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(回答先: 参考:安倍首相「私たちは国鉄をJRに変えたように、社会保険庁を日本年金機構に変えていく」(読売)-民営化は良い事ずくめ? 投稿者 JAXVN 日時 2007 年 7 月 10 日 10:57:15)
※文中、参考リンク数箇所ありますので、できれば元記事参照ください。
ブログ「これでいいのか?」より転載
http://korede.iinoka.net/archives/2007/06/post_33.html
年金問題において、「社会保険庁およびその職員叩き」た連日商業マスコミを賑わしています。先日も、週刊誌の中吊り広告や夕刊紙の一面で、露骨なまでの「社会保険庁職員叩き」を煽る見出しが載っていました。
読売新聞なども勤務時間 細かい覚え書きなどと、いかに職員が仕事をしていないか、と宣伝する記事を書いています。過去には、毎月何十時間も残業させられて過労自殺した社会保険庁職員もいるのですが、もちろんそのような存在はこの記事では無視されます。それに呼応しているのか、自民党の幹部もTVで「社会保険庁の職員が怠けるからだ」などという発言をしていました。
さて、一連の問題の「解決策」として自民党政府が出しているのが、社会保険庁の「解体・民営化」です。
本来、行政に関わる問題で、半数もの国民に被害が生じるとしたら、その責任は政治にあります。年金財源問題にしろ今回の問題にしろ、自民党政府による年金制度の「改革」が発端です。先ほどの読売新聞の記事では、社会保険庁の職員が混雑時にでも休憩を取っている事すら叩いていますが、仮にこの10年間、全職員が昼休みを返上していたとしても、同様の問題は発生していたでしょう。
この一連の「不祥事」並びに、「犯人」である自民党政府が商業マスコミと一体になって職員を叩き、それに少なからぬ国民も煽られている姿を見ると、二十年前の「国鉄分割民営化」騒動の再放送を見ているような気分になります。
かつての国鉄は労働組合が強く、ストなどをよくやっていました。しかし、その運行の正確性は世界でも稀に見るほどで、また、安全性の高さにも定評がありました。また、経営的にも問題はありませんでした。
その一方で、自民党政治業者にとって、国鉄は大きな利権を生み出す存在でした。新線を引くのに携われば、建設関係の利権が生じます。それのみならず、駅前の土地など、政治力を用いて鉄道を引くいいカネになります。それを利用して、彼らは国鉄に借金をさせて、新幹線を始め、多くの新線を作りました。その結果、普通にやっていれば経営は安定しているはずの国鉄は、その建設費さらには金利で大赤字になってしまいました。
その赤字が問題になったときに自民党政府と商業マスコミが使ったのが、今と全く同じ「職員叩き」でした。その詳細については、2年ほど前に書いたのでここでは省略しますが、冒頭に載せた記事同様、「よくそこまでしょうもない事まで調べるよな」といった些細な事ばかりでした。そして自民党政府が打ち出し、商業マスコミが礼賛したのが「国鉄の分割民営化」でした。
マスコミの宣伝効果もあり、分割民営化に反対する国鉄労働者への不当労働行為は、行われても当然という雰囲気となり、その中で「分割民営化」も達成されました。そして確かに新生した「JR」の一部は黒字になりました。とはいっても、別に国鉄時代の赤字がなくなったわけではありません、当時の借金および金利は、現在でも「国民負担」という事で我々が背負わされています。自民党政治業者の利権の後始末を、国鉄労働者と国民が担わされた、というわけです。
その後もJRは「民営化」効果で利益追求のために突っ走りました。そのために軽視されたのは乗客の安全でした。特に信楽高原鐵道事故で多数の死傷者を出してもその姿勢を改めなかったJR西日本は、2005年には100人もの死者が出る大惨事を起こしました。
この、国鉄分割民営化は、自民党政府にとっては傑作とも言える成功例でしょう。なにせ自分たちの利権を得るために作った赤字を口実にして、反自民党的な労働組合を堂々と攻撃し、赤字を国民に押しつける事に成功したわけです。しかもその被害者である国民は、加害者である自民党政府が打ち出した「分割・民営化」を支持し、何の疑いもなく赤字を背負ってくれたのです。
したがって、今回の自分たちの失政による年金問題も、ぜひとも同様に処理し、20年前と同じような成功をしたいのでしょう。なにせ、20年前に同じ事をやった結果、国民には何が残ったか、などと報じるマスコミはほとんど存在しません。代わりに、かつてと同様、協力して「社会保険庁職員叩き」を煽ってくれるわけです。
また、ここまでそっくりではありませんでしたが、十数年前には「政治改革」という類例もありました。当時、自民党政治業者の企業献金が問題になりました。その流れと自民党の分裂によって誕生した「非自民」の細川内閣が作ったのが「政党助成法」でした。これは、「企業からの政治献金をやめる代わりに、税金から政党に資金を出す」という名目で作られました。
しかし、政党助成金は税金から出る一方で、企業献金の廃止は「先送り」され続けた末に、なかった事になりました。つまり、政治業者が政治献金を貰ってその企業に見返りを計って政治が乱れた結果が、「政治献金はそのままでさらに税金からも政治業者に資金が流れる」という結果になってしまったのです。これまた国民にとっては百害あって一利ない話です。
当然ながら、当時の商業マスコミも、この細川内閣の「政治改革」を持ち上げていました。そして、その税金から「政党助成金」として流れた金の一部は、TV・新聞での政党広告という形などで商業マスコミにも還流されています。
とにかく、自民党政府の失政によって発生した問題であるにも関わらず、当の自民党政府とマスコミが一緒になって、別のものを攻撃する時は注意が必要です。今のまま煽りに乗っては、国鉄の時と同様に、我々にはさらに少ない年金だけが残され、一方で社会保険庁を売り飛ばした利益で自民党政治業者だけが潤う、という20年前と同じ結果になるのはほぼ間違いないでしょう。
参考文献・ブログ医療制度改革批判と社会保障と憲法内の宙に浮いている5000万件年金記録と社会保険庁解体・廃止法案。
なお、当サイト内の長文・現代に生きる「分断支配」の構図にも、「公務員叩き」の本質についてより詳しく書いています。あわせてご一読いただければ幸いです。
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