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政治記事読みくらべ
2007年7月17日
参院選 意外に簡単「野党 安定多数」の計算式
逆風吹きすさぶなか突入した参院選で、自民、公明は予想通りの大苦戦だ。勝敗ラインの「自公で過半数」どころか、野党に「安定多数」を許す可能性も出てきた。
通常国会会期末の7月4日、衆院第1委員会室で、参院選後の国会を予見するかのような珍妙な風景が見られた。野党のお株を奪う「与党の審議拒否」である。
決算行政監視委員会の仙谷由人委員長(民主)が職権で委員会の開催を決めたが、与党側がこれに応じない。
ガランとした議場で民主党議員が与党議員の出席を約2時間にわたって待ったが、結局、流会した。この日の質疑では、民主党の「年金男」、長妻昭・政調会長代理が安倍晋三首相に対し、「消えた年金」問題を追及しようと意気込んでいた。
この与党の審議拒否に民主党は、「安倍さんを呼んで質疑をやるのは6月末の理事会で了解されていたはず。これでは国会の責任を果たせない」(民主党の古川元久理事)と反発。一部メディアも「安倍敵前逃亡」などと、はやし立てたが、与党の審議拒否は選挙後には、ありふれたものになるかもしれないのだ。
ここで問題になるのが、野党の議席数だ。参院で野党が「安定多数」を確保するには、今回の選挙で66議席を獲得する必要がある。
民主党は6月中旬、参院選の目標議席を、それまでより五つ上方修正し「55議席以上」とした。「消えた年金」問題、「松岡ショック」など安倍政権の敵失で勢いにのったためだ。
ところが、公示直前になってからも久間章生・前防衛相の「原爆しょうがない」発言と、赤城徳彦農相の事務所費問題……。追い打ちをかけて7月9日、森喜朗・元首相が遊説先の富山市内で東海道新幹線の新駅建設問題に触れ、嘉田由紀子滋賀県知事を「女の方だなあ、やっぱり(視野が)狭い」と発言。自民、民主が激戦を繰り広げる滋賀選挙区に大きな波紋を投げかけた。
こうしたことから、もはや「民主は60議席を狙える勢い」(政治ジャーナリスト)という見方さえ出てきた。
選挙区事情に詳しい民主党幹部はこうソロバンをはじく。
「1人区(29選挙区)で15、複数区(18選挙区)すべてで1議席を確保し、そのうえで、東京、千葉、埼玉、愛知など六つある3〜5人選挙区で2議席以上を積み増す。比例選は3年前より1議席多い20。ここまでで55。1人区でさらに2〜3議席以上を確保し、ほかの野党や野党系無所属分を足せば66人に届くことになります」
民主党以外の野党や野党系無所属候補が10議席程度(共産4〜5、社民2〜3、国民新党2、新党日本1)を稼げば、66は達成できる。ハードルが案外と低いのは、前回2004年参院選でも自民党が49議席と敗北しているからだ。
野党が「安定多数」ということは、裏を返せば、与党には“不安定少数”ということだ。衆院で与党は3分の2以上の議席を制しているものの、これでは片翼飛行というものだ。安倍政権の国会運営は極めて不安定となり、「死に体状態」(青木幹雄参院自民党議員会長)に陥るのは必至だ。
野党優勢の参院では、こんな事態になる。
まず、第一が参院議長人事だ。議長は民主党から選出される公算が大きい。参院では「議長は勢力が一番大きい第1会派から、副議長は第2会派から」という慣例がある。
民主が大勝すれば第1会派となるのは確実であり、議長候補として江田五月、西岡武夫両ベテランの名前が挙がっている。議運委員長を含む各常任委員長ポストも野党側が握るため、参院の運営は完全に野党主導だ。
「とりわけ議長は本会議の開会ベルを押す権限を持っていますから、このポストを取ることの意味は大きいです」(元国会職員)
自公両党は参院議長ポストを死守しようと、参院で統一会派を結成する選択肢もあるが、民主党内では「慣例はあくまで慣例、そうとなったら多数決で議長ポストを取りに行く」(前出の民主党幹部)という。
対決法案はほとんど成立せず、野党は首相や閣僚に不祥事があれば問責決議案も連発し、可決される。問責決議案は法的拘束力はないものの、1998年には、防衛庁不祥事を理由に額賀福志郎防衛長官(当時)の問責決議が可決され、額賀氏は辞任に追い込まれた。
第二に、民主党が参院先議の議員立法法案を何本も国会に提出し、これに対し、与党側は前述の審議拒否、あるいは牛歩戦術に打って出るかもしれない。
いやはや国会はしっちゃかめっちゃか状態になりそうだ。自民党内では、「参院選で自民党が40台を切らない限り、安倍首相の辞任はない」との声がもっぱらだが、混乱の先には「安倍辞任」という事態も想定される。
読売ウイークリー(外部サイト)
2007年7月29日号
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