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終盤国会のドタバタ劇が始まった。昨日はイラク特措法と教育3法が参議院本会議でで可決・成立した。いまアメリカの中でもイラクからの撤退が公然と叫ばれている。アメリカのイラク攻撃や駐留をブッシュ大統領が何といおうが、世界の人々はその大義名分を認めていない。そんなアメリカ軍の駐留に、なぜわが国がイラク特措法を延長してまで協力しなければならないのか。小泉・安倍政権は、ブッシュ大統領の傀儡政権なのかといいたくなる。このふたりの国際感覚は、完全におかしい。わが国の国際社会における評価を著しく落とした。
安倍首相は、教育にいたくご執心である。人を育てるには100年かかるという。わが国の教育制度をわずか半年ちょっとで変えようとしている。この一事をみただけでも、安倍首相は教育のなんたるかをまったく弁えていない政治家だといえよう。教育を政争の具にすることは、もっとも低俗な政治家のやることである。こんどは会期を延長して、いかがわしい年金関連法案を可決・成立させるという。例の“官僚人材バンク”法案もどうしても成立させるという。要するに苦境が予想される参議院選挙を切り抜けるためのあがきなのである。そもそもどうしてそんなに“悪あがき”をしなければならないのだろうか。
3月ころまで比較的順調だった政局に、一転して暗雲が立ちこめはじめたのは“5000万件の宙に浮いた年金記録”であった。しかし、それは安倍内閣の落ち度というより、歴代内閣の落ち度である。安倍首相がひとりで責任を負わなければならない問題ではない。国民の年金に直結する重要な問題である。だとしたら、野党の意見も最大限に容れて、ベスト最高の対策を立てることを考えればよいのだ。それでも国民が厳しい審判を下したとしたら、従容としてそれを受け容れればよいのである。“進退は命に従い、栄辱は人に委ねる”というのが、優れた政治家の覚悟というものである。
安倍首相のドタバタ劇だけが目立つ国会であるが、見逃してはならないことは昨日の河野洋平衆議院議長に対する不信任決議案が否決されたことである。これは安倍首相の悪あがきとはいささか性格を異にする。昨日述べたように、懲罰委員会の議事の運営は自公“合体”政権の懲罰委員会を乗っ取る行為であった。国家機関等を実力で乗っ取る行為を、クーデターという。自公“合体”政権が、一部とはいえ国会の機関を実力で乗っ取ったのである。このような強引かつ違法な行為に対して国会を守るのが、国会の最高責任者である議長の職責なのである。河野議長がその職責を果たさなかったから、野党は議長不信任案を提出したのである。
自公“合体”政権の現在の議席をもってすれば、懲罰処分をすることも議長不信任案を否決することもできるであろう。しかし、河野議長は自らの首を懸けてもクーデターをさせてはならなかったのである。河野議長は、唯々諾々とこれを許し、そして自公“合体”政権に自らの首を繋いでもらったのだ。河野洋平氏は、昭和51年金権腐敗体質の自民党に対して新自由クラブを創設して戦った。国民はこれを圧倒的に支持した。河野氏にはその矜持があると、国民は信じていた。だが今回の河野氏の行動は、いまや改革者としての政治家ではないことを露見させるものだった。fascism を許容した直接の責任者としての烙印を負うことになった。このことを見逃してはならない。自公“合体”政権は、河野洋平という政治家まで食ってしまったのである。
それでは、また明日。
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