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第100問
忍冬(*1)
ぬるい闇夜の深みを
闇の流れのままに
泳いでいると
どこからか忍冬が
そよとにおってきて
かろうじて心づく
ああ おれがおれからぬけだして
また離魂してしまったよ
影の病といわれるけれども
これがたったひとつの
いまのところ 法にはふれない
おれの特技といえば特技なのさ
さらぼう魂魄は
たれかの夢のなかに
夢の影のように
さりげなく
はいっていかなくては
どのみち ゆきだおれてしまうから
ブレストで 溺死者のように
ゆらゆら ゆらゆら
泳ぎただよいながら
好みの夢の古層を
あなぐりつづけ・・・
朦霧いくどもかいくぐり
おぼれかけては
無明の夢のかずかずを
さぐりつづけたのだが
これはしたり
入境をいずれもこばまれてしまうとは
きけば 闇にたずさえた
次の問いがまるでよくないという
「いかなる悖理をも容れることを
まがうかたない錯乱とするならば
正気とはいまどこにあるのか
車椅子生活の高齢者をしいて
ひきたてて 絞首刑に処した所業を
正当化しうる法と人倫とはなにか
そのようなみそかごとを
国家と‘私’との
さわってはならない黙契として
うるわしい泡でとじこんだこの日常から
はたして
いかなる祈り いかなる詩歌 いかなる
言葉が可能なのか 狂れる言葉こそ
かえって正気ではないか 故天皇を
不問にふし 余命いくばくもない
車椅子死刑囚を縊り殺したのは
つきるところ
‘私’のおだやかな日常ではないか・・・」
ぬるい闇夜の深みを
魂魄は泳ぎさらぼう
かりねの夢もなく
ただ忍冬が そよとにおう
*1: スイカズラ(吸い葛、常緑つる性木本)別名、ニンドウ(忍冬)。
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