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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007062002025594.html
【社説】
2007年6月20日
イラク復興支援特別措置法の期限延長が、成立する見通しになった。航空自衛隊の輸送協力の実態などをめぐる政府の説明は不透明だった。出口戦略も含め、説明責任を果たし続けねばならない。
イラク特措法の二年間延長が参院外交防衛委員会で可決された。近く本会議で成立する見込みだ。
特措法は、戦争の大義や現地情勢など前提条件が制定時から大きく変化した以上、詳細な再点検が求められた。それが、参院の委員会で約十五時間審議した段階で、与党が野党の反対を押し切って採決に至ったのは残念だ。
審議で解消されなかった疑問のひとつは、イラク戦争で米国を支持した政府の判断をめぐる問題だ。
米英両国は、イラクの大量破壊兵器保有に関する情報が誤っていた事情は認めたものの、武力行使の決定については謝罪していない。審議では、政府は米英両国のこうした態度を引き合いに出し、自らの判断の失敗を認めなかったが、空輸協力の継続にあたっては、政府の道義的な責任の清算が先決ではないか。
空自の輸送協力は、イラクから陸自部隊が撤収した後、内容や目的が大きく変質したとみられる。陸自のため物資を輸送する任務がなくなれば、米軍を中心とする外国や国連の要員、機材を輸送する任務に重点が移ったに違いないからだ。
今後の空輸協力の意義を判定するには、実態に憲法上の問題がないことを確認せねばならないのに、情報開示はきわめて限定的だった。
政府は、情報を明かすと、輸送する要員らの安全にもかかわると説明する。しかし、審議の中で、情報不開示の要請がいつ、どこで、だれから伝えられたのかという質問に対してさえ答弁を控えた政府の姿勢は、理解できない。
米軍に対する協力の比重が大きくなっているとすれば、背景には、安全保障分野における日米間の信頼関係があるはずだ。しかし、北朝鮮問題などに対する日米両国の協力への影響といった“本音”の議論は深まらず、もどかしさが残った。
空輸協力の意義の確認は、支援終了の条件の整理につながる。政府側はイラクの政治や治安の状況、多国籍軍の活動の変化など、さまざまな要素を総合的に判断して空自撤収時期を考えるとしているが、さらに具体的な基準を検討すべきだ。
特措法延長後、空輸協力の妥当性をめぐる説明がおろそかになれば、政府の信頼が損なわれる。特措法延長を成立させた国会も、監視する責任を忘れてはいけない。
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