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http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kaisetsu/news/20070714ddm004070041000c.html
土曜解説:パキスタンのモスクろう城=ニューデリー支局・栗田慎一
◇対米協力、ひずみ爆発
パキスタンの首都イスラマバードで起きた神学生らによるモスクろう城事件は、パキスタン政府が01年9月の米同時多発テロ後に米国の「テロとの戦い」に協力したことで国内に生じたひずみの爆発だった。
事件の発端となった7月3日の神学生らと治安部隊との銃撃戦は、大統領とろう城を主導したモスク「ラル・マスジッド」との対立が激化していた最中に起きた。
同モスク傘下の神学校に籍を置く学生らは今年春以降、モスクの「不法行為」の取り締まりを続ける警察と断続的に小競り合いを続けていた。5月には警察が神学生の身柄を拘束すると、神学生側が報復として警官を拉致。地元メディアは、首都での過激な行為の増長に「ムシャラフ大統領の新たな危機」と報じた。
対立は今年1月、モスクのそばにある公立の児童図書館を神学生たちが占拠したころから、激しさを増してきた。占拠の理由について、同モスク最高指導者の一人、ラシッド・ガジ師は5月、毎日新聞の取材に「政府が過激派対策として我々の傘下のモスクを取り壊してきた報復だ」と訴えた。その後も米国映画を置くビデオ店への放火などを続け、ろう城事件直前の6月下旬には、風俗店関係の中国人らを拉致するなど、歯止めがきかない状況にあった。
ガジ師は「我々は変わっていない。パキスタンが変わったのだ」と語り、対テロ戦争にパキスタンが協力したことが対立の発端だと主張した。
99年に無血クーデターで政権を奪取した大統領は、当時アフガニスタンを支配していたタリバン政権を全面支援した。対インド政策上、隣国アフガンに自らの都合のいい政権を樹立しておくのはパキスタンの基本戦略。当時カブールで在外公館を開館していたのはパキスタンだけだった。同時に大統領はモスクなどへの経済的支援も実施。建国の精神である「イスラムの復権」を感じた宗教指導者は多かった。
そのイスラム原理主義との協調政策を180度変えたのが米同時多発テロだ。米国は98年の地下核実験以来凍結していたパキスタンへの経済支援を再開。ブッシュ大統領は02年1月の一般教書演説でパキスタンの名を挙げてテロ対策への協力を絶賛すると、パキスタンはその数カ月後に国内の武装勢力や過激派の対策に本格的に乗り出した。
一方、05年7月のロンドン同時爆破テロで容疑者との関係が一時指摘されたラル・マスジッドは、過激派対策として神学校の管理・登録を進める政府に反発し、反政府の旗印を鮮明にしていく。
その「ひずみ」の限界を露呈したのが、今回の銃撃戦とそれに続くろう城だった。パキスタンはこの数年来、地域の経済成長のけん引役となっているインドに引っ張られる形で、年6〜7%台の経済成長を続ける。それも米同時多発テロ後の副産物だ。
「経済成長の恩恵を受けているのはごく一部の特権階級だけ。国境付近では民間人の犠牲が増え続けているのに」とガジ師は言った。その過激な行動を嫌う市民は多いが、掃討作戦による悲劇を代弁していた同モスクが「粛清」された今、首都では彼らの憎悪と怒りを直接感じることはない。
政府は近く、新しい宗教指導者を選び、ラル・マスジッドを「一新」する考えだ。
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◆モスクろう城事件の経過◆
7月 3日 モスク「ラル・マスジッド」で神学生らが治安部隊と衝突し、ろう城。4日までに双方で16人死亡
4日 政府が現場付近一帯に夜間外出禁止令。女装し逃走を図ったモスク最高指導者アジズ師を逮捕。1200人以上が投降
5日 政府が無条件降伏を要求
6日 軍がモスクの壁を爆破。アジズ師の弟ガジ師は「降伏より殉教を選ぶ」と投降を拒否。ムシャラフ大統領搭乗の航空機を狙った砲撃発生
7日 ムシャラフ大統領が「投降しなければ死の危険がある」と初めて公式に発言。警察当局はアジズ師らが運営する別の神学校の学生ら数十人を逮捕
8日 大統領がモスク強行突入を承認
10日 治安部隊がモスク突入
11日 治安部隊がモスク内を完全制圧。突入による死者は神学生側75人、軍側10人に
12日 モスク内部を報道陣に公開
毎日新聞 2007年7月14日 東京朝刊
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