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2007.6.11(その2)
森田実の言わねばならぬ[303]
「声」特集――言論の自由が日本を救う
「政治家たちは、ただ目の前だけが薄暗く見える洞穴の中に住んでいる」(タゴール、インドの詩人)
(略)
【8】藤田東吾(イーホームズ)さんからのメール「書評に勇気づけられました」(6月11日)
《初めまして、私はイーホームズの藤田東吾と申します。
6月1日に、拙著『月に響く笛 耐震偽装 完全版』の書評をHPに書いていただきありがとうございました。この本は、刊行以来、ほとんどのマスコミに無視されて、書評も出ない状況でした。講談社が出版を引き継いでくれ、私自身も新しい事業を始めたので、心境はようやく落ち着き明日に向かってがんばり始めた状況のなか、森田さんが書評を書いてくださったこと、深く感謝しています。
私は、耐震偽装事件を通じて、いろいろなことを知りました。5歳で、かつて海軍士官だった父親が死に、奔放に育った分、世の中のことを知らずに成長したのでしょう、この事件に遭遇して、当初は純粋に官僚の善意を信じていました。結果として、官僚が過去に行った構造計算プログラムの評価ミスという責任をかぶせられ、世間の目をごまかすために別件で逮捕され会社も失いましたが、こうした経緯は、今後の僕の生き方において何をするべきかを示唆するものだったと思えるようになりました。
子どもが成長するように、日本という国が正しく未来をつくっていくためには、正しさを追求しようとする国民の価値観が醸成されなければいけないはずです。多くの善良な国民はそれを持っています。多くの官僚も政治家も、若い志を抱いていた時には、国のためという大志を抱いていたはずです。現代は、多様なことが錯綜し、大志を維持するのは難しいのかもしれません。
私は、イーホームズが道半ばで倒れた弔いをけじめとするために、改めて事業にトライしがんばって成功させようと決意しました。そして、この成功を達成した後に、次の展望が大きく開けるとイメージしています。失ったものは大きいかもしれませんが、未来を展望するイメージを再び持ったことは生きる上でとても大切なことです。
ですから、そんな心境のときに、森田さんの書評に触れることができて、勇気づけられました。ありがとうございました。 藤田東吾》
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03421.HTML
2007.6.1(その2)
森田実の言わねばならぬ[280]
平和・自立・調和の日本をつくるために【191】
耐震偽装事件の内幕――藤田東吾(イーホームズ社長)著『月に届く笛 耐震偽装』(講談社、07年4月25日刊)が暴くおそるべき官僚とマスコミの醜悪な癒着。すべての国民に読んでほしい本である。
「文明のおかげで人間の残虐さは醜悪になった」(ドストエフスキー)
「謙虚であることをわきまえている人は、最高のことを企てることができる」(ゲーテ)
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本書は、160人のスタッフを持つイーホームズ社長・藤田東吾氏の戦いと挫折と絶望、そして再起への決意を込めた迫力ある手記である。
藤田氏は2005年から07年にかけて日本中を騒がせた耐震強度偽装事件の主要人物の一人だった。藤田氏は偽装されたマンションの構造計算書を発見し公表する。藤田氏は善意の発見者だったが、国土交通省、読売新聞などのマスコミ、政治家、経済界の思惑に翻弄された。その上、マスメディアを使った情報操作を仕掛けられ、藤田氏の会社イーホームズは廃業に追い込まれた。本書はこの過程を記録した藤田氏の渾身の手記である。
藤田氏はどうして国家権力とマスメディア(とくに読売新聞)によって潰されなければならなかったのか――これについて藤田氏は、アパグループを守ろうとした政治家と官僚、官僚と組んだマスメディアが、アパグループの耐震偽装を告発したイーホームズの藤田社長を葬ろうとした、と想定している。藤田氏がこう思い込むのは、単なる推測だけでなく、それだけの具体的情報をもっているからであろう。
