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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007071302032001.html
社説:
2007年7月13日
世界に同時中継されたパキスタンのモスクろう城事件は、甚大な被害と憎悪を残し、国内外の不安定要因を急増させた。泥沼化を避けるため、国際社会のバランス感覚があらためて問われる。
パキスタンは厳しい戒律を守るイスラム教国だ。かつてはアフガニスタンやイランの原理主義勢力とも良好な関係にあって、旧ソ連のアフガン侵攻の際にはイスラム兵の供給源にもなった。
それが二〇〇一年の米中枢同時テロを機に、イスラム過激派と戦う米英の「パートナー」の側に回り、独立時から対立したインドとの関係も米英の仲介があって改善された。
これら大変身は、クーデターで政権を奪って間もないムシャラフ大統領の生き残り策でもあった。そして今回の軍の強行突入も、大統領の保身に使われた側面がある。
ムシャラフ大統領は選挙の洗礼を受けていない。年内に予定される大統領選と総選挙を前に、軍事政権批判や民主化要求のデモで揺さぶりをかけられ、自爆テロも続いて劣勢となり、焦っていたのか。
「賞味期限が切れかかって敵ばかり」と地元で評されるに至って、陸軍参謀長も兼任する大統領が今回、宗教施設に向けた武力行使を命じたのだ。結果的に混乱しても選挙の延期や、場合によっては非常事態令など、政権継続に有利な状況すら生まれると読んだのかもしれない。
イスラム施設には武装神学生が出入りした。タリバンやアルカイダなどの国際テロリストとの連携が疑われる過激派であり、これを掃討した点は米英の要請にはかなう。
しかし、パキスタン国民は現政権下でも厳格な宗教観をもち続けている。軍の情報機関なども宗教を背景に過激な神学生らともパイプをつなぎ、利用し合ってきた。
無実の信者も多数巻き添えにした一方的な攻撃は人道に反し、為政者側の独善とのそしりは免れない。水面下では話が通じていた神学生を問答無用と葬り去ったことで、対立の図式が先鋭化しかねないと、国際社会も覚悟しておくべきだろう。
当面修復は極めて困難と言わざるを得ないが、テロとの戦いに直接関係しない近隣のインドや中国などが双方に語りかけてもらいたい。南アジア地域協力連合の出番でもある。核保有国の不安定化はなんとしても避けたい。
日本はパキスタンの最大援助国である。一昨年の大地震で、民間も加わる人的な貢献も続け感謝されている。これらの積み重ねも踏まえて今回の惨劇を癒やす際、米英とは一線を画す宗教への理解も示すべきだ。
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