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「経済コラムマガジン07/7/9(489号)
・参議院選挙の比例区
「毒まんじゅう」組の行末
先週号で取上げた久間防衛相が「原爆投下はしょうがなかった」発言で辞任した。辞任というより解任である。今週はこの話から始める。安倍首相は小泉前首相人脈の久間氏をギリギリ辞めさせないつもりでいたと思われるが、公明党がNOを出したようである。後任は小池ゆり子氏である。筆者はこの人物も小泉人脈と見ている。大新聞は両者と安倍首相との関係を強調した解説をしているが、両者と安倍首相の関係はそんなに深くないと思う。筆者は今回も小泉前首相が影響する人事と考える。
筆者が久間氏という人物に特に注目したのは、4年前の自民党総裁選での行動からである。この総裁選は、小泉総裁の二期目であり、対抗する候補に亀井、高村、藤井の三氏が立った。当時の橋本派(現在の津島派)の動向が注目されたが、この派閥は自派候補の藤井支持派と小泉支持派に別れた。久間氏は青木氏(現自民党参議院議員会長)と共に小泉支持の急先鋒となった。
この結果、小泉氏は他を圧倒し、総理・総裁に再選された。当初、決して優位でなかったはずの小泉氏が、青木・久間の両氏の働きで首相に再任されたと考えて良い。当時、野中元幹事長は橋本派の中の小泉支持派を「毒まんじゅうを喰わせられている」と表現した。久間氏はまさにいわゆるこの「毒まんじゅう」組の一人である。
この自民党総裁選の最中、久間氏は北海道の講演で「今回の総裁選は政策の問題ではない」と発言した。筆者はこの発言に極めて注目した。「政策ではない」と言い切ってしまえば、政治家の存在は一体何なのかという話になる。政治家としての信条が全く異なる小泉氏を強力に推した青木・久間の両氏の奇妙な姿勢と行動は、その後も続くことになる。しかし久間氏は、この総裁選の論功により、小泉政権において幹事長代理や総務会長などの要職に就いた。
小泉前首相は「古い自民党をぶっ壊す」と言っていたが、これは田中・竹下の流れをくむ橋本派を壊すことであった。結果的に出身派閥である橋本派の解体に協力したのがこの久間氏と青木氏である。今回の参議院選挙で、津島派の参議院議員はさらに激減するものと見られる。まさに旧田中・竹下派はぶっ壊れるのである。
昔から自民党では、地方議会出身者、特に地方議会に長く携わっていた国会議員が軽んじられている。筆者には何となくその理由が解る。青木・久間の両氏も長く地方議会に携わってきた政治家である。筆者は、自派を裏切り、政治信条が全く異なる小泉氏支持に走った青木・久間の両氏には、どうしても政権の中枢に身を置く必要があったと考えるのである。
・非拘束名簿方式
参議院選挙の結果を予想するのは難しい。衆議院選挙も中選挙区制から小選挙区制に変わって予想が難しくなったと言われるが、こちらの方がましである。これは衆議院議員の方が、選挙民にとって馴染みがあり、投票行動が読みやすいからである。
参議院の方が比例区の議員の比率が高い。選挙区も衆議院の小選挙区より広い。したがって選挙民と立候補者との距離がどうしても大きくなる。そのためか衆議院選挙より参議院選挙の方が投票率が低くなる。
立候補者との距離が大きいため、選挙民は比較的気軽な気持で投票を行う。投票日直前まで投票相手を決めない人が多いと思われる。したがって新聞社の一週間の当落予想がかなり狂う。前回04年の参議院選挙では、一週間前の段階で自民党の大敗が予想された。そこで公明党がいくつかの一人区で自民党候補のてこ入れを行った。これによって自民党は大敗北をなんとか免れた。
つまり選挙民の自由度が高いため、正確な議席数の予想はかなり投票日に近づかなければ無理ということになる。今日、各種マスコミから当落予想が出ているが、実際の結果とかなり違うことが考えられる。これから29日までの間に何が起るか分らないのである。
参議院選挙は、投票が気軽になされるため、選挙結果が毎回大きく変わるのが特徴である。自民党の獲得議席で言えば60台から30台まで大きくブレる。大きく変動するのは一人区と比例区である。
参議院選挙の投票結果を左右するのはその時の「風」である。小泉首相が始めて登場した01年の時には、小泉ブームで自民党は大勝した。しかし前回04年は同じ小泉政権でありながら自民党は苦戦した。逆風が吹いたのである。過去に遡れば、橋本総理と宇野総理の時に自民党は大敗した。特に宇野総理の時には30台というみじめな結果であった。
前述したように参議院選挙は一人区と比例区の変動が大きい。先週号で一人区を取上げたので、今週は比例区を取り上げる。比例区は選出方法が変わってきている。昔は単純な投票方式で、政党は関係なく獲得票が大きい者から順番に当選した。選挙というより人気投票的要素が強く、これはこれで面白かった。中には200万票、300万票を集める候補者もいた。
その次が拘束名簿方式である。これは各党が事前に名簿順位を決める方式であった。この方式によって、政権に近い派閥がより優位な順番を得ることになった。力のある旧田中・竹下派に多くの参議院議員が集まったのも、この比例方式のお陰である。業界も旧田中・竹下派になびいた。そして今日行われているのが非拘束名簿方式である。選挙民が書くのは候補者の個人名でも政党名でも良い。同じ政党の中で個人名の多い者から当選が決まる。
単純選挙方式の時は、候補者は大変であった。全国をかけづり回り選挙戦を闘った。また拘束名簿方式の時は、名簿で良い順番を得るため、数多くの推薦者の名簿を提出する必要があった。つまりどちらの選挙方法でも立候補者は、自ら票を掘り起こすことが必要であった。
しかし今日非拘束名簿方式になって事情は変わった。自民党の場合、個人名の投票は3割くらいであり、政党名が7割である。立候補者は、自民党全体の票を掘り起こすより、同じ自民党内の他候補者より1票でも多くの個人名票を獲得すれば良いことになる。したがってわずか15万票ぐらいでも当選することができる。しかしこれでは自民党の全体の票は伸びない。
04年の前回の選挙では、自民党は1,680万票の投票を獲得し15議席を得た。110万票で一人の当選者という計算になる。来る選挙では、この投票獲得数を1,200万票と予想する向きもある。これでは当選者が11名前後ということになる。しかし2年前の衆議院選挙で自民党は比例区で2,600万票も得ているのである。筆者はなんぼなんでも1,200万票ということはないと予想する。
来週は、参議院選挙で筆者が注目するポイントを挙げたい。」
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