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7月参院選 かけはし2007.7.9号
改憲反対の政党・候補者に投票を
安倍政権にNO!の意思を突きつけよう
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会
(1)
七月十二日公示、二十九日投票の日程で参議院選挙が行われる。自らの政権の任期内に現行憲法を改悪することを公然と掲げた安倍政権の下での初の本格的国政選挙である。七月参院選の最大の焦点は、憲法問題である。安倍内閣の掲げる「戦後レジームからの脱却」は、最終的に憲法改悪に集約されるからである。
昨年秋の臨時国会で、改悪教育基本法を強行成立させた安倍政権は、一月から始まった第166通常国会で、ついに改憲手続き法をも成立させた。同法の成立によって参院選後の臨時国会で、衆参両院に憲法審査会が設置される。早ければ三年後の二〇一〇年には改憲を発議し、「国民投票」に持ち込むというスケジュールをすでに自民党は提示している。
安倍政権とブルジョア支配階級の憲法改悪のねらいが、何よりも憲法九条を改悪し、「グローバルな日米同盟」の下で、自衛隊を米国の主導する戦争に参加させることにあるのは明らかである。米政府の強力な圧力の下に、安倍政権はすでに今国会で「米軍再編」法を成立させ、日米の軍事的一体化のための法的基礎を整備するとともに、一九八一年の政府統一見解によって現憲法の下では「違憲」とされた集団的自衛権の行使を可能とするための動きを開始した。「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(有識者懇談会)がそれである。
さらに沖縄・辺野古の米軍新基地建設反対の住民運動に対する実質的な「治安出動」である掃海母艦「ぶんご」の投入、イラク反戦運動に対する自衛隊「情報保全隊」による監視・情報収集活動の発覚は、自衛隊の海外派兵の「本務」化の中で「戦争国家」体制づくりが着々と進められていることを示している。憲法九条の改悪は、そうした「戦争国家」化の歯止めを最終的に取り外すための総仕上げとなる。
また自民党新憲法草案が打ち出している二十条の「政教分離」規定の改悪は、「戦争国家」が想定する戦死者の「国家的慰霊」のためのものであり、九条改悪と不可分の関係にある。
われわれは、安倍政権の憲法改悪の目論見を打ち砕き、改憲阻止勢力の前進を勝ち取ることを最大の目標にしていかなければならない。安倍政権与党を今回の参院選で大幅に後退させ、参院での議席過半数割れを実現し、改憲阻止勢力を拡大することは、安倍政権と支配階級に重大な打撃を与え、改憲・戦争国家体制づくりに反対する運動にはずみをつけることになるだろう。それは今後の改憲プロセスの進行を阻むための重要なステップである。
(2)
安倍政権と支配階級のねらう憲法改悪の攻撃は、同時に資本の新自由主義的グローバリゼーションの下で、資本の自由な利潤獲得をさまたげる労働者・市民への法的保護措置を無に帰そうとするものである。日本経団連などのブルジョア支配階級は、労働組合の権利を解体し、正規雇用労働者を派遣・パートなどの無権利・低賃金の不安定・非正規雇用に置き換える一方、正規雇用の労働者をも超長時間・残業代不払いの過労死労働にたたき込む労働法制の抜本的改悪を準備している。
雇用の非正規化、公共サービスの民営化と規制緩和、医療・福祉・教育などの市場化と「受益者負担・自己責任原理」の導入、夕張に代表される地域経済・社会の崩壊、農業や中小企業の経営基盤の解体の中で、トヨタをはじめとする大企業は空前の経常利益を上げている。その一方で圧倒的多数の人びとは、絶対的貧困と「底辺への競争」に追い込まれている。「格差社会」と呼ばれる資本の赤裸々な階級的独裁の中で、労働者・市民の生存権そのものが奪われている。
企業減税と住民税の増税、消費税率の大幅値上げの企図、そして「消えた年金」問題や介護を食い物にする「コムスン」の犯罪などは、まさに大資本のグローバルな競争のために労働者・市民の「生きること」そのものが犠牲にされている現実のあらわれである。
(3)
安倍の「美しい国・日本」というキャンペーンは、こうした絶望を排外的国家主義に組織する機能を果たしているのであり、憲法改悪は資本の新自由主義的階級支配を正当化していくためのものである。
