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http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20070713k0000m070164000c.html
社説:
なぜ、こんなに強権的なのか。参院選が公示された12日、全国の放送局の幹部を呼び出し、候補者の当落報道を慎重に行うよう要請した総務省のことだ。
放送局を監督する総務省は95年の参院選から、衆参の国政選挙で当落に誤りがないよう各放送局に要請している。それまでの選挙で数件だった当落の誤報が、05年の前回衆院選で一気に二十数件と増えたため、今回は「要請の趣旨が確実に伝わるように」と、幹部呼び出しを原則にしたという。
要請を受けた放送局は計194社。NHKと在京キー局を本省が、それ以外を出先の各総合通信局が分担し、「当選確実の放送等を慎重かつ正確に行い、放送に対する国民の信頼にこたえるよう」求めた。
何とも異様な光景である。近畿総合通信局では大阪の準キー局4社の社長が出向き、ほかでも社長や役員の姿が目立ったという。放送局が誤報をしないよう正確な報道に努めるのはあまりにも当たり前のことだ。それを総務省がわざわざ幹部を呼び付けてまで事前に要請する必要があるのだろうか。
東北総合通信局はあらかじめ、誤報があれば開票日翌日の「30日午前10時まで」に報告してくるように求めた。まるで誤報するのを見越したような、放送局を見下した対応と言わざるを得ない。
当落報道は、各報道機関が取材をもとに各自の判断で行うのが大前提だ。投票時間締め切り前のような、有権者の投票行動に影響を与えかねない報道はもちろん許されないが、そうでなければ憲法の「表現・報道の自由」で保障されることだ。仮に誤報があれば、その社がすべての責任を負い、速やかな訂正や謝罪が求められるが、国が指図すべきことではない。
総務省は「要請はあくまでお願いベース」と説明する。しかし、そもそも95年から要請を繰り返してきたこと自体、余計な口出しである。放送局の免許交付権限を握る総務省の「お願い」は、放送局への圧力となり、報道への介入にもつながりかねない。
菅義偉総務相は昨年、拉致問題に留意して国際放送を行うようNHKに初めて命令した。継続審議になったものの、放送番組の内容に対する新たな行政処分を盛り込んだ放送法改正案も通常国会に提出した。放送局に強圧的に振る舞う姿勢は極めて疑問だ。
もちろん、放送局側にも反省すべき点はある。最近は各社とも、投票直後の有権者から投票した候補を聞き出す出口調査に力を入れ、それを判断材料にしているが、競争のあまり投票時間締め切り直後に「当確」を速報するケースも増え、誤報の一因にもなっている。放送局自らが国民に信頼される選挙報道を行わなければならないのは当然のことだ。
放送局が今に至るまで、総務省の要請を問題視せず、受け入れてきたことも理解しがたい。国への毅然(きぜん)とした態度こそが国民の信頼を築くことも指摘しておきたい。
毎日新聞 2007年7月13日 0時44分
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