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7月18日付の『読売新聞』に「参院選本社情勢調査」の記事が掲載されている。この情勢調査は、7月14〜16日にかけて電話で行われ、4万1735人から回答を得た世論調査を基にしている。これに過去のデータや同社の取材網や各政党からの情報を加味して総合的に判断したものである。今後各報道機関も同様の情勢調査を発表するであろうが、少なくとも今回の参院選では私が目にした最初の本格的な情勢調査である。週刊誌の選挙予測などとは質的に違うものである。ここには、恐ろしいことが書いてある……。
まず昨日論じた内閣支持率であるが、支持する者27.9%・支持しない者51.7%・その他18.3%・答えない2.1%と書いてある。「その他」がどういうものなのか、この記事だけでは判らない。このようなものや無回答は無視するのが、世論調査のみるときの見方である。内閣支持率が27.9%であるというところが重要なのである。『朝日新聞』の連続世論調査でも、直近4回の内閣支持率は31→28→31→30%であった。『読売新聞』もこれまでも月1回くらい世論調査を実施し、これを発表してきた。そのデータを手元にもっていないが、確か『朝日新聞』の数値より少し高かったように記憶している。
それにしても世論調査というのは、面白いではないか。『朝日新聞』の連続世論調査でいえることは、内閣支持率は基本的には30±2%と昨日述べた。調査方法やサンプル数が異なっても、今回の『読売新聞』の世論調査では27.9%である。0.1%足らないが、見事に30±2%の範囲内に納まっているではないか。正しい世論調査の手法で行えば、その結果は恐ろしいほど一致しているのである。だから、科学的手法というのである。もし誤差があるとすれば、『読売新聞』の強烈なファンは『朝日新聞』の調査にはちょっと斜に構えた回答をするだろうし、この逆のこともいえる。これは世論調査では数値として現れてこない(笑)。
先ほど触れた「その他」と無回答という数値には、このようなものが含まれているのではないだろうか。現在では、『読売新聞』と『朝日新聞』の主張や傾向は大きく異なり、かつそのことを多くの国民が認識している。また読者数も多い。だからそれぞれが行う世論調査には「斜に構えた回答」が出てくる可能性があるのである。例えば内閣支持率に関する同記事の見出しは、“「参院選に関心」78% 内閣支持率3割切る”となっているが、『朝日新聞』ならば逆に“内閣支持率27.9% 「参院選」に関心78%”と付けるであろう。こういう目で新聞を読むとこれはこれとしておもしろいものである。
この記事は選挙情勢調査として、きわめて衝撃的なことが書いてある。まずどこでもいわれている29ある1人区の予測として、自民党優勢は群馬と山口県選挙区の2つだけとしているのに対して、野党系優勢は岩手・山形・山梨・三重・滋賀・奈良・徳島・沖縄県選挙区の8つとしている。選挙用語でこの時点で“優勢”というのは、ほとんど決まりで挽回不可能ということなのである。残りの19選挙区について3面ではいちおう互角・横一線としている。12・13面に書いてある選挙区情勢を注意深く読むと、自民党が一歩リードしているとされているのは3選挙区だけである。これに対して野党系がリードしているとされているのは9選挙区である。本当に互角・横一線と考えられるのは7選挙区にすぎない。なお、この予測と読み方には私の長年の経験による読みも入っている。
本当に互角・横一線ということは、フィフティ・フィフティということだ。7÷2=3.5だ。これを切り上げて4議席とし、これに優勢とされている群馬と山口県選挙区の2を加えても、自民党候補が当選できる1人区は6選挙区にすぎないという予測が、今回の情勢調査から窺えるのである。もし問題の1人区で6勝23敗だったとしたら、平成元年の“山が動いた”と土井社会党委員長いった参議院選挙と同じような選挙になる。あの選挙では、私は全国に応援に行かされたが本当に無残な選挙だった。私は候補者が可哀想になった。それでも自民党の各候補者は、自民党に誇りをもって戦っていた。負けを承知で戦いに挑む武将のような気高さがあった。創価学会・公明党という毒饅頭を食らってしまったいまの自民党候補者に、そのようなものが果たしてあるのだろうか。
いっぽう3人区、5人区でもおもしろい傾向が窺える。公明党は埼玉・神奈川・愛知・大阪の4選挙区(いずれも3人区)に候補者を立てているが、愛知では苦戦しているようだ。埼玉では公明党候補が勝ってもその代わり自民党候補が落ちそうである。5人区の東京選挙区でも与党で3議席の確保はなかなか難しいようである。2人区は、自民党と民主党の分け合いのところがほとんどだが、なんとわが新潟県では民主党が1人に絞った自民党候補を蹴散らして2人当選する可能性もありそうだ。そうなったらもう自民党は滅茶苦茶になるだろう。私も来週から新潟県に入るつもりである。
比例区の情勢は、「自民党は伸び悩んでいる。逆風に加え、選挙区選で公明党から選挙協力を得るため、『比例選は公明党へ』などと支持者に呼びかける自民党候補が増えたことが一因と見られている。自民党は過去最低だった98年の14議席を下回ることもあり得る」と同調査はいっている。また「(公明党は)比例選では01年、04年の参院選で獲得した8議席を確保できるか微妙な情勢だ。年金問題などで守勢に立たされているのが響いている」とも書かれている。この記事によると比例区で、自民党13議席以下、公明党7議席以下ということも十分予想できるということである。比例選の予想は、このような世論調査で行うしかないのである。
7月11日の永田町徒然草で、私は今回の参院選の目標値を「公明党の獲得議席を2〜3くらい減らして10議席前後、自民党の獲得議席を40議席前後」とした。ずいぶん高い目標値を掲げたものだといわれた。だが、今後の政治の展開を考えると、このくらい自民党・公明党を追い詰めておかないと本当はダメなのである。私にはそのことが十分に予想できるので、このような目標値をあえて掲げたのだ。しかし、今回紹介した『読売新聞』の選挙情勢調査によれば、この目標値が夢でないといえることが明らかになった。昨日から政府広報として全国に新聞チラシを配布したということが問題になっている。追い詰められた自公“合体”政権はなんでもするだろう。野党陣営が気を引き締めて戦っていけば、必ず大勝利を掴むことができる。
それでは、また明日。
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