しかしこの貧困と差別と社会的排除を拡大する体制に対する抵抗の気運も、いまだ萌芽的で分散的な形であるとしても、発展しつつある。憲法改悪が、「戦争国家」体制づくりと資本の新自由主義的支配の正当化ための、支配階級による総合的な攻撃である以上、憲法改悪に反対する闘いは、グローバルな平和と人権、そして社会的公正と民主主義のための変革ををめざす多様な運動の合流によってこそ、その社会的基盤を強化することができる。
われわれは今回の参院選を、踏み台に憲法改悪阻止を通じて、そうした左翼的なオルタナティブをめざす政治的挑戦を開始していくために闘うのである。
参院選を前にして、安倍政権は深刻な危機に立たされている。安倍首相が最後まで擁護した松岡農水相の自殺、「消えた年金」問題による政府・自民党への不信の拡大により、内閣支持率は急速に低下している。
日本の侵略戦争と植民地支配を「自存自衛」のためとして正当化し、「軍隊慰安婦の強制連行はなかった」とする安倍の極右国家主義路線は、安倍政権と自民党が頼みとする米国からも不信を突きつけられた。米下院外交委員会での「日本軍性奴隷制」への正式謝罪を日本政府に求める決議の可決は、その現れである。米ブッシュ政権に追随したイラク派兵継続は、当のイラク侵略戦争・占領支配の破綻と泥沼化によるブッシュの孤立を背景に、大きな批判を浴びている。イラク派兵の失態は、ブッシュ戦略に追随した戦争国家体制づくりのための九条改悪に対する反対世論の増大にもつながっている。
安倍政権与党の参議院での過半数割れは、当然にもわれわれの歓迎するところである。それは、自民党の改憲スケジュールに打撃を与え、労働者・市民の闘いにとって有利な時間とスペースを与えるからである。
しかし同時に、最大野党である民主党は基本的に改憲と日米同盟の強化を支持する勢力であり、党内には「日本会議」系の極右勢力を抱えている。さらに民主党は、資本の新自由主義的グローバル化を積極的に支持・推進する政党でもある。われわれは自民・民主という改憲・新自由主義を「共通項」としたブルジョア二大政党システムに反対し、改憲阻止と新自由主義への批判を結合した左派政治勢力を議会内的にも前進させていかなければならない。したがってわれわれは、安倍政権への批判を民主党への投票に結びつけるよう訴えることはできない。それは民主党の本質への誤った評価を与えることになるからである。
今日、共産党と社会民主党は、安倍政権の改憲攻撃と新自由主義的「格差拡大」政策に対してそれぞれの立場からはっきりした反対の立場を取っている。われわれは共産党と社民党の官僚的セクト主義と、「よりまし資本主義」の枠内での改革を自己目的化する路線に対して批判するが、同時に安倍の「改憲・戦争国家体制づくり」に対する闘いを共産党や社民党と広範な人びと共同戦線として形成していくことが必要であると考える。
またわれわれは、九条改憲や新自由主義的「格差社会」に反対し、平和と人権と公正な社会をめざす労働者・市民の新しい政治をめざす候補者の選挙運動に主体的に参加し、その当選のために闘う。われわれは比例区、選挙区において共産党、社民党とその候補など九条護憲勢力への投票を呼びかけるとともに、東京選挙区の川田龍平さん(無所属)、沖縄選挙区の糸数慶子さん(野党統一候補)などの当選のために闘うことを訴える。
現在、反資本主義的オルタナティブをめざす左派勢力が独自の政策と候補者リストを持って国政選挙に参加することはできない。それは少数派を排除する日本の選挙制度そのものの欠陥とともに、日本の労働運動、社会運動、市民運動の主体的力量、とりわけ社会主義をめざす左派勢力の力量の弱さに規定されている。したがって今回の参院選において安倍政権への「NO!」の意思を、改憲阻止・九条護憲勢力の前進として表現していくことによって、労働者・市民の新しい政治の流れを形成するために有利な基盤を獲得していく必要があるのである。
改憲阻止を掲げる政党と、労働者・市民の参加による新しい政治の流れをめざす候補者に投票を! 改憲阻止の共同戦線を大きく広げよう。極右国家主義の安倍政権を打倒しよう! (2007年7月)
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