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http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=706 から転載。
トヨタは労働者を“部品と同じように”扱う トヨタ取材歴17年『赤旗』記者に聞く
伊勢一郎 00:04 07/20 2007
キヤノンのワーキングプアや松下の偽装請負、トヨタ車のリコール、国会議員の事務所費問題やゼネコンの談合問題など、『しんぶん赤旗』の記事から火がつき社会問題化した事件は近年数多い。赤旗の編集局を訪ね、その強みがどこにあるのか聞いた。そして、経団連の人事も左右するトヨタを17年間取材し、サービス残業、過労自殺などを追求してきた記者に、トヨタ1人勝ちの歪みについて語ってもらった。
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【Digest】
◇他紙が後追い、冷蔵庫偽表示スクープ
◇偽装請負問題を地道に調査報道
◇広告収入に依存せず大企業も告発
◇サービス残業、リコール隠しなど
トヨタの内情を次々報道
◇1人勝ちするトヨタが日本を歪める
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◇他紙が後追い、冷蔵庫偽表示スクープ
一政党の機関紙であり、日本記者クラブにも加盟していない赤旗が、なぜ他紙が後追いせざるをえないようなスクープを連発できるのか。『しんぶん赤旗』の編集局長奥原紀晴氏の実感では、この2、3年で赤旗の影響力は確実に強まっているという。
奥原編集局長(以下、奥原)「私自身も、『週刊朝日』や『読売ウイークリー』など他のメディアから、国会議員の事務所費問題や石原都知事の税金飲食の問題などで何回も取材を受けています。
以前はウチが問題を追及しても各紙が後を追わなかったけれども、最近は後を追うようになってきました。行政もわりとすぐに動くようになってきた。2005年6月に報じた、冷蔵庫の消費電力虚偽表示のスクープが大きかったと思います」
きっかけは、『赤旗』編集局に送られてきた埼玉県の市民からのメールだった。新築したばかりで週末しか使っていない家の電気代が異様に高いことに不審を抱いた市民が、自力で調べた結果を知らせてきた。
その通報を受けた『赤旗』が、取材を重ねたところ、カタログに表示された消費電力量は冷蔵機能だけの消費分で、冷凍、霜取り機能は止めた想定にして、不当に低く見せていたという。この報道が経済産業省を動かし、翌年5月にJIS(日本工業規格)基準を改正させ、消費電力表示をそれまでの2倍から5倍に是正させた。
この間、他の一般紙は、大手家電メーカーが広告収入の多くを占めるため、ほとんど報道できず、JIS基準が改正されて初めて報じることができた。
『赤旗』編集局社会部の栗田敏夫部長は、「この問題は、一般紙が完全に黙殺していたのに、『赤旗』の報道で行政が動き、行政が発表するとメディアも報道するということになったのです。他紙は、メディアの役割を果たさなかったということです」と断じた。
このスクープを契機として、『赤旗』がとりあげた問題を他紙が後追いする事例が増えてきた。昨夏から話題になった偽装請負問題もその1つだ。
◇偽装請負問題を地道に調査報道
『赤旗』日曜版では早くも2005年10月2日号で、偽装請負を告発し直接雇用を勝ち取った松下プラズマディスプレイ(大阪府)の吉岡力さん(半年で解雇され、裁判闘争中)の闘いを報じていた。
その記事を書いた日曜版の岡清彦記者も、当初は偽装請負とはなんなのかがよくわからないままに取材を重ねていたという。
岡記者(以下、岡)「当時は、そういうことがあるんだなあという程度で、記事には何の反応もありませんでした。僕らもやっていてもよくわからないんです、これが重要なニュースかどうか。でも、これは何かおかしい、何かひっかかると感じて、もう少しやってみようと継続的に取り上げ、それを編集局も後押ししてくれました」
