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品川正治氏の講演『戦争をとめることの出来る者は誰か』(再出発日記)
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投稿者 gataro 日時 2007 年 6 月 29 日 21:44:40: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://plaza.rakuten.co.jp/KUMA050422/diary/200706190001/ から転載。

2007.06.19
品川正治氏の講演『戦争をとめることの出来る者は誰か』 [ 憲法 ]

6月17日、「医療研究全国集会in倉敷 公開講座」というものがあり、品川正治さん(経済同友会終身幹事、国際開発センター会長)の講演があった。
品川さんは経済人の側から『九条を守ろう』と発言している方だ。けれども経済人の中にはお手洗いじゃなかった御手洗というようなものもいて、口ではなんとでも言える、という気持ちも正直あった。よって品川を品定めのために行った部分もある。

素晴らしかった。

急に意見を変えた、とか言うものではない。信念の人である。そして誠実な人だ。講演では一時間半ほどの話を無原稿で通し、一語一語かみ締めるように話し、(おかげでメモが採りやすかった)最後には深々と一礼をして終わった。
それを説明するには、講演の内容を出来るだけ伝えるしかない。私のメモを元に、それを再現したい。もちろん幾つかは聞き落としているし、ニュアンスは若干違うし、枝葉はいくつも落としている。だからこの文責は当然私にある。しかし、品川さんの話をまだ聞いたことのない人なら、ぜひ読んで欲しい。83歳の彼の想いを若者が引き取って欲しい。

以下2回に分けて書く。(前半は主に戦争体験、後半は経済人としての直言である。)

私は兵隊でした。戦後11月に中国で武装解除されました。私の隊長はエライ人で、重慶政府から武器を援助されたら、「それはその日の軍事演習にすべて使え。一発たりとも残すな」といわれ、実行しました。これによって重慶政府軍とも、共産軍とも、一度も戦わなかったし、かれらもスパイを通じて我々のものすごい演習を見ているわけですから、決して襲ってこない。我々の隊は戦後一人たりとも死ぬことはなかったのです。しかし中国残存兵全体で言えば、5000人が戦後死んでいるのです。

その後俘虜収容所に入りました。そのとき二つの派に分かれて血の雨が降るような激論があったのです。陸軍を中心とする「敗戦派」というのがいました。彼らは言います。「日本政府に対して抗議文書を出そう。政府が終戦というのは卑怯だ。我々のこれからの生き方は、国力を快復して敗戦の恥を注ぐことでは無いのか。そのために血判署名に取り組む」私たちは猛烈に反駁しました。「終戦で結構。二度と戦争をしないのが、これからの日本の生き方ではないのか。その決意こそ、我々の決意じゃないか。」我々のほうが大勢を占めていました。

わたしたちは46年5月に山口県仙崎に上陸しました。海の上での汽車待ちのときに、全兵隊に新聞が配られたのです。日本国憲法草案が載っている新聞でした。現在の9条一項二項がそのまま載っていました。みんなこれからも戦争をしないという決意はありましたが、よもや憲法で戦争をしない、と謳っているとは思いもしていなかったのです。皆泣きました。泣かなかったものは一人もいない。これなら生きていける。9条に関しては、私は死んでも離すまい、とその時思いました。

私たちは戦争に行けば、生きて帰ることは無いだろうと思い定めながら思想形成期を送りました。私は必ず死ぬ。国が起こした戦争で、どう生き、どう死ぬかが最大の問題でした。あとで思いました。問題の出し方が間違っていた。
「戦争は天変地異ではない。戦争を起こすのも人間だが、それを止める努力が出来るのも人間である。」
どうしてそれに気がつかなかったのか。
いまなら、誰が戦争が出来るようにしているのか、誰が戦争を起こそうとしているのか、容易に気がつくことが出来る。しかしいざ起こってしまったなら、なかなかそれを冷静に考える事が出来ないのです。直ぐに北朝鮮が起こした、中国が起こした、というようになってしまいます。今なら冷静に考えることが出ます。

その後、私は経済人として活動しました。経済でも同じようなことがいえると思います。「医療、福祉、環境、教育は人間の努力なんです。それを今は市場に任す、という姿勢を政府がとろうとしている。人間の努力を市場のせいにしてしまいます。間違っている。人間の努力の先頭にたつのが、政治じゃあないか。」(以上講演要旨前半終わり)

今日も九のつく日の街頭憲法署名行動をしていると、中年のサラリーマンが「憲法を変えにゃあ終えん、北朝鮮が攻めてくるで。」と捨てセリフを吐いて去っていきました。けれども実際の戦闘をしていたプロは敵に向かって武器を突きつけることがどんなに危険なことかを知っていたのです。
戦場の地獄をみて来た人がどんな思いで憲法九条を迎えたのか、私たち若者はきちんと受け止めるべきです。品川さんは言っていました。『どのような兵隊であったかで戦争観は大きく違った。ましてや、政治家や参謀だったような人とは戦争観は全然違う。』参謀本部にいた岸や中曽根なんかに政治の舵を任せてきたのがそもそもの間違いだし、その家のお坊ちゃまで生きてきた安倍なんかに政治を任すのは論外です。
「戦争は天変地異ではない。戦争を起こすのも人間だが、それを止める努力が出来るのも人間である。」
「人間の努力の先頭にたつのが、政治じゃあないか。」
その言葉をしっかり受け止めたい。

明日に続く。

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