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「円高・ドル安」はブッシュの既定路線?
「ドル高」を「ドル安」にすり替えるブッシュ政権
昨年11月以降、円ドルレートは一気に「円安・ドル高」で推移。そのため、社内レートを1ドル=110〜115円で設定している日本の輸出関連企業は、いわば「ぼろ儲け」。これが日本の株価を一気に押し上げたことは記憶に新しい。
しかし、7月も後半に入って次のような気になる記事がニューヨークから配信された。「歴史的安値へのドル下落、ブッシュ米大統領には致命傷ではなく恩恵」と題する7月23日付ブルームバーグの記事だ。
それによれば、米連邦準備制度理事会(FRB)がまとめた38の米国の貿易相手国の通貨に対するドル相場の動きを見る限り、ブッシュ政権になってからの下落率は13.2%。これは歴代大統領の中で最大の「ドル安」なのだという。とりわけ、顕著なのがユーロ、ポンド、カナダ・ドル、そしてブラジル・レアルである。
こうした「ドル安」について、米系最大手投資銀行や米国におけるアカデミズムの長老たちは、むしろブッシュ政権にとって好ましいものだと議論する。なぜなら、これによって米国製品の輸出は盛んになるからだ。そしてついには、「ドル安は米国を超え、世界経済全体の利益でもある」とまで断言する。あたかも、「ドル安」はブッシュ政権の既定路線であったかのような言いぶりだ。だが、米国の金融国家戦略は90年代半ば以降、とりわけ「強いドル」を意識してきたのではなかったのか?
議会で動き始めた民主党のブッシュ攻め
マーケットというとどうしてもニューヨークに注目しがちだ。しかし、現在の「米ドル」を語るに際して、それだけでは決定的に判断材料が足りない。
なぜなら、米国では今、来年12月に行われる大統領選挙に向けたプレ選挙戦の真っ最中だからである。とりわけそこで攻撃の的となっているのが、ブッシュ政権の外交政策。中でも一番、派手に取り扱われているのがイラク問題だ。「いつになったら米軍は撤退できるのか」と大騒ぎになっている。
ところが、その影に隠れつつも、マーケット的にはより大きな意味を持つ外交問題がある。それは「中国」だ。安い人民元を放置することで、今、米国は安い中国製品による輸出攻勢にさらされている。これに対し、野党・民主党は「失業を輸出する中国が、その原因となっている人民元を切り上げないのであれば、貿易上の制裁措置を講ずるべし!」と気勢を上げているのである。
しかも、これまで日本ではほとんど知られていない事実なのであるが、やり玉に挙がっているのは人民元だけではない。「円」もまた同じ憂き目にあっているのだ。「日本車が売れているのは、日本の実力によるものだけではない。為替レートが不当に円安だからだ」という声が米国議会で7月に入って一段と強くなっている。
だからこそ、ブッシュ政権は「世界的に見ればむしろ『ドル安』。そのためにブッシュ政権も努力してきたのだ」と反論する。しかしその先は…何を目論んでいるのか、ワシントンでの政治力学を知らなければ、皆目見当がつかないのだ。
ワシントンの今を知る方法とは?
金沢(9月15日)、そして仙台(9月22日)で開催する原田武夫国際戦略情報研究所主催の無料学習セミナーでは、それでは「ワシントンの今」はどうなっているのかについて、じっくりとお話したいと考えている。なぜなら、平均株価が今一つ冴えず、「三角合併」も全く進まない中、ひたすら下げる新興市場がより目立ってくるなど、「株式マーケット」の体たらくを見て、日本の個人投資家の多くが次々と「外国為替証拠金取引(FX)」へと吸い込まれていっているからだ。
だが、繰り返しになるが、米ドルの行方は、ワシントンでの政治力学が決める状況にますますなりつつある。「日米同盟バンザイ!」と大声で叫びつつも、実際には米国内政の「本当の今」を語ろうとしない日本の大手メディアを見ているだけでは、全くその実情は分からない。そして、「分からない・知らない」中で投資をすれば、その先が「奈落の底」であることは見えている。
これまでもダウンロード版「『世界の潮目』を乗りこなす」では、「ワシントンの今」と「為替」について、タイムリーなメッセージをお伝えするよう心がけてきたつもりだが、東アジアのマーケットが大転換を迎える今秋に向けてその必要性は増すことはあっても、減ることはどうやらなさそうだ。
「日本人とアラブ人がやってきたらマーケットはおしまい」という格言をかみしめながら、「今、なぜ、多くの日本の個人投資家がFXをやっているのか」とふと疑問を持つクールな頭と、海の向こうの「今」に手を伸ばす心がけこそが重要な局面に入りつつある。
[新世紀人コメント]
米国株暴落も頃合を見ての計画的なものでしょう。餌を撒いておいて奪い去ったと考えるべきでしょう。
異常な株高が続く時は警戒すべき時なのです。常識とは思いますが。
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