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<久間防衛相辞任>世論読み違え、傷口広げた首相
7月4日3時5分配信 毎日新聞
久間章生防衛相が原爆投下を「しょうがない」と発言した問題は3日、安倍晋三首相による擁護から一転、久間氏の辞任という参院選公示(12日)を目前にした安倍政権にとって最悪の事態となった。首相は発言直後から辞任の必要性はないとの立場だったが世論の反発は強く、年金記録漏れ問題に続き、再び世論を読み違えた格好だ。対応が後手に回り、傷口を広げた首相。任命責任が問われることで選挙戦のみならず、投票後の責任論議にも影響しそうだ。
3日午後1時。首相官邸5階の首相執務室。安倍首相は久間氏と向かい合った。久間氏が切り出した。
「長崎市長もお見えになった。これ以上(政府・与党の)皆さんに迷惑をかけてもいけませんし、参院選が私の発言でマイナスになっても困る。一つのけじめをつけなきゃいかんと思いますので、辞任します」
「そうですか。その決意を受け止めます」
首相は硬い表情で、慰留もせずあっさりと辞意を了承した。久間氏はこの後、防衛省に戻った折、記者団に囲まれ「友人と昼食を共にしながら、辞めるなら早く決めた方がいいと思い、首相に辞意を伝えた」と選挙への影響を懸念しての自らの判断と強調した。
首相は2日に官邸に久間氏を呼んで厳重注意したばかり。6月30日、遊説先の愛媛県の車中で発言を知った際は「何でそんなことを言うんだ」と不快感をあらわにした。しかし、その直後、久間氏発言について記者団から問われると「米国の考え方について紹介したと承知している」と述べ、あえて問題視しない姿勢を強調した。
「いろいろ釈明しないでちゃんと謝罪してほしい」。1日、塩崎恭久官房長官と自民党の中川秀直幹事長が断続的に電話で連絡を取り合い、塩崎氏は久間氏の留守番電話に吹き込んだ。首相に近い政府・自民党幹部からは「久間さんはほんとうにしょうがない人」「あの人の顔は見たくもない。会いたくもない」といった声が漏れたものの、同日の久間氏の陳謝会見を受け、「更迭は必要なし。続投」が首相サイドのコンセンサスになりつつあった。首相周辺は1日時点で「もうこれで落ち着くよ」と進退問題には発展しないとの見通しを示している。
しかし、事はそう甘くはなかった。「これでは選挙は戦えない」――。参院選を控え、年金問題で世論の逆風にあえぐ参院自民党と公明党の怒りは尋常ではなく、引導を渡す役割に動き出した。公明党が3日午前、久間氏の釈明を聞くため約束していた面会を直前にキャンセルしたことは、重要なシグナルとなった。
「安倍君が任命した人なんだ。結局そこに行き着く。佐田(玄一郎前行革担当相)君、松岡(利勝前農相)君、久間。全員論功行賞だからね」
さらに、参院自民党を束ねる青木幹雄議員会長は2日朝、周辺にこう漏らしていた。首相の任命責任にズバリ切り込んだ発言は、公務員制度改革関連法成立のため、首相が青木氏ら参院側の反対を押し切り強引に今国会の会期延長を押し通したしこりを物語っていた。
◇公明党が一足先に事実上「引導」
「昨日の段階までは公明党は収束に向け動いていた」。久間章生防衛相辞任表明が伝えられた3日午後、公明党幹部はこう断言した。
異変はこの日朝、公明党から起きつつあった。太田昭宏代表らは「影響が大きすぎる」(同党幹部)として、表向きは発言せず、「音無しの構え」に徹していた。だが、支持母体の創価学会も含め同党内で、久間発言への怒りはすさまじかった。
実は久間氏は午前9時半からの同党国会連絡会議に釈明のため出席する約束になっていた。
その約1時間半前、同党の斉藤鉄夫政調会長から防衛省の西川徹矢官房長に電話が入っていた。
「久間防衛相が我が党の会議に出席していただく予定になっていますが、出席をキャンセルしてもらえませんか」
久間氏は8時半に住居の赤坂議員宿舎を出発。首相官邸での閣議を終えた後、記者団に「公明党の会議に出ますか」と聞かれ「いや、行かない」とだけ答え、そのまま防衛省に戻った。久間氏は出邸時も閣議前も口を結んで硬い表情で、公明党が面会を拒否したことにショックを隠せなかったようだ。
久間氏不在の公明党の会議では、浜四津敏子代表代行が「久間さんには辞めていただきたい」と強硬論を主張。「連立与党だからと言って、官邸の言うように久間氏をかばっていたら選挙が戦えない」との意見が大半だったという。
会議終了後、久間氏を待ちかまえていたテレビカメラに向かって浜四津氏は「党としては見解を決めていないけれども、私個人としては(女性を子供を産む機械に例えた)柳沢伯夫厚労相の発言も問題だったが、それとは質的に違う重大な発言だ」と強調。「自分の身の処し方を賢明に判断していただきたい」と自発的辞任を求めた。浜四津氏は同党と創価学会の女性層に大きな影響力を持つだけに、この発言の意味は重かった。
一方、午前11時から始まった自民党総務会では、ベテランの深谷隆司元通産相が「怒りを感じる。抗議する」と発言。丹羽雄哉総務会長は総務会後の記者会見で「極めて不適切な発言」と強調。「反安倍色」の濃い加藤紘一元幹事長も「内閣がもっときりっとしていなければならない」と語った。選挙を戦う参院側からも東京選挙区で出馬する保坂三蔵参院議員が2日、辞任要求を唱えていた。自民党も「辞任コール」一色だったが、すでに公明党が一足先に久間氏に事実上、引導を渡していたのだった。
午後1時過ぎ、公明党の北側一雄幹事長のもとに自民党の中川秀直幹事長から「久間辞任」の電話があった。
久間氏も午後4時半過ぎの辞任会見で「今日の午前中あたりから、与党が困っているなと感じ始めた。選挙を控え自民党だけでなく公明党もやりづらいのではないかと非常に感じた」と認めた。
参院選を前に与党が大きな打撃を受ける中、1日の党首討論でも久間氏の発言を取り上げた民主党の小沢一郎代表は3日「こういった政権を是とするか非とするか、それは主権者たる有権者が判断する」と語った。辞任劇が終わった後、ある参院自民党幹部は「もうこの内閣は死に体だなあ」とつぶやいた。
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最終更新:7月4日3時7分
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