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社説
社保庁改革*心もとない「年金機構」(6月30日)
社会保険庁改革関連法の成立を受け、政府は社保庁を廃止して非公務員型の公法人「日本年金機構」を新たに設置するための作業に着手する。
関連法案をめぐる国会の論議は十分でなかった。審議時間の大半は年金記録漏れ問題の対応策に費やされた。
社保庁の一連の不祥事の検証が済んだとはとても言えない。
新組織のあり方についての論議を棚上げにしたまま次の段階に進もうとしていることを強く危惧(きぐ)する。
ここに至るまで、荒っぽい国会運営が目立った。
年金受給権の五年間の時効撤廃を持ち出した時もそうだ。安倍晋三首相の指示で与党が特例法案をたった一日でまとめ、社保庁改革関連法案と一括、衆院で強行採決した。
参院選を控え、年金記録問題への批判をかわすため、法律をつくって形だけ整えれば当座をしのげると考えたのだろう。いかにも拙速だ。
年金記録漏れ問題の原因と責任の所在を究明する検証委員会の作業は緒に就いたばかりだ。
社保庁の何が問題だったのか、誰に責任があるのか、再発をどうやって防ぐのか−。検証を待たずに新組織への移行を決めるのでは、今後の組織改革と業務の進め方への不安を増大させるだけだ。
改革法案の作成時点で、年金記録漏れ問題は表面化していなかった。宙に浮いた五千万件の年金記録の統合一つとってみても、原簿との照合を含めると何年かかるか分からない。
年金機構ができるのは二○一○年の予定で、記録漏れ問題の後始末は新組織に先送りされる可能性が高い。
政府は機構の組織と要員を必要最小限とし、業務の民間委託を進める。
機構にはお役所時代とは違う効率化が求められる。社保庁の残務整理まで負わされるなら、本来の仕事である年金の保険料徴収や給付、記録管理、相談業務に支障が出るのではないか。
政府は機構設立に向けて第三者機関を設け、新しい組織の業務と民間委託する業務を振り分けるとともに、職員の採用人数を検討していく。
いま、この時点で、新組織の職員数や業務の範囲を含め、全体像が見えないのは心もとない限りだ。
夏の賞与の自主返納を再雇用の「踏み絵」のようにして突きつけられた社保庁の職員も同じ思いだろう。
政府に求められるのは、不祥事の再発防止策を含めて年金機構のきちんとした設計図を描くこと、年金記録漏れ問題で国民が納得できる救済の道筋を一刻も早く示すことだ。
社保庁が廃止され、年金機構ができた後も、公的年金の財政・管理責任を負うのは政府だ。そのことをゆめゆめ忘れないでもらいたい。
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