アパグループの問題が表面化したのは、藤田氏がすべてを失ったあとのことだった。藤田氏がアパグループ問題を取り上げているときには、これを隠蔽しようとする巨大な力が強く働いていたことを、藤田氏は示唆している。
藤田氏は本書の冒頭の部分でこう書いている。(原文は漢数字だがここでは洋数字に変える)
《(自費)出版からほぼ1カ月を経過した平成19年1月25日、京都市内のアパグループホテル2棟の構造設計に偽装があるとのニュースが流れた。京都市が発表をし、国土交通省がこれを追認したのである。大方の日本人が忘れかけていた耐震偽装事件。イーホームズが約1年前から指摘し
てきた田村水落設計の構造設計の偽装がようやく報道されたのである。 アパグループの元谷外志雄代表夫人、元谷芙美子社長の涙の記者会見と共に、新たな耐震偽装事件としてニュースは日本中を駆けめぐった。続いて2月2日には、千葉県成田市内のアパグループのマンションの耐震性能の低減が明らかになり、イーホームズが指摘してきた田村水落設計による偽装が真実として証明された。
アパが、1年前からの指摘に対して隠蔽しようとした経緯を「涙の謝罪」で終わりにしようと考えたとしても、それを責めようとは思わない。ヒューザーも、アパも、官僚が作り出した耐震偽装という犯罪に呑み込まれた“氷山の一角”にすぎない、と僕は考えている。
国土交通省は、耐震偽装の再発防止のために、平成19年6月に建築基準法を改正し、財団法人日本建築センターなどが、一定規模の建築物について構造計算書の正否について判定を行う制度をつくり出そうとしている。耐震偽装の原因である、大臣認定の構造計算プログラムを評価認定した日本建築センターに、精度上の利益を与える横暴。官僚が自ら作り出した“焦土”に焼け太りしていくさまを、国民は許してはいけない。僕はそれを伝えるためにこの本を書き、「完全版」の刊行を講談社に委ねる。》
ここに事件の本質の一端が示されている。
すなわち、藤田氏が主張してきたアパグループの耐震偽装問題と大臣認定の構造計算プログラムの欠陥問題が、政府と官庁(国土交通省住宅局)とマスメディア(とくに読売新聞)をして、藤田イーホームズ粛清を決意させたのであろう。藤田氏は本書のなかで、このことを強く示唆している。
藤田氏は別件で逮捕された。そして会社を潰された。藤田氏は社会的に葬られた。藤田氏は、国家権力とマスコミによって、会社とともに社会から抹殺されたのだ。
藤田氏は自ら死を選ぼうと考えるところまで追い詰められる。しかし独房では自殺が不可能だった。一人の常識をもった善良な人間をそこまで追い詰める必要がどうしてあったのか、国土交通省(住宅局)、検察当局、読売新聞はどうしてそこまでやる理由があったのか、と言いたくなる。
重ねて問う。国家権力(自公連立政権と国交省住宅局)と、国家権力と結託したマスメディアは、藤田氏をどうしてそこまで追い詰めなければならなかったのか。やり方が非情すぎる。政府にとってアパグループの耐震偽装問題はそれほど大事な事柄だったのか。国土交通大臣認定の構造計算プログラムの欠陥を認めることが、それほど嫌なことだったのか。この裏側で誰が動いたのか。
すべてが異常である。異常すぎる。裏側にいったい何があるのか、と考えざるを得ない。
藤田東吾氏の姿は、元参議院議員の村上正邦氏、衆議院議員の鈴木宗男氏、外務省の佐藤優氏の姿とダブる。無実の罪で迫害された者は、強靱な精神を身につけて、反撃に立ち上がる。
多くの人は国家権力の弾圧に屈服する。しかし、屈服しない少数者は強靱な精神をもった抵抗者に成長する。彼らは著作を通じて国民に“真実”を訴える。藤田氏のこの著作は真実の書である。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03398.HTML
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