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http://www.chunichi.co.jp/article/feature/saninsen07/all/CK2007061902025435.html
トンネルじん肺訴訟で、原告と国の和解が十八日、決まった。安倍晋三首相は自らが原告らに弔意とお見舞いを伝える「見せ場」を演出。背景には、和解への道筋をつけた与党議員の動きに首相官邸が目を付け、首相の「政治決断」を強調する形で活用した構図が浮かぶ。年金記録不備問題で内閣支持率が急落する中、参院選前に政権イメージを浮揚させようとの思惑が垣間見える。
「患者の皆さんは病気を抱えて大変苦しい思いをしてこられた。その心情を思うときに、早期に解決しなければならないと判断した」
十八日午前、病身を押して全国から官邸に集まった原告ら約二十人に向けて、安倍首相が語りかけた。
「夢みたい」「画期的な出来事だ」。原告らは声を詰まらせ、喜びをかみしめた。
■異例の公開
面会には首相の「リーダーシップ」を強調するための計算がちらついた。官邸での会合は報道陣に冒頭だけ公開されるケースがほとんど。しかし、この日は首相が原告ら一人一人と握手する場面も含め、約二十分間の面会がすべて公開された。
首相に先立ってあいさつした自民党じん肺対策議員連盟の逢沢一郎会長も「力強い政治判断をいただいた」と首相を持ち上げることを忘れなかった。
■司法の指弾
昨年、東京、熊本、仙台の三地裁が相次いで国の責任を認定した。
判決は「国がじん肺防止のための権限を行使しなかったのは著しく合理性を欠く」などと、行政の対策が後手に回ったことを指弾していた。
国側は「その時代の科学的知見や技術水準に対応し必要な対策を実施してきた」と控訴。
だが、今年三月末に徳島、松山両地裁も国の責任を認める判決を出し「五連敗」になった。
「あれがターニングポイントになった」と自民党議連幹部は話す。
この直後、逢沢氏や公明党じん肺問題対策プロジェクトチームの漆原良夫座長らが、ひそかに柳沢伯夫厚生労働相に会い「政治決着もありうる」と呼び掛けて、政治主導の解決の動きが加速した。
議連幹部が厚労省や弁護団と頻繁に協議を重ねて妥協点を探った。
今月十二日、与党議員立ち会いの下で厚労省、国土交通省などの担当者と原告側が初めて顔を合わせ、和解の合意内容がまとまった。
■官邸の登場
レールを敷いたのは与党議員。「与党がやっているときに官邸が飛び付いてきた。政治決断を演出するためだろう」と自民党幹部も認める。
厚労省幹部は「自分たちの政策が間違っていたと認めるわけにはいかない。訴訟で連敗しようが最高裁まででも争う」と話していたが、政治主導の流れには抗しきれなかった。
一方、原告側はゼネコンなどを相手にした先行訴訟の和解で解決金を得ていることもあり、国への賠償請求取り下げに応じ「和解のハードルを下げた」と厚労省幹部は言う。
それでも国側が最後まで固執したのは、合意書に「おわび」のひと言を入れないことだった。
最終的に「国はトンネルじん肺訴訟を真摯(しんし)に受け止め、じん肺対策の実施に努める」との表現で落ち着いた。
和解合意後、記者会見した厚労省労働基準局の山越敬一計画課長。過去の責任を問われたが「未来に向かってどういう対策をしていくかということだ」と“未来志向”を強調し、かわした。
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