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(回答先: 小沢一郎と日米関係(天木直人のブログ 8/2) 投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 02 日 15:20:57)
2007年08月02日
小田実の言葉
小田実が死んだ。そう気安く書くほど私は小田の事を知っているわけではない。それどころか一面識もない。私が「小田を知っている」というのは、わずかばかりの彼の著作や新聞記事から伺う小田の言葉だけである。それは「知っている」というにはあまりにもおこがましいほどの係わり合いである。しかし人間同士の係わり合いは、どのようなものであってもこよなく個人的なものだ。ましてやあっという間の短い人生を生きている人間同士である。一言の言葉さえもそれが琴線に触れたなら十分な係わり合いである。勝手にそう言わせてもらう。
私が小田実に関心を持ったのは、「何でも見てやろう」(河出書房新社)を読んだからではない。仕事を休職して入院していた時に手にした、「生きつづける」ということ(筑摩書房)という本であった。「・・・問題は生きるということより生きつづけるということではないか・・・私は生きがいを求めないだろう。生きがいを求める生き方とはちがったところに、わたしの生きつづけるということの基本をおこうとするだろう・・・」という小田の言葉は当時の私の心を奇妙に捕らえた。
以来小田は気になる存在であった。生来の市民運動家であった小田は、権力の中に身を置いて一切の無駄を嫌った私という官僚とは、およそ対極的な生き方をした人間であったと思う。それでも私は小田の言動になぜか惹かれた。
その小田が、その最後の著作と思われる「中流の復興」(NHK出版、生活人新書)のなかで放つ言葉の数々は、官僚を離れて自由になった私の心に今まで以上に強く響く。その中で小田は、「・・・抗議のデモ行進をすることもストライキをすることも、決して異常なことではない。民主主義の先進国としての西洋諸国に存在し、機能している主権在民の政治である・・・」と言い切って、ブレア政権のイラク派兵に反対して「市民よ、反対のデモ行進に立ち上がれ」と檄を飛ばしたロンドン市長の事を引用していた。今では誰もイラク戦争の事を語らなくなったが、このロンドン市長の事を私は鮮やかに思い出す。
その小田の言葉をまた見つけた。7月31日付の読売新聞で、尾崎真理子記者が追悼記事を書いていた。その中で小田の次の言葉が紹介されている。「・・・銃社会のアメリカでは、野蛮さを秘めて自由と民主主義が成立している部分がある。しかし日本では民主主義と自由と、それからもう一つ、平和主義がある・・・戦後9割が中流だと自覚している時代が長く続いたでしょう?あの感覚が日本の民主主義を支えてきた。格差社会になるのは危険なんです・・・」
このうえない平和主義者であり、反権力者であった小田の冥福を心から祈りたい。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/02/
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