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江戸は平和な街だった。士農工商の身分制度はあったが、江戸っ子は結構「平等」を心得ていた。武士という官僚だけが恵まれていたわけでもない。
享保8(1723)年、八代将軍吉宗が人口調査をした時、江戸の人口は武士が約50万人、町人は約53万人。武士は「限られた人々」ではなかった。
幾ら威張り散らしても、平和な時代が続くと、特権階級の武士も失業する。次第に町人は経済的に優位に立つ。「平等」にならざるを得ない。
江戸には「裸の付き合い」とか「三脱の教え」とか言う「平等の思想」があった。銭湯に入れば身分の上下はない。火災防止で内風呂禁止。だから武士も「平等」を体験する。「三脱の教え」とは塾や講などで年齢、職業、身分の三つは考えないこと。もちろん、吉原のような「遊び場」で武士が威張り散らすのは“最大の野暮(やぼ)”だった。
江戸時代から東京・柳橋で料亭を営む僕の実家は明治維新を「不平等時代の始まり」と考えていた。薩長の武士が江戸を占領して“遊び場”に身分差別が持ち込まれた。芸者に対するレイプなども再三である。徳川びいきの柳橋の料亭は「薩長お断り」で意地を通した。明治政府は仕方なく「新橋」という新しい花柳界を作った。
昭和38(1963)年まで料亭を続けた母は「イナダイはお断り」を押し通した。イナダイとは田舎代議士の略。権力をかさに着る政治家、官僚は座敷に入れなかった。
明治維新で薩長の官僚支配が始まったのだろう。徳川は悪、維新は善という教育。男性絶対優位。三くだり半(再婚許可文)がなくなり、離婚は難しくなる。そして、お国は富国強兵の覇権主義……この幻想は敗戦で崩れ、民主主義は根付いたが、官民格差はいまだに存在する。
年金問題。「グリーンピア」に投資された3700億円の厚生・国民年金資金は放漫経営でパーになったが、国家公務員の共済年金は別。同じようにホテルや病院に使われたが、こちらは投資でなく融資である。経営のいかんにかかわらず、グリーンピアの建物は減価償却で財産価値はなくなるが、融資なら共済年金の資産は変わらない。
細かいことを言うようだが、民間の年金支給額は「円以下の端数は切り捨て」だが、共済年金は「円以下の端数はためておいて毎年2月に支給」である。
官僚優先は勲章から年金の端数まで……明治維新から139年、官民格差は生き続けている。(専門編集委員)
毎日新聞 2007年7月3日 東京夕刊
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