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先週の今日が投票日だった。気象情報では午後に落雷を伴う激しい雨が全国的に降るといわれていた。その予報は当たった。私は久しぶりに明治神宮まで散歩に行っていた。ちょうど境内を歩いているとき落雷と大雨が来襲してきた。これはかなり凄いものであった。少し待っていれば降り止むのではないかと雨宿りをしていたが雨はなかなか止まなかった。私は少々の雨ならば歩くことにしているが、土砂降りに近い降っ振りだったので地下鉄を乗り継いで帰ってきた。
なぜこんなことに触れたかというと、投票日の天候というのは非常に大切なのである。午後に落雷を伴うかなりの雨が降るといわれれば、遠出は少なくとも見合わせようということになる。しかし、丸一日雨が降っているわけではないので投票所に行きにくい状況ではない。投票日の天候は投票率が良くなるようなものだったのだ。しかし、当日のニュースが伝える投票率は前回に比べて高いものはなかった。前回の投票率を下回るところもあった。一時は私もちょっと不安になった。最終的な投票率は、58.64%であった。前回より2.07ポイント高かった。
私が自治大臣に就任したのは1996年11月であった。1年半後には参議院選挙が控えていた。ところが参議院選挙の投票率は、1986年71.36%(衆参ダブル選挙)→1989年65.02%→1992年50.72%→1995年44.52%と推移していた。当然のことながら自治省でも投票率を上げるための案をいろいろと検討していた。私はこれをみたが、どうもピリッとしたものを感ずることができなかった。それは当然であろう。選挙というものを知っているのは、やはり政治家である。関係の部局長から集まってもらった会合で、私はこういった。
「前回の選挙で投票率が50%を割ったことは、日本の民主主義が危機に瀕しているということだ。こんな状態が続いたのでは、わが国の民主主義の正統性が失われてしまう。やれることは何をやってもよい。とにかく投票率を上げることだ」
役人の会合というのは、多々論じるが先に進まず結論が出ないというのが特徴である。そういう会合でトップである大臣が「何をやってもよい。とにかく投票率を上げることである」という意味は非常に大きいのである。
例えば投票時間を延長すると財政負担がかなり増えるのである。投票作業や開票作業をするのは地方公務員である。国政選挙は国の仕事であるから、当然のことながら国が負担する。休日の労働賃金はもともと高いのである。それに深夜労働手当を加算すると相当なものになるのである。だから財政局からクレームがつくという具合である。大臣が「何をやってもよい」というと、こういうクレームで議論が空回りすることはなくなる。こういうことが政治家のイニシアチィブというものであろう。
投票時間を延長することは、自治省の会合で決まった。ところが担当者が青い顔を私のところにきた。マスコミ特に新聞関係が投票時間の延長に反対だというのである。関係者の話を聴くと投票時間が延長されるといくら締切り時間を延ばしても、全国紙の場合投票結果を載せることができないというのである。全国紙の言い分も分からないではない。しかし、投票率を上げることに全国紙が反対できる訳がない。マスコミ対策も大臣の大きな役割だが、この反対は無視してもよいと私は思った。私のゴーサインは取り消されることはなかった。
期日前投票の導入を含めた改善策は実施された。1998年の参議院選挙の投票率は58.84%であった。14.32%アップした。その中で自民党は45議席しか獲得できなかった。橋本首相は即日辞任した。この永田町徒然草を日曜定番の政治番組をみながら書いている。自民党の議員が出演していろいろなことをいっているが、役人の議論を聞いている思いがする。多々弁ずるが、結局は何もしようとしないのである。自民党はもう政治家が作る集団ではないのである。政治家が作る集団でない政党というのは、いったい何なのであろうか? そんな政党が政権を運営しているから官僚政治は一向に改まらないのである。国民はもうこのことに気がつき始めたのである。勝手にやればいい。自民党の本質をさらに暴露するだけのことだ。
それでは、また明日。
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