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2007年07月05日
ジョセフ核軍縮担当米国特使の発言と日本政府の対応の甘さ
米政府のロバート・ジョセフ核不拡散問題担当特使(前国務次官)が4日、ワシントンでの記者会見で、「原爆の使用が終戦をもたらし、連合国側の数十万単位の人命だけでなく、文字通り何百万人もの日本人の命を救ったという点では、ほとんどの歴史家の見解は一致する」と語ったらしい。ネオコン派であるジョセフの面目躍如である。
久間前防衛大臣の、「原爆は仕方がなかった」発言についで、今度は米国側から原爆投下を正当化する発言が出たのだ。この発言は米ロの核軍縮交渉の場での記者会見で発せられたものであり、久間発言とは直接の関係はないかもしれない。しかし久間発言を念頭においた発言であった事はあきらかである。
そしてこの二つの発言と、それに対する「あるべき日本政府の対応」に関しては、根本的かつ重大な違いがある事を私は強調したい。ジョセフ発言の重大性を決して見落としてはならないのだ。
久間発言は軽率な不適切発言であり、欠陥大臣を直ちに更迭できなかった安倍首相の決断力や政治センスのなさを非難していればよい。辞任に際しても明確な反省の意識を見せなかった久間前大臣の度し難い愚かさ、鈍さを追及するだけでよい。
しかしこのジョセフ発言は、これをこのまま見逃してしまえば、日本にとって計り知れない深刻な結果をもたらす事になるのだ。人類史上最初でありかつ唯一の原爆投下。その加害者側からなされた「正当化」発言である。被害者側である日本がこれに迅速かつ強力な謝罪要求、発言撤回要求を行なわなければ、果たしてこの地球上で誰が米国に核兵器使用禁止を訴えられるというのか。それよりも何よりも、日本国民はこのジョセフ発言をこのまま看過していいのか。日本政府は国民の怒りの声を直ちに米国大統領に伝えジョセフ大使の更迭を求める動きを見せなくて良いのか。
5日の各紙によれば、「まずその発言を私自身見なければいけない」(安倍首相―朝日)、「どういう発言をしたか外務省を通じて情報を取ってみたい」(塩崎官房長官―5日日経)、「ジョセフ氏は前から言っているので目新しさはない。日本の見解とは異なる」(小池防衛大臣−読売)、などと日本政府の責任者の言葉があまりにも鈍感だ。久間失言を批判して「原爆投下について米国に謝罪を求めよ」と迫った小沢民主党党首はなぜ沈黙しているのか。今こそ安倍首相に対し、ジョセフ発言の謝罪と撤回を米国に求めるよう迫らなければならないのではないか。今度こそ米国は日本の要求の前にたじろぐ事になるのではないか。
なぜ私がこのジョセフ発言とそれに対する日本政府の対応の遅さ、甘さをこれほどまでに問題にするのか。それは次の理由からである。
憲法9条を有する日本は、同時にまた唯一の被爆体験国である。すなわち「憲法9条」と「被爆国」の二つの日本の特性は、世界に向けて安全保障論議をする際の、わが国の最大、最強の武器である。米国との軍事協力を加速させるために憲法9条を手放し、米国に対する最強の武器である「被爆国の怒り」を放棄してしまえば、残るのは米国に対する無条件の従属しかない。おりから従軍慰安婦問題に対する対日非難決議が不当な形で米国議会によって可決されようとしている。「テロとの戦い」と言う名の米国の不当な戦争のためにどんどんと日本の自衛隊や我々の予算が消費されようとしている。米国の戦争経済の赤字補填のために日本経済が食いつぶされようとしている。
このうえに原爆投下まで正当化されてしまったら日本という国の存在は米国の前に溶解してしまうことになる。米国の前に日本という国がなくなるのだ。日本国民の豊かで平和な暮らしが、日本人の自由で自主的な人権が、米国の手によって奪われていく事になる。
右も左もない。今こそ自称保守主義者や愛国主義者は安倍首相に対して毅然とした対米外交を要求すべきである。平和主義者、護憲主義者は、被爆体験者の怒りの声を、安倍首相を通じて米国に届けるべきである。
参院選挙を前にして62年間の戦後政治の最大の問題が炸裂したかもしれない。我々日本国民は、対米従属でもなければ米帝国主義粉砕でもない、自主、自立した正しい日米関係を、今こそ打ち立てるよう、日本政府に迫らなくてはならない。
http://www.amakiblog.com/archives/2007/07/05/
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