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【社説】総連本部売買 あまりに筋の悪い話だ【東京新聞】
2007年6月15日
朝鮮総連を助けようとしたのだろうか。元公安調査庁長官が代表を務める会社が総連中央本部の土地・建物を購入したという話は、不可解で法に触れる疑いもある。どう見ても筋の悪い話だ。
まず、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が東京都千代田区にある中央本部の土地と建物を、日本の投資顧問会社に売却するというのは異常だ。しかも購入した投資顧問会社の代表取締役が元公安庁長官というのも理解に苦しむ。
東京地検特捜部は、元長官らの事情聴取を行い、自宅などを家宅捜索した。土地売買の実態がないのに、所有権移転を行った疑いだ。
元長官は、検察出身で高検検事長も務めたこともある。法の網をくぐるような取引に手を染めたとすれば、ゆゆしきことだ。
公安調査庁は破壊活動防止法に基づき、総連を調査対象にしてきた。いまは民間人とはいえ、かつての最高責任者が総連を取引対象とすれば、疑惑を招くのは当然である。
「強制執行妨害の仮装売買ではなく、違法ではない」
元長官は違法性を否定するが、総連は整理回収機構(RCC)から提訴され、十八日には判決が出る。
総連系の十六の朝銀信用組合は一九九〇年代に破綻(はたん)した。架空名義などを使って総連に融資した六百二十八億円が焦げ付いたまま、総連はRCCから返還を求められている。敗訴の可能性が大きく、そうなれば中央本部の土地と建物など総連の財産は差し押さえられる。
今回の売買はその矢先のことである。「五年後に総連が買い戻す条件付きで三十五億円で契約し」、総連は従来通り本部を使用する。
しかも購入した方の会社は昨年九月に設立され、元長官は四月に代表取締役に就任したばかりで、購入代金はまだ支払われていないという。強制執行逃れの仮装売買を疑われても仕方がない。
「中央本部は実質的に北朝鮮の大使館の機能を果たしている」「在日朝鮮人の権利擁護の拠点だ」
元長官は今回の取引の動機をこう説明するが、総連は、本国の軍事独裁体制を唯一の指導理念とし、「約五千人が非公然活動に従事」している。かつて本人が国会で説明したとおりだ。活動家が北朝鮮による日本人拉致にかかわったという情報もある。
今回の売買は資金が集まらず白紙に戻される可能性もある。自業自得だろう。総連は在日朝鮮人の人権、権益を守るという基本に立ち返るのでなければ、困難は続き、支援も得られない。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007061502024279.html
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