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小沢民主、「硬軟」両様 テロ特措法で対決へ(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/07/senkyo39/msg/1018.html
投稿者 天木ファン 日時 2007 年 8 月 01 日 09:39:12: 2nLReFHhGZ7P6
 

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/07saninsen/news/20070801ddm003010023000c.html

民主党の小沢一郎代表が31日、選挙後初めて公式の場に姿を見せ、安倍晋三首相に早速対決ののろしをあげた。政府・与党が落とせない案件であるテロ対策特別措置法の期限延長に反対する方針を明言、秋の臨時国会が緊迫することは確実になった。与党を早期衆院解散に追い込むための「攻撃」と、政権の受け皿としての「安定感」をどう両立させるのか。小沢氏にとっても、逆転参院をどう生かすかは難しい課題となる。【鬼木浩文、竹島一登】

 ◇早々と「延長反対」表明

 「びっくりした。秋の政局の最大の焦点なのに対応が早すぎる」

 参院民主党の若手は驚きを隠さなかった。選挙後初登場した小沢氏が、党本部で記者団に「(これまで)反対したのに賛成するわけない」とテロ特措法の延長反対をあっさり明言したからだ。

 同法に基づき、海上自衛隊は、インド洋に艦艇2隻を派遣、米国を中心とする11カ国の艦艇に給油活動を行っている。同法が延長されなければ、11月1日の期限切れをもって撤退を迫られる。政府は、秋の臨時国会で期限を延長する予定だが、認められなければ、日米関係が大きく揺らぐことは確実だ。

 民主党は、過去3回の延長にいずれも反対したが、テロ対策自体には前向きだ。01年の同法成立時に、鳩山由紀夫代表(当時)らは自衛隊活動の「事前承認」を条件に賛成に回る意向だったが、与党に拒否された。前原誠司前代表が30日、「本当に我々がノーと言って(自衛隊が)撤退すれば、日米関係は大変なことになる」と語るなど党内は一枚岩ではない。

 それでも小沢氏が反対を明確にしたのは、秋の臨時国会を与野党攻防のヤマ場とみたことに加え、参院選圧勝を経て党内掌握は可能との自信からとみられる。逆転参院での与野党攻防で、民主党には98年の金融国会で金融危機問題を「政局にしない」方針を取り、結局は小渕政権の存続を許した苦い教訓もある。

 参院で民主党が取りうる戦術の一つが採決引き延ばしだ。憲法上、衆院で可決した法案は参院が否決しても、衆院が出席議員の3分の2以上の多数決で再議決すれば成立する。しかし、参院が議決しない場合、否決とみなすには60日の経過が必要。秋の国会召集は9月とみられるため、民主党が10月末まで採決しなければ、衆院で再議決を図る機会もないまま特措法の期限は切れてしまう。

 参院で延長を否決するのも選択肢の一つ。与党は、衆院の再議決で成立させることもできるが、参院選で惨敗した公明党は安倍内閣の「タカ派」色に距離を置こうとしており、自民党内にも安倍首相続投に不満を抱く勢力が多い。自民には、強引に動くと与党の混乱を招き、政界再編を目指す小沢氏の戦略に乗せられかねないというジレンマがある。

 こうした背景から、小池百合子防衛相は31日の会見で「わが国が引き下がることは責任ある政党の結論ではない」と民主党を強くけん制したが、自民党の閣僚経験者は「否決されれば安倍首相は衆院解散に追い込まれる」と厳しい表情で語った。

 ◇「首相問責」には慎重

 小沢氏は安倍首相に対する問責決議案の参院提出について「そんなことは今、考えていない」と慎重な姿勢を示した。

 与野党逆転の参院で問責決議が大きな効果を示した例に、98年10月、防衛庁不祥事などをめぐる額賀福志郎防衛庁長官への問責決議がある。法的拘束力はないが額賀氏は辞任し、自民が自由、公明両党との連立で過半数回復に走る要因となった。それだけに小沢氏がいつ安倍首相の問責決議案を繰り出すかは大きな焦点だ。

 小沢氏の発言について、同氏に近いベテラン衆院議員は「昔の野党みたいに『反対、反対』ではダメだ。参院では与党らしく振る舞わなければいけない」と解説する。国会で与党を攻め、衆院早期解散に追い込むだけでなく、政権の受け皿としての能力を示すことが民主党にとって大きな課題というわけだ。

 そこで、小沢氏が描くのが対決法案の提出戦略だ。先の通常国会で与党に否決された政治資金規正法改正案や、廃案となった年金保険料の流用禁止法案を再提出、他野党の同調も得て参院で可決し、世論に訴えることが狙い。菅直人代表代行は「わが党の主張をいくつか実現していくと、どこかで(自民党との)差が出る。そこで衆院解散に追い込み、どちらが政権を担うべきか国民に判断してもらう」と語る。

 ただ、その過程で民主党のマニフェスト(政権公約)も実現可能性が問われる。年金制度では月額7万円程度の最低保障年金の創設をうたう。新たに必要な6・3兆円の財源は、消費税率5%を据え置いたまま行政の無駄を省いて捻出(ねんしゅつ)すると説明する。

 小沢氏の健康問題もアキレスけんだ。小沢氏は「国民の皆さんがそうしろという場合には天命に従う」と首相への意欲を示すが、昨年9月にも体調不良を訴え11日間検査入院した。

 ◇「ねじれ国会」−−同意人事もカギ

 参院では与野党逆転したが、憲法は首相指名と予算、条約の議決で、衆院の優越を定めている。

 首相指名では、衆参各院が異なる判断を示した場合、両院協議会でも意見が一致しないか、衆院の指名後10日以内に参院が指名しない場合、衆院の議決が国会の議決になる。予算と条約も、両院協議会で意見が一致しないか、衆院を通過し参院に送付後30日以内に議決しない場合、衆院の議決が国会の議決になる。

 一般の法案は参院で否決されても、衆院で出席議員の3分の2以上の賛成で再議決すれば成立する。また、参院に送られた後、60日以内に参院が議決しない場合は否決とみなされ、衆院の3分の2以上の再議決で成立する。見落とせないのが国会の同意が必要な人事。例えば来春任期が切れる日銀総裁は参院が不同意だと就任できない。【西田進一郎】

毎日新聞 2007年8月1日 東京朝刊

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