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http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/07saninsen/news/20070701ddm003010013000c.html
選択のポイント:’07参院選/6 北海道大准教授・中島岳志さん
◇イラク戦争、総括を−−思考なき投票、もうやめよう
忘れてならないのは、審判を受ける与党の候補の多くは「小泉ブーム」の6年前に当選した議員だということです。
この6年間の日本の外交・安全保障で、イラク戦争が最大の出来事だったことは疑いない。特措法を作って、イラクという戦場に自衛隊員を送った政治家たちですから、総括をしっかりしてもらわないと困るんですよ。
米英はイラク戦争の総括で政権がひっくり返ろうとしているのに、「日米同盟」「戦争支持」と言ってきた日本は総括しようとすらしていない。イラクから大量破壊兵器は出てこなかった事実を踏まえ、候補者に「戦争は正しかったと思うか」「米国の意向に従属した自衛隊派遣は正しかったのか」と聞くべきです。
それとともに、今後にどうつながっていくのかを問う。イラク戦争を経たうえで集団的自衛権を認めるのか。僕は「認めちゃいかん」と思うが、突きつける必要がある。しかも、新たに選ばれる参院議員は憲法改正にかかわる可能性が高い。この一連の流れを見定めるのが最大のポイントで、今回それをやらないと意味がないと思うんです。
小泉政権から大きく変わった。小泉政治とパラレルで世論が(ネット社会で一つの話題が徹底的に取り上げられる)「祭り」化しているんです。昨年の小泉純一郎前首相の靖国神社参拝が典型。事前の世論調査では参拝に賛成より反対が多かった。8月15日に靖国に行った瞬間ですよ、賛成が上回ったのは。
動いた層はものすごくグロテスクだと思う。思考は存在しない。靖国問題を考える地盤もスタンスもなくて「祭り」ですよ。「よくやった」「かっこいい」とか。これがイコール選挙に結びついていくのは国民主権の敗北だと思うんです。
選挙前に盛り上がっていることがパッと争点に設定され、長期的課題や複雑なことは一切問われない。小泉政権の選挙は全部これ。3年前の参院選は「年金未納議員はけしからん」「年金改革が争点だ」と。でも、選挙が終わったら議論は立ち消えてしまう。2年前の衆院選も「郵政解散だ」と。郵便局の民営化に興味持っている人、今ほとんどいないですよね。
今回の選挙が「年金一色」になって民主党が勝っても、国民全体の主権の放棄というか、敗北に近いと思う。しっかり考えて投票行動するんじゃなく「イラつく」「ムカつく」……。そこにあるのは気分であって、思考ではないんです。もうやめた方がいい。
小泉さんが何かやると喝采(かっさい)してワーッと熱狂的に流れる。こういうのが戦前のファシズムを生んだ一つの土壌。鎮めないとまずい。イラク戦争などを問い直して選挙に行く。デモクラシーの当たり前のことを見つめ直さないといけないと思うんです。=つづく
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◆政党と候補者への「もう一言」◆
特に民主党に。憲法改正についての考えを明確に示してほしい。自民党が掲げる憲法改正は民主党の協力なしには不可能で、民主党議員が重要なポイントを握っています。改憲発議にあたっての対応などを明文化して有権者に示してほしい。
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■人物略歴
◇なかじま・たけし
専門はアジア政治論。インド独立運動家で日本に亡命したボース(1886〜1945)を描いた「中村屋のボース」でアジア・太平洋賞。他に「ナショナリズムと宗教」などの著書がある。京都大博士課程修了。32歳。
毎日新聞 2007年7月1日 東京朝刊
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