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http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kanagawa/archive/news/2007/06/26/20070626ddlk14010299000c.html
争点の現場で:参院選を前に/1 憲法改正 /神奈川
◇「お隣(米軍)の無謀な要請の歯止めのため9条で自衛隊縛ってほしい」
安倍政権下で繰り返される憲法9条の改正論議。だが、最前線である横須賀基地周辺から戸惑いの声も聞かれる。憲法改正をはじめとする参院選の「争点」を関係者はどう見ているのか。県内の現場を歩いた。
◇最前線ヨコスカに戸惑い
日の丸をなびかせ、海上自衛隊の小型船が海面を滑るように進む。前方に見える巨大な軍艦が次第に眼前に迫ってきた。甲板に立つ黒人水兵。海自横須賀基地を出港してわずか10分で、船は「アメリカ」に吸い込まれた。
今月3日、海自と米海軍の横須賀基地が初めて同時開放された。海自の小型船が一般の市民を乗せて両基地を何度も行き来した。かつては見られなかった光景だ。
基地が隣り合う横須賀で、日米を隔てるものはわずかな海と憲法の制約しかなくなっている。
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99年3月、能登半島沖で日本船に偽装したとみられる不審な漁船が発見された。政府は自衛隊に対する初めての実戦命令となる「海上警備行動」を発令。出動した海自の護衛艦が計35発の警告射撃を行ったが拿捕(だほ)できず、世論は「弱腰」と批判した。
「撃ち合いになったら、戦争になってもおかしくないのに。日本人は熱しやすい国民性だと感じた」。海自横須賀基地のある現役隊員はそう振り返る。
昨年、世論は再び“沸騰”した。北朝鮮によるミサイル発射や核実験。米側の要請もあり、武力衝突などを想定した「周辺事態」を認定し、関係船舶の検査に踏み切るべきだとの意見が噴出した。検査が始まれば自衛隊員は一触即発の現場で任務に携わらなければならない。現役隊員は声を潜めつつも、きっぱりと言った。
「9条で自衛隊の手足を縛っておいてほしい。お隣(米軍)の無謀な要請の歯止めのためにも」
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その青年がテレビの映像に目を奪われたのは、能登半島沖の不審船事件から5カ月後の99年8月のことだった。
1万7000人以上の死者を出したトルコの大地震。被災地に向け、救援用の仮設住宅を運ぶ海自隊員の姿が紹介されていた。「これこそ自分の求めていた仕事だ、と感じたんです」。国際貢献に興味を感じていた青年は03年、海自に入隊し、横須賀基地に配属された。
91年のペルシャ湾への掃海艇派遣から始まった自衛隊の海外派遣。その後も国連平和維持活動(PKO)などへの参加を重ね、今年1月の自衛隊法改正で位置づけが「付随的任務」から「本来任務」に格上げされた。
だが、青年は自衛隊内で幻滅していった、という。重視されていたのは米国の「対テロ戦争」を後方支援する、インド洋での補給活動。日ごろ受けていた訓練も、自衛艦による米軍艦の護衛が想定されていた。思いあまって親しい先輩に「米軍の武力行使に手を貸しているのでは」と漏らすと「政治的な発言は控えろ」と怒られた。
「自分は国際貢献の仕事がしたかった。でも自衛隊の活動は、米軍の下請けのように感じた」
青年は数年で海自を辞め、この春ようやく再就職を決めた。【内橋寿明】=つづく
毎日新聞 2007年6月26日
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