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参院選広島・自民を撃ち漏らした野党・連合の正体
さとうしゅういち2007/07/31
ご承知のとおり、第21回参議院選挙は自民党・公明党のまさに「圧敗」「KO負け」でした。
自民党 37
公明党 9
与党系無所属 1
民主党 60
共産党 3
社民党 2
国民新党 2
新党日本 1
野党系無所属 6
総務省は30日午前4時過ぎ、今回選挙の選挙区投票率を58.64%と発表。前回を2.07%を上回った。なお、比例区票は58.63%でした。
自民党は1998年の橋本総理当時の44議席を下回り、1989年の宇野総理の36議席にも匹敵する惨敗です。
「沿道20km比例区ポスターなし」自民党惨敗の予感
筆者は28日、間抜けにも新幹線を乗り過ごし、広島県南部の海岸線を20km家まで歩きました。途中、驚いたことがあります。自民党比例候補のポスターを1枚も見ませんでした。目分量で国民新党3割、民主党4割、公明党2割、共産党1割でした。
自民党は小泉さんのときは保守層を叩いて都会の浮動票に溜飲を下げてもらいました。また、地方から都会の大手企業に利益をつけかえました。さらに公明党にいわば下駄をはかせてもらった。
そこで、小泉さんは地方ではやや苦戦しながらも、都会では2005年の9.11総選挙では特に、大勝しました。
下関市内のポスター「成長を実感に」と言うこと自体、成長していないことを自白しています。 しかし、安倍さんは古臭いので都会の若者や女性も離れたようです。山口のようなお膝元でも、安倍さんは小泉さん同様地方を大事にしないということで、人気がないようです。
記事:「選挙・投票直前安倍総理の地元・下関を直撃!」の取材では、山口選挙区の候補者は、「安倍隠し」に走り、むしろ大物衆院議員だった父以来の組織固めに走り、当選を果たしたのが真相と言うことです。
地方では景気は良くない。事実、ここ10年以上1人当たりGDPが成長していないのは主な先進国では日本だけです。「成長を実感に」なんてポスターを貼らなければいけないというのは、「成長」していないからです。
さらに改憲といっても日本防衛ではなく、アメリカに追随して戦争しまくるのでは?という疑念が保守層にも、広がっている。保守層といっても本気で自民党のイデオロギーを支持しているわけではなく、与党で安定感があるとかそういったことで支持している人が多かったのです。
かくて、自民党は浮動票が取れない上に組織票もあまり動けていない。そういう私の理論の一定程度の的確さを、をポスターで確認し、自民党惨敗を予感しました。
また、「平和と福祉の党」のはずの、自民党の政策を推進した公明党にも批判が予想以上に集中。1桁に低迷するまさかの惨敗でした。公明党の「不敗神話」は崩壊しました。
広島でも自公苦戦
選挙区開票結果・広島県(改選数2)確定得票
当 佐藤公治 元衆院議員 民主新 570,823
当 溝手顕正 防災担当相 自民前 389,881
河野美代子 産婦人科医院長 無所新 199,222
藤本聡 志党県常任委員 共産新 63,488
吉長ゆい 茶葉販売会社長 無所新 54,473
福本潤一 元農水政務官 無所前 21,956
溝手さんの得票率はわずかに29%。うまく反自民候補で票が割れていれば、落選の可能性もあった票数です。
比例代表でも大苦戦でした。
自由民主党 344,096
公明党 186,532
民主党 513,296
日本共産党 68,270
国民新党 56,447
社会民主党 55,053
新党日本 27,469
女性党 14,402
9条ネット 13,610
維新政党・新風 3,237.000
共生新党 1,752.000
公明党は大きく得票を減らし、20万票を斬り、衰退振りが鮮明に。もともとは、20.8万くらいで、3万くらい自民党から選挙協力でもらっていたのでしょうが自民党も余裕がないので票を返してもらいました。
自民党も2004年の9割程度、9.11総選挙からすれば20万票以上減らしました。2000年衆院選から見ても10万減らしています。
一方、社民、共産、国民新党は、新たに参入した新党日本や9条ネット、そして民主党に票を食われました。9.11総選挙と野党の総得票はあまり変わりません。
自民党と公明党が勝手にずっこけたという面があります。2000年から比べると、組織票から10万票(その分民主党や国民新党に寝返っている)、2005年の9.11総選挙で獲得したようなネオコン的な無党派層も20万票以上失ったのです。
