★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK38 > 671.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
これ自分自身に対するものかと思っていたんですが、実はそうではなかった。
小泉チルドレンと呼ばれる新人議員の一人、杉村太蔵議員に対するものだったのです。
ではこの現実を彼女は認めたいのでしょうか、それとも認めたくはないのでしょうか。
「丸川氏、転入届提出遅れで投票できず 顔面蒼白で頬を引きつらせながら報道陣に釈明」
--------------------------------------------------------------
以下は http://122.200.201.84/column/tamayo_marukawa/20050103.html からの転載。
#193 認めたくない現実
2005-01-03 号
丸川 珠代 (テレビ朝日アナウンサー)
しばらく連載をお休みしていて、すみません。この数ヶ月、体調不良が続き、文章を書く余力がなくなってきて、普段の仕事ですら調整しながら日々を過していました。あれもこれも欲張って、勉強や仕事に打ち込んだツケが回ってきたようです。それに、三十代も半ばになると、精神的な疲れまでが、肉体的な疲れとなって現れるようです(ちなみに私は三十四歳です)。高校生の皆さんにはまだ実感できないと思いますが、時には勇気を持ってのんびりしたり、ぼーっとしたりすることも、必要です。特に頑張り屋さんの人は、よく覚えておいてくださいね。
さて、お休みしている間に総選挙があり、日本の政界地図は大きく塗り替えられました。アメリカではハリケーンの襲来によって、社会の暗部が浮き彫りになりました。いずれも、私にとっては認めたくない現実を突きつけられた出来事でしたが、まず今回は、総選挙とその後について、一選挙民としての思いをお伝えしたいと思います。
もっとも認めたくない現実は、小泉チルドレンと呼ばれる新人議員の一人、杉村太蔵議員のことです。といっても彼の存在には、結果として意義がある、と私は思ったのですが、残念ながら彼自身がそれを覆してしまいました。なぜ会見で”お詫び”をしたのか、誰に対する”お詫び”だったのか、考えるほどにがっかりします。
当選直後、杉村議員は、グリーン車が無料になることを喜んだり、早く料亭に行きたいと言ったり、国会議員になって得られる特権や、得られるであろう経験を、無邪気に喜びました。そこに国民の負託を受けた責任の一片でも感じていれば話は別だったのですが、責任の重さには言及せず、それが彼の未熟さと映りました。多くの常識ある大人たちは、彼の国会議員としての自覚のなさに、がっかりしたようです。
しかし、彼のような26歳がいることも日本の現実なのです。彼自身がフリーターやニートの気持ちがわかる、というのなら、そういう人の中には、彼のように権利と義務についての認識が希薄な人や、社会に対する想像力に乏しい人が、多いのかもしれません。あるいは、大人社会のルールが身についていないため就職できない、という可能性も考える必要がありそうです。
為政者はもちろん、教育関係者や、一般の大人たちは、彼を未成熟と切り捨てる前に、あの程度の想像力や成熟度しか持ち合わせていない若者が、この国にはどのくらいいるかを心配したほうが、よいのではないか、という気がするのです。なにしろ国会議員は苟も国民の代表なのですから。
しかし、彼の存在意義は、(一部の)26歳の現実を示しただけではありません。彼は国会議員の特権を広く世間に知らしめました。私達は彼の素直な喜びを通して、一般庶民からみた国会議員の特権がどういうものかを、知ることが出来ました。
そもそも国会議員になった人は、彼のように喜びません。特権より責任に言及します。議員としての責任の重さを自覚している人も、もちろんいるでしょうが、特権から目を逸らすためという考え方もあるでしょう。特権ばかりが注目されれば、非難を受けるかもしれないからです。
いままで日本社会では、自分たちの特権を守るために、その存在を秘匿するという、暗黙のルールに従うのが常識でした。しかし杉村議員は、その大人の常識を見事に踏みにじった、ということも言えます。それは、未成熟で自覚に乏しい彼だからこそ出来た、常識破りであったと思うのです。社会に組み込まれた大人には、そう出来ることではありません。
つまり、大人の常識によって隠されていた特権や真相を、白日の下に曝す力が、彼の自覚のなさにはあった、というわけです。それこそ、暗黙の了解を破って解散総選挙に持ち込み、国民の支持を得た小泉総理のチルドレンとしては、面目躍如というものでしょう。
ところが、彼は突如会見を開いてお詫びを繰り返しました。「自覚の足りないまま幼稚で無責任な発言を繰り返してしまいました。大変反省しています。今日からは心を入れ替え国会議員として、責任と品位のある言動を心がけていきます。」その反省は、彼の無自覚を嘆く大人たちにすれば、ようやくわかったか、という得心につながるかもしれません。
けれど彼の現時点での実績は、彼の自覚の足りなさ、無責任さが、結果として、もたらしたとも言えるのではないでしょうか。まるで長いものに巻かれるように、突如大人のルールに従ったわけですが、それによって、彼のように無自覚・無責任な人間を名簿に加えた自民党の責任が隠れることはあっても、彼自身の良さが活かされるとは、どうにも思えないのです。
彼はいったい誰に詫びたのでしょう。税金が彼の歳費に使われることに怒りを覚える人、自民党を支援してきた人でしょうか。あるいは、特権を共有している人たちかもしれません。しかし彼がいくら謝っても、任期中は私達の税金が彼のために使われることになります。ならばせめて、彼がこの一ヶ月ですでに実績を残したこと、つまり権力が守ろうとする暗黙の了解を次々打ち破って、改革を助けるという仕事を、ぜひ今後も担って欲しいと思うのです。
この先もずっと無自覚でいて欲しいとは言いません、むしろ自身の無自覚さが武器になることを自覚して、誰にも出来ないことをやって欲しいと思ったのです。果たしてどうなることやら、これまた、認めたくない現実に帰結しなければいいのですが。
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK38掲示板
フォローアップ: