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社説
防衛白書 いたずらに脅威あおるな
抑止重視の「存在する自衛隊」から、対処重視の「より機能する自衛隊」へ―。6日の閣議で報告、了承された防衛省になって初の2007年版防衛白書の特徴を一言で表現すると、こうなろうか。つまり、本来の自衛隊の役割であった専守防衛から一歩進めて、さらに海外派遣についても能動的に推進していく、ということだろう。白書は「国際的な安全保障環境のための国際社会の取り組みに主体的、積極的に参加することが重要な課題」と強調する。
しかし、そこにはなし崩し的なイラク派兵を中心とした、過去の海外派遣への総括・反省は見られない。いたずらに周辺国の脅威をあおって、軍事力の強化を強調するだけでは、国民の共感は得られまい。それだけでなく周辺のアジアの国々を刺激するだけだろう。
一方、沖縄に関しては、普天間飛行場代替施設の建設など、ほぼ06年版を踏襲する形となった。名護市や県が求めているV字形滑走路の沖合修正にも触れておらず、到底、県民の納得できる内容ではない。「負担軽減」の道筋は見えず、むしろ、一連の米軍再編については説明の段階ではなく実施の段階に入っている、との印象だ。辺野古での環境現況調査(事前調査)に自衛艦を出動させた事実を見ても分かるが、基地建設をしゃにむに進めていく政府の姿勢を裏付けているといえよう。
冷戦時代の自衛隊は日米安保体制の下で、仮想敵国ソ連の脅威に対する抑止力として存在意義があった。冷戦が終結し、ソ連が崩壊した今、世界は国際的なテロ組織の台頭、北朝鮮による核実験と弾道ミサイル開発に象徴される大量破壊兵器の拡散という時代に突入している。このような時代背景に基づき、白書は国際平和維持活動(PKO)やイラク復興支援特別措置法などによる自衛隊の海外派遣が「付随的活動」から「本来任務」に格上げされた意義を強調している。紛争地における“主役”の地位を狙っているのだろうか。
省昇格をめぐっては当初、市民団体や識者などから「防衛庁のままで何がいけないのか」「シビリアンコントロール(文民統制)の堅持を」などとする批判や注文が噴出していた。これに、白書は「(統制が)弱まることはない」「諸外国は好意的」など、具体性がなく、批判にまともに応えたとは言い難い。
周辺諸国の脅威をあおり、逆に中国は「防衛省誕生」に警戒感を持つ。これでは、互いに不信感を増幅させるだけで、双方にとって決して好ましい結果はもたらさない。軍事力の強化だけでなく、お互いが防衛政策の透明性を高めていく中で、例えば防衛交流などさまざまな取り組みが求められる。
(7/8 9:53)
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