選挙区では溝手顕正さんは自公合計の53万票を15万下回りました。おそらく、この部分は大半が河野美代子さん、一部は吉長ゆいさんに流れたのではないか、と推測されます。河野さんは、自民党、公明党支持層の2割強程度にも食い込んでいるという事前の調査から見ても、大体うなずけます。
筆者は開票の時に、広島選挙区の無所属・河野美代子さんの事務所を取材しました。河野さんは残念ながら当選に及びませんでしたが、すっきりした顔で支援者に挨拶されました。
「昨日マイク納めしたときここまでよくやったと思った。3ヶ月走ってきた。ポスターはれるかどうかも不安だった。しかし広島、福山、北部あわせて1000人以上のボランティアが頑張ってくれた。何にもしないで、憲法を変える党派に議席を与えられないと思った。組織選挙は強かった。組織は強い。ただ頑固に訴えた命を粗末にされるというのは事実だし、そのあとには憲法改悪があると思う。問題提起をすることができた。心は爽やか。楽しかったです。貴重ないい思いをさせてくれた!ありがうございます」
その後、河野さんの京都の友人山中章さんから花束と代読メッセージありました。
中国新聞など地元紙が、河野さんの訴えるテーマを「護憲」としつこく報道したのですが、取材していた私からすると、「9条ばかりを言う護憲」のイメージを新聞の報道は醸し出してしまっており、河野さんの政策と乖離があると感じました。「年金か憲法か」と二分法でやってしまうことに違和感を覚えました。
報道陣の質問に、河野さんは「護憲ではない。いのちがテーマだった。年金、介護、医療、憲法は一体のものとして訴えた」と答えた。
自民党討ち漏らした「連合広島」幹部の戦略ミス
ただ、野党側のミスもあった。特に、河野さんの支持者も組合員にいる、連合広島の対応は、むしろ「二大政党」に固執するあまり却って自民党をアシストしたと悔やまれます。溝手さんを通したことは、自民党を減らしていないので、全国的に自民が敗北した中では「野党敗北」とさえいえます。「広島の野党は、自民党を討ち漏らしたか」という思いが私にはあります。
関連記事: 選挙・連合広島幹部が自民党をアシスト?
連合広島幹部は今回、異常なまでに、組合員に締め付けを行いました。公務員のある組合では、勤務時間中に、民主党候補への投票依頼を行ったとして「産経新聞」地方版に槍玉に挙げられました。あるいは、勤務時間中に突然役員が呼び出され、「佐藤さんが危ないから」と檄を飛ばし、はがきを書くことを強制した、などをしたという組合もあると聞いています。
連合広島幹部は、自民党を落とすことより、河野さんを邪魔することにむきになっているように見えました。そして、「政権交代には二大政党、民主党しかない」という固定観念に囚われ的確な戦略がないように見えました。すなわち、2人区で自民党を減らすには河野さんが通るしかないのに、佐藤さんで強引な締め付けを行ったのです。
結果、佐藤さんが走りすぎて、大量得票が予想され、中国新聞の「民主、自民安泰報道」もあって、人々は、しらけてしまったわけです。
三国志に広島選挙区の構図を喩えた。野党側は仲たがいせずに、自民打倒で一致すべきだったが、連合広島幹部がそれをぶち壊した
私は現場で見ていて、あそこまで「河野さんへの投票は死に票」になると解釈できる、宣伝をされながらよく20万人近い、保守層から革新、いままで選挙に行かなかった人も含めた幅広い人々が投票所に足を運んだものだと思いました。
それにしても、連合広島幹部は、労働者のために、政権交代のためにどうすればよいかという戦略が全く欠落していたのです。傘下の組合幹部も連合広島幹部を諌めるどころか「連合の中で影響力を持たんといけん」などと言い出し、暴走がとまらなかったのです。
こんなことを続けていたら、本当に良識的な労働者からは見放されてしまいます。そしてそのことは労働者全体にとって不幸なことです。連合広島幹部は真摯に反省していただきたいと思います。
図のような、いわば、民主党と無所属が「打倒自民」を競い合う「三国志」構造にすべきだったのですが、それができなかったわけですから、そはいっても、「腐っても自民党」。溝手さんが逃げ切ったのは当然でした。
JANJAN
http://www.news.janjan.jp/election/0707/0707300098/1.php
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