏切りである。しかしこのことはあらゆる方面で矛盾を生んでいる。
筆者は、例えば公共事業に関わる団体組織が、いまだに自民党から立候補者を出していることが不思議でならない。公共事業費のような、地方重点の予算からまっ先に削減され続けているのである。ところが選挙に協力した所に優先して予算を付けるという甘言に騙されて、地方の人々は自民党に投票してきたのである。しかし予算全体のパイは確実に減っているのである。地方で自民党に健気に投票してきた人々も、6年も経てば自民党の政治家の「嘘」に気付き始めたのである。
ところで業界団体の参議院議員の多くは、経世会の橋本派(現在の津島派)に属していた。しかしこの橋本派の参議院議員達は、4年前の自民党総裁選でなんと構造改革を唱える小泉首相に投票したのである。決して有利でなかった小泉首相が自民党総裁に再選されたのも、この青木参議院幹事長(当時)が率いる橋本派の参議院議員票が決手となった。実にばかげた投票行動であった(筆者は当時、この人々は頭がおかしくなったのではないか思った)。
しかし再選された小泉首相の構造改革路線によって、これらの支持母体となった業界はおしなべて切捨てられた。これでは参議院選で自民党の候補者が落選するのは当然である。04年、07年(今回)の参議院選挙で橋本派(現在の津島派)の候補者どんどん落選した。今回の参議院選挙は、安倍政権というより、5年間の小泉政権の政策を評価する面が強い。有権者は6年の間に本当のことを知ったのである。最近の国政選挙で業界の集票に走り回った人々は、自民党の構造改革派に利用されただけである。
地方の人々には、いまだに自民党が「日本の均衡ある発展」という理念を持っているという淡い期待がある。だから今回の選挙でもある程度自民党に投票したのである。しかしこれが幻想であったということがはっきり分かってきたはずである。
次回の国政選挙では、自民党はさらに苦戦すると思われる。今回の参議院選挙結果を支持者の「お灸」と呑気なことを言っている人が多い。しかしこれは「お灸」ではない。有権者のはっきりとした自民党離れである。地方の人々は「自民党に騙された」という思いが強い。まさに小泉政権誕生は自民党の自殺行為だったのである。
来週から3週間、本誌は休刊である。次回号は9月3日発行になる。」
http://adpweb.com/eco/eco493.html
与党の大敗は「空気が読めなかったから」とか、「マスコミのネガティブキャンペーンが」とかいう次元のはなしでは無いと思います。安倍首相も与党幹部も、選挙期間中はさかんに「改革か、逆行か」と言っていました。今回の与党の大敗は、有権者の意思は「改革にNO!」だったのでは無いでしょうか。それなのに「更なる改革の継続のため続投に理解を」なんて言っている安倍首相は、もはや「空気が読めない」などという生易しい表現は当てはまらないと思います。
関連
自民溶解のはじまり-有権者をナメていた安倍首相は、もはや空理空論を唱えるハダカの王様-鎌田慧氏寄稿(東京新聞)
http://www.asyura2.com/07/senkyo39/msg/883.html
投稿者 JAXVN 日時 2007 年 7 月 30 日 18:07:56: fSuEJ1ZfVg3Og
安倍首相と自民・公明両党は、「歴史的大敗」という事実を謙虚に認めて受け入れよ (森田実の言わねばならぬ)
http://www.asyura2.com/07/senkyo39/msg/897.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 7 月 30 日 23:23:10: 2nLReFHhGZ7P6
安倍首相の強気を支えているものは「岸真理教」なのか? (江川紹子)
http://www.asyura2.com/07/senkyo39/msg/1330.html
投稿者 ヤマボウシ 日時 2007 年 8 月 05 日 06:38:30: WlgZY.vL1Urv.
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