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社説:久間防衛相発言 閣僚の資質が問われる
信じ難い発言で見識を疑わざるを得ない。久間章生防衛相が広島、長崎への原爆投下について「しょうがない」と述べ、投下を半ば是認したとも受け取れる言い方をしたのである。
広島、長崎の惨状はもはや説明するまでもない。21万人余りが命を奪われ、今も原爆症に苦しめられる人は多い。心ない発言に胸をかきむしられるような思いをしたに違いない。
久間防衛相は陳謝した上で発言を事実上撤回した。しかし、どんな脈絡で語ったにしろ、国の安全を守る防衛省の最高責任者の発言は重い。そうやすやすとは消え去りはしない。
もっと問題なのは政府見解や大方の国民の共通認識に反する点だ。原爆投下はあってはならない絶対悪であり、唯一の被爆国として核廃絶・平和運動の大本としてきた。その否定につながりかねないのである。
確かに核廃絶の道のりは遠く険しい。しかし、原爆の使用を「しょうがない」といったん認めてしまえば、核廃絶はおろか、核軍縮のスタート地点にさえ立てないことになる。
この意味からも国民、とりわけ被爆関係者の怒りがなかなか収まらないのは当然であり、「誤解を招くような発言」では済まされないのである。
それにしても政治家、中でも閣僚の発言がどうしてこんなに軽くなったのだろう。
久間防衛相の問題発言はプライベートな場ではなく、大学での講演という公の場で飛び出した。軽率だったというのなら、「言葉が命」の政治家としての資質が疑われる。
仮に信念に従い発言したとすれば、陳謝や撤回はその場しのぎの取り繕いにすぎず、信念などないに等しくなる。
しかも久間防衛相の場合、物議を醸す発言は今回が初めてではない。今年1月、イラク開戦について「ブッシュ米大統領の判断は間違っていた」と述べ、閣内不一致とも取れる米国批判を展開したのである。
問題発言が度重なることからすれば、自分の立場を十分わきまえているとも、心から反省しているともいえないのである。閣僚失格として野党が罷免を要求するのもうなずける。
当初、訂正する必要はないとしていた久間防衛相が発言翌日に急きょ、陳謝・撤回に転じた点も見逃せない。発言の是非より、参院選への影響回避を優先させたことが明白なのだ。
安倍晋三首相が久間防衛相を首相官邸に呼び厳重注意。久間防衛相が与党内を釈明に回ることで早期に幕引きを図ろうとしていることも参院選をにらんだ後処理の側面が強い。
ここにも安倍政権の「近視眼的な体質」がよく表れている。選挙のためなら国会の会期を延長してでも法案を無理やり通す手法と同根である。
政治とはもっと長い射程で国民の思いをすくい取りながら、一つ一つ築き上げていく営みのはずである。それが欠けている分、安倍政権には重みが感じられないのだろう。
柳沢伯夫厚生労働相の「(女性は)産む機械」に続く久間防衛相の軽はずみな発言は、安倍政権そのものの「軽さ」を象徴しているのかもしれない。
(2007/07/03 09:16 更新)
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