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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007063090140955.html
2007年6月30日 14時09分
ネットカフェで寝泊まりする人らに相談会のチラシを手渡すグループの弁護士=東京都新宿区歌舞伎町1丁目で
今月下旬の夜、ネオンが輝く東京・新宿の歌舞伎町の一角。24時間営業の「ネットカフェ」に出入りする人に、背広姿のグループがビラを手渡していた。
「何か困ったことはありませんか」
パソコンがある個室などで、飲食をしながらインターネットをしたり、漫画や雑誌を読んだりできるネットカフェ。ソファで寝ているのは、遊び疲れて始発電車を待つ若者だけでなく、生活の拠点を失った30代以上の中高年も多い。グループは、そうした人たちの困りごと相談に乗る弁護士や司法書士たちだ。
「ここで寝泊まりする人も広い意味でのホームレスなんです」。ホームレス総合相談ネットワークのメンバーで司法書士の後閑(ごかん)一博さん(45)は言った。
翌日夜。夜10時から8時間で1000円の割引パックを目当てに、派遣社員の男性(31)がいつものネットカフェを訪れた。だが個室は満室。仕方なく、夜11時から6時間で1100円のパックに空きがあった別の店へ。100円の違いもバカにならない。「参院選? それどころじゃないですよ」。あきらめ顔でつぶやいた。
薄い板で仕切られた個室は1畳ほど。何とか横にはなれるが、周りからいびきが聞こえ始めるともう眠れなくなる。
1年前、勤務先の小さな会社が倒産し、東北から上京した。派遣元から毎日、携帯電話のメールで紹介される仕事を請け負う。主に建物の解体や倉庫での仕分けをして1日7000円ほどの手取り。この半年は、ネットカフェを転々としてきた。
明け方にはファストフード店で時間をつぶし、朝6時すぎに派遣先へ向かう毎日だ。「この先? 分からないな」。疲れた顔で苦笑いした。
「貧困とかネットカフェ難民とか世間でいわれているのは、自分のことだって分かってる。国民年金の保険料も払ってない」。住民票を移す住まいもなく、参院選の投票に行きたくても行けない。「貧困や年金が争点でも、当事者の私が投票に行けない。情けないね」
40代の女性が夜食の買い出しにネットカフェから出てきた。「今、仕事は探してないの。きっとできないんじゃないかと思うと…」。かつては事務をしていたがこの10年間、精神障害で仕事に就いていない。月約10万円の障害年金が生活の糧だ。申請時は「妹の家に同居」と届けたが、いつまでも世話にはなれず、そこを出た。
財布には小さく折り畳んだファストフード店のクーポン券がびっしり。手帳には毎日の食事代や電車代と一緒に、都内に暮らす親の名前が書き込まれていた。着替えなどは、1日300円のコインロッカーの中。「お金がなくなると荷物を出せない。こんな暮らしでは、選挙も遠い世界のことみたい」。うつろな目を向け、女性はネットカフェに戻っていった。
居場所の定まらない不安定な生活は、1票を行使する権利すら奪う。後閑さんは言う。「働く能力のある人がつぶされている。セーフティーネットからこぼれ落ちて、1日働いても安定した住居に眠るだけの収入を得られないのは、就労政策が無策である証しだ」
(東京新聞・佐藤直子)
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