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更新:2007/07/16
民主の農業政策へ賛否渦巻く
政治部・山本公彦(7月9日)
「全国どこにでもまとまった数がいる農協関係者を最終的に民主支持にすることができれば、相当に足腰の強い党になる」。民主党は29日投開票の参院選に向けて農家の戸別所得補償制度を中心とする農業政策を打ち出した。小沢一郎代表はこれまで民主が弱みとされてきた地方での浸透に意欲的。しかし同党の立場には農業従事者の間でも懐疑的な見方があり、効果は未知数だ。
「民主党の戸別所得補償制度について、どう考えますか?」。民主党が6月下旬にまとめた全国の農協を対象としたアンケートで、「賛成」(23%)が「反対」(4.9%)を大きく上回った。「これまで打ち出した政策が全国各地の農家に浸透してきている証拠」。関係者は手応えを感じ始めている。
民主党は参院選に向け、矢継ぎ早に農家へのアピールを続けている。市場価格と生産価格との差を埋める「戸別所得補償制度」をはじめ、同党所属の国会・地方議員のために農業勉強会を立ち上げたり、縦のつながりが強いとされる農協の幹部OBを集めて「農政懇話会」を発足させたり――。将来的に食糧自給率を100%に引き上げることも検討する。
すべては自民党の強力な支持組織とされる農協組合員を切り崩すのが狙い。全国農業協同組合中央会によると組合員数は全国約900万人。「そのうち1割でも民主に投票してくれれば政界の勢力図は大きく変わる」(中堅議員)。
本格的に動き始めたのは今年3月。「国から補助金をもらっている農協が自民党の集票マシンになっているのはおかしい」として、党内に農協改革本部(山田正彦本部長)を新設。農協へのアンケートもその一環だ。次期臨時国会には組合の「政治的中立性」を明記し、補助金の使途開示の規定を設けた農協法改正案も提出する方針だ。
戦略を強力に推し進めているのは参院選を「天下分け目の戦い」と位置付ける小沢代表。民主党にとって農協の切り崩しは「農協組合員数=有権者数」と単純に定義するには有り余るほどの意味を持つ。参院選の勝負を決するとされるのは全国に29ある改選数1の「1人区」。農家など一次産業の従事者が多いとされる自民党王国だ。小沢氏は「自公政権の下、非常に現状へ不満と不安を抱いている」と分析する。
歯がゆいのは地方の運動員不足。地方基盤が脆弱(ぜいじゃく)な民主党にとって「1人区ではポスター張り要員すら探すのが難しいところもある」(1人区選出議員)のが実情だ。次期衆院選までには現在10人弱の農政懇話会のメンバーを50人強に拡大。全都道府県に支部を設けていく計画もある。
ただし広報活動などを強化したとしても民主の農業政策が地方での支持拡大に直結するとは限らない。小沢氏は4月中旬、熊本県の農村部を訪れ、約40人の農家を相手に「日本の農産物は競争力が強い。市場価格と生産価格の差を埋める戸別所得補償制度を導入しても実際1兆円も財源はかからない」と持論を展開した。しかし出席者の1人は小沢氏との懇談後、「競争力がある農産物は一部のブランド品でしかない。作ったものがすべて売れるわけでもない。『競争力が強い』を前提に財源を組んだら成り立たないのでは」と懸念を示した。別の農業従事者は「食糧自給率100%といっても売れないものは作れない。海外から安い穀物が入ってくる現状でどうやって国産品で対抗するのか」と首をかしげた。
1日の安倍晋三首相との党首討論では、首相も同様の問題点を提起。小沢氏は耕作放棄地の有効活用や技術開発、二毛作の実施などで「自給率向上は十分可能」と改めて反論。日本の農産物の優位性なども強調したが、まだまだ説明不足の感は否めない。前述のアンケートで、最も回答数が多かったのは「どちらともいえない」の63.1%。この数字をいかに「賛成」に引き寄せることが出来るかは、参院選やその後に続く衆院選で民主が地方票を取り込めるかどうかのカギになるといえそうだ。
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