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【社説】
原爆容認は無知の露呈 防衛相発言
2007年7月2日
どのような意図であれ核兵器使用は許されない、というのが被爆国日本の立場のはずだ。「国際法違反」との司法判断もある。原爆投下を「しょうがない」という政治家に自衛隊はゆだねられない。
広島、長崎に平和の祈りが満ちる盛夏を前にして、原爆の犠牲者を追悼し、核兵器廃絶を願う人々の心を踏みにじる発言が飛び出した。
久間章生防衛相が講演で、先の大戦における米国の原爆投下を「しょうがない」と語ったのである。
防衛相は、勝利が確定的なのに米国があえて原爆を使ったことへの疑念や、被爆者への同情を示しながらも、当時の国際情勢からみて「しょうがないなと思っている」「選択肢としてはあり得るのかな、ということも頭に入れながら考えなければいけない」と話した。
投下した米側の論理そのものであり、被爆者や広島、長崎の市民などから悲しみ、憤る声が上がったのは当然である。二つの原爆では二十数万人の命が奪われ、いまなお二十万人以上が苦しんでいる。久間氏はそれらの人の墓前、面前でも「しょうがない」と言えるのだろうか。
核兵器の残虐さを身をもって知る日本人には、核廃絶を求める国際世論の先頭に立つ責務がある。幅広い市民が被爆者とともに「どんな理由があっても核兵器は許されない」との思いで努力してきた。
被爆国閣僚の今度のような発言はこうした核廃絶運動の足を引っ張りかねない。ただでさえ米国追随が指摘される中での原爆投下容認は、国際社会で「なにもそこまで」と冷笑されるのではないか。
そもそも「しょうがない」「選択肢としてはあり得る」という認識自体が無知をさらけ出している。国際司法裁判所は一九九六年、「核兵器による威嚇とその使用は一般的に国際法に違反する」という勧告的意見をまとめている。
その際、日本政府は「核兵器使用は人道主義に反する」とはっきり述べた。こんな基本的事実も久間氏は知らないようだ。
事実上の国会閉幕で気が緩んだためという見方もできるが、軍事を司(つかさど)る人物だけに見過ごせない。防衛相が原爆を受け入れる考えでは、日本の国是である非核三原則も国際的に信用されまい。
久間氏をかばって、問題を直視しない安倍晋三首相の政治感覚は国民のそれから遊離している。内閣としてけじめをつけるべきであり、最低限、本人のきちんとした陳謝、大臣辞任が求められる。一日に行われた記者会見は単なる言い逃れだ。
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