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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007080202037923.html
2007年8月2日 朝刊
政治とカネをめぐる疑惑に、渦中の閣僚はとうとう説明責任を果たそうとはしなかった。一日、安倍晋三首相に更迭された赤城徳彦前農相。辞任の理由として「与党敗北の一因になった」という内向きの論理を披露し、肝心の疑惑については言葉を濁した。領収書の公開も最後まで拒否。安倍首相も、佐田玄一郎前行政改革担当相、松岡利勝元農相、そして赤城氏と疑惑が相次いだにもかかわらず、参院選で惨敗するまで、政治資金の透明化に指導力を発揮することはなかった。
「叱責(しっせき)や批判を率直に受け止める」「すべて私の不徳の致すところ…」
一日午後一時五十五分。予定より二十分以上遅れて、農林水産省の会見室に現れた赤城氏は、こう反省の言葉を口にしてみせた。だが、領収書を張り付けた政治団体のファイルを持参しながら、ちらっと見せただけ。
事務所費問題をめぐる不明朗さは、最後まで晴れることがなかった。
「昨晩、一人静かに考えた。国務大臣の職を辞し、けじめをつけるべきだとの思いに至った」
午前中に首相官邸に呼ばれた際はノーネクタイだった赤城氏だが、記者会見では一転してクリーム色のネクタイをきちんと締め、表情は硬い。
自身の後援会の過去三年分の領収書が添付されたというファイルを掲げながら、「領収書を調べなおしたところ、間違いだと確認したので訂正した。ミスは二点のみだった」と、経費処理の適正さを強調した。
だが、肝心の領収書の公開については「与野党を通じて決まったルールがある。疑われたからといって、私がすべて公開するのはどうか」と、あくまで拒否する姿勢を崩さなかった。
実家に主たる事務所を置きながら、多額の事務所費を計上している問題についても「水戸事務所との合算で経費を計上していると、何度も説明した。そのことがほとんど報道されず、国民の理解が得られなかった」と、マスコミの報道に不満をにじませていた。
『哲学ない首相、場当たり対応』
参院選での惨敗を受けて、自民党はすべての政治団体の一円以上の支出に領収書添付を義務づけるよう政治資金規正法の再改正を目指す方針を示したが、安倍首相は、それまでは政治資金の透明化について消極的な姿勢に終始してきた。
「月八百円で辞任要求するのか」
赤城氏の疑惑が発覚した後の先月八日、安倍晋三首相はテレビ番組に出演。政治資金収支報告書で二〇〇五年の光熱水費が月額に直すと八百円となる点を引き合いに出して、罷免を求める野党側に食ってかかった。
その前日にも、記者団の質問に「赤城氏はしっかり説明したと聞いている」と強気で弁護。「政治資金規正法に従い適正に報告している」と突っぱね続けた赤城氏に、さらに詳しい説明を指示することはなかった。
安倍首相は、参院選公示を翌日に控えた党首討論会でも「問題の発端は赤城氏の両親が『事務所が実は使われていない』と誤解を与える発言をしたこと」と、赤城氏の両親に責任を転嫁するかのような発言をした。
安倍内閣では発足間もなくから「政治とカネ」の問題が相次いで浮上。昨年十二月には佐田行革相(当時)が、収支報告書に不適切な処理があったとして辞任した。
年明けには松岡農相(当時)らの事務所費をめぐる問題が浮上。松岡氏は、多額の光熱水費を計上しているとして国会で追及され「『何とか還元水』とかいうものを付けている」と釈明した。
安倍首相はこの時も一貫して松岡氏を擁護。松岡氏は説明責任を果たさないまま、五月二十八日に自ら命を絶った。首相は「ざんきに堪えない。私は任命権者だから当然、閣僚の取った行動に対して責任を感じている」と述べたが、政治資金の透明化に向けて指導力を発揮する姿勢はみられない。
国会会期を延長し、参院選直前の六月末に改正政治資金規正法を成立させたが、五万円以上の経常経費に領収書の添付を義務付けたのは、数ある政治団体のうち資金管理団体だけ。当然のように「ザル法」と批判を浴びたが、首相は「透明性の改善で大きく前進した」と胸を張っていた。
政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之・神戸学院大大学院教授(憲法)は「あんなザル法に胸を張ること自体が庶民感覚のなさの表れ」と首をかしげる。「カネの流れを透明にし、国民が使い道の可否を判断することで、民主的な政治過程をつくるという哲学がない。哲学がないから、国民に批判されるたびに、少しずつ透明化を図るような場当たり的な対応に終始しているのではないか」と分析した。
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