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2007年07月07日
私はあなただ、あなたは私だ(22)
今求められるのは石橋湛山の対米自立外交の姿勢である
塩崎官房長官は5日の記者会見で、原爆投下を正当化したジョセフ発言に対し、「発言の性格は個人的に行なったものだと聞いている」という一言で片付けてしまった(7月6日朝日)。日本政府として一切の抗議をせず、米国政府高官の公言を「個人的発言」に捻じ曲げて黙認してしまった瞬間だ。二度とこの問題が日米間で議題に上ることはないであろう。わが国の対米従属姿勢は凝固されてしまった。
唯一の被爆国である日本が、「人類の上に二度と核爆弾を落とすことを許さない」と本気で世界に向かって叫ぶ時、誰もそれを正面から反駁することはできない。兵器の殺傷力が高度化し、残虐化した今日にあっても、核兵器の恐怖の前にすべての国が沈黙する。それほど悲惨な被害であった。それを唯一体験した日本国民こそ、世界に核兵器廃絶を訴える権利がある。いや、責任があるのだ。
20万を超える爆死者と、それをはるかに上回る被爆者の苦しみと引き換えに手に入れた、このわが国最強の外交カードを、醜態まみれの若い安倍首相とその仲間たちからなる日本政府が、国民の声を無視する形でかくもあっさりと放棄してしまった。日本の外交史の汚点として記憶されなければならない。
思えばあのイラク戦争への支持といい、この原爆投下発言の看過といい、わが国は日本の根本を対米配慮の一点で捨て去ろうとしている。しかもこの深刻な官房長官の発言にメディアは一切の評論を避けている。それどころか一つの明確な意思を持って逃げまどっているかのごとくだ。
私は数日前にNHKで放映されていた石橋湛山の番組「その時歴史は動いた」を思い出す。石橋湛山と言えば、戦前は軍部に抵抗し小日本主義を唱え、戦後は冷戦に反対し日中米ソ平和同盟を主唱したリベラリストである。
良識あるリベラリストの政治家はたしかに他にも存在した。しかし戦後の占領下において、米国の覇権性、軍事国家の危険性をいち早く察知し、その米国の要求に追従することは決して日本のためにはならないと公言し、それを実行した自民党政治家を、彼をおいて私は知らない。私が石橋湛山という政治家を評価するのはまさにこの点にある。
しかもその政治家が、戦犯容疑から放免されて対米従属外交に走った岸信介と、自民党総裁戦を争い、競り勝ったのである。そして日本の総理になったのである。そういう歴史が、この国にもかつては確かに存在したのだ。
「中・ソとの通商関係の促進はアメリカの対日援助計画に支障を来たす」という脅迫まがいの米国からの申しれに狼狽する鳩山一郎首相を前にして、「アメリカの意向は無視しましょう」と言い放った石橋湛山の言葉を今こそ我々は想起すべきである。
その彼を病魔がわずか2ヶ月で総理の座から引き摺り下ろした事は歴史の皮肉である。その後を継いだ岸信介が再び日本外交を対米従属外交へと舵を切り、日米安保体制を築きあげてしまった。
それから半世紀。その孫である安倍晋三首相は、その安保体制を一気に飛び越えて、この国を米国の終わりのない戦争に全面的に差し出そうとしている。最後の砦である憲法9条を捨て去ろうとしている。
戦後62年、歴史的曲がり角に立たされているというのに、その流れに抗する政治家が出てこない。日本の将来を真剣に考える本物の政治家が一人も存在しない。今朝のテレビ番組(みのもんたの朝ズバ!」見ていても、選挙直前であるというのに与野党の政治家が弛緩した笑顔で放談を繰返していた。なんという政治の低下であることか。今こそ石橋湛山の対米自立外交が求められるのである。
なぜ対米自立外交を取り戻さなくてはならないのか。それを次回のブログで書いてみたい。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/07/07/
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