『赤旗』日曜版取材チームが追い続けた偽装請負問題は、2006年7月末に朝日がキャンペーンを張ったことで一躍、社会問題になり、大規模な偽装請負を続けてきたキヤノンの会長でもある御手洗冨士夫日本経団連会長は厳しい批判を浴びることとなった。
『朝日新聞』がキヤノンの偽装請負の取材を進める中、『赤旗』はキヤノンの労働者と接触する手立てが全くないままに、大分キヤノンの工場の取材を開始した。
岡「ちょうど1年前の7月初めで暑い時期でした。工場のそばに建つワンルームマンションの扉を叩いて回っても何の反応もないままでしたが、レンタカーで周囲を巡るうちに夕立が来て、雨がざーっと降っている中で、ずぶ濡れになりながらキャッチボールをしている青年達がいました。
レンタカーを止めて、なんでこんな雨の中でやってるんだ、と話しかけたら、金がないんだ、こんなことしかやることがないんだ、と話をしてくれた。彼らはキヤノンの非正規労働者で、それが糸口になり、マンションに入れてもらってじっくり話を聞くことができました。
こういう記事を出すと、読者からの反応がものすごくあります。
例えば、偽装請負で働かされている彼らは、以前はフリーターというよくわからない概念で呼ばれていました。親の世代からは、自分の息子や娘が次々と仕事を変える、そんな気ままでいいのかな、と思われていた時期がありました。
ところが、そうじゃない、そんな気ままにやっているんじゃなくて、そういうふうに働かざるをえない労働者が、天下のキヤノンや松下、トヨタにもたくさんいる、というのがわかってきました。
これはいったいどこに原因があるのか。社会の仕組み、政治の根源まで問題提起したときに、ああなるほど、今まで自分の子供をそんな目で見ていたのは間違っていたな、という反応がありました。そうすると我々も、もっと取材を重ねよう、ということになります。
僕が今まで偽装請負をやってきたのも、そういう読者からの後押しがあるからです。
一般紙は一度花火みたいに打ち上げると、なかなか後が続かないことが多いが、ウチは偽装請負も2年余りかけてやってきて、ようやく動きが出てきた。それくらいの年月をかけないと、世の中に大きな問題を提起できません」
『しんぶん赤旗』日曜版取材チーム 『ワーキングプアと偽装請負職場ルポ-非正規雇用を追って』(日本共産党中央委員会出版局)と、朝日新聞特別報道チーム 『偽装請負格差社会の労働現場 』(朝日新聞社出版局)は5月の同時期に刊行されたルポだが、朝日が大所高所に立った社会学的視点なのに対し、赤旗のルポは、労働現場にとどまらず一人一人の生活事情までを丹念にすくいあげ、困窮する労働者に寄り添うことで、読む者に偽装請負の実態が染み入ってくる。
奥原編集局長は、スクープには二種類あると語る。
奥原「企業や行政の人事とかを1日かそこら早く抜くスクープにはほとんど意味がない。どうせわかることをスクープと称しているのは恥ずかしい。本当のスクープとは、隠したままでいると社会全体が損害を被る問題を暴き出すことです」
◇広告収入に依存せず大企業も告発
しかし、事業収入に匹敵する広告収入を得ている一般紙では、広告主となる大企業の問題点を告発するのは容易ではない。
元朝日新聞編集委員で経済ジャーナリストの阿部和義氏のブログ によれば、キヤノンの偽装請負キャンペーンを張った朝日新聞に対して、キヤノンは2006年10月末以来、広告の出稿量を減らし、朝日が共催する美術展への協賛を開催直前に下りるという露骨な報復に出ている。
一面広告で約3000万円という広告収入を失うことは、朝日にとって大きな痛手となるという。
奥原「一般紙と違い、共産党は企業献金を一切受けないという方針を貫いているし、『赤旗』は大企業の広告は一切載せないという方針なので、全く遠慮がいらない。大企業が社会的責任を果たさずに不当なことを行う場合には、その行為を暴いていくことができます.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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