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筆洗 2007年7月4日【東京新聞】
選挙を経て国や地方自治体の政治にかかわる人を政治家と呼ぶが、日本には昨年末の段階で約四万六千人いる。ただし全員を政治家と呼ぶにふさわしいかは疑問符が付く▼社会学者ウェーバーは政治家に重要な資質として情熱、責任感、判断力の三つを挙げている。これでふるいにかけ、次に著述家クラークが残した「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の世代を考える」との警句で分類してみよう。政治家の数が著しく減るだろうと、想像できる▼原爆投下を「しょうがないなと思っている」と発言した久間章生防衛相が辞任した。発言の直後は引責辞任や発言の撤回、訂正をする考えがないことを強調していた。その後、被爆地などからの怒りの声で発言の撤回と陳謝に追い込まれたものの、辞任の気配はなかった▼事態が一変したのは、与党内からも辞任を求める声が挙がったことだ。久間氏も辞任の理由として「参院選に影響を与えてはいけない」と発言している。参院選の直前でなかったら、「女性は産む機械」発言の柳沢伯夫厚生労働相と同様、続投していたのだろうか▼よく分からないのが安倍晋三首相の対応だ。「誤解を招く発言は厳に慎むように」と久間氏を厳重注意しているが、辞任に相当する問題とは思っていなかったはずだ。ところが久間氏が決断すると、慰留をせずに了承している。任命権者としての責任感、判断力が見えてこない▼子どもたちに辞任をどう説明したらいいのだろう。選挙前だから「しょうがない」では、政治家の数がまた減ってしまう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2007070402029465